Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

第4回閉伊川大学校わくわく自然塾が開催されます:10月30日和井内

2010-10-15 | 水圏環境教育センター
第4回閉伊川大学校わくわく自然塾が開催される運びとなった。10月30日,宮古市和井内の閉伊川漁業協同組合養魚場で開催される。今回は,閉伊川漁業協同組合のご好意によりはじめて開催される学習会である。
施設見学,ヤマメ,サクラマスの整体を学んだあと,お昼にはサクラマス(ヤマメ)のちゃんちゃん焼き!。海洋の総合的な理解のためには,食育は欠かせない。

対象は,大人でも参加可能。お子様連れでご参加いただきたい。 

http://gallery.me.com/hypomesus#100016/0001yE&bgcolor=black
「なあどか,すっぺす! 子供たちの明日のために 閉伊川大学校」

COP10が始まりました

2010-10-11 | 水圏環境教育センター
いよいよ,名古屋でCOP10がはじまった。COPとはConference of the Parties の略で,国際条約を結んだ国が集まる会議のことを指す。国際条約の一つ「生物多様性条約」は,10回目の締結国会議を名古屋で行うので,COP10名古屋と呼んでいる。

主催は生物多様性条約事務局(カナダ・モントリオール)で,日本は議長国である。

生物多様性条約は,国連環境開発会議(地球サミット)に先立つ1992年5月22日に採択され,リオデジャネイロで開催された地球サミットで署名開放され,1993年12月29日に発効し,世界193カ国,日本は1993年5月に締結している。

この条約の目的は3つあり,
1地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること
2生物資源を持続可能であるように利用すること
3遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること
となっている。

これを閉伊川に当てはめると,水質の悪化,河口域の環境の改変による生物相の変化など,問題がないわけではない。しかし,ミクロで見た場合,これといった話題にのぼるほど大きな問題はない様に見える。問題になるのは,乱開発が進む都市部や途上国になるであろう。

しかし,地球規模の環境の変化はマクロ的な発想から見ないと解決策が生み出されない。例えば,海ゴミの問題や温暖化,海流の変化による生物相の変化である。こうした問題は時間をかけ,そして多くの人々が取り組まないと解決できない。こうした問題に対して,議長国としての対応が問われる。環境と人間が共存して生きてるという里海里山の概念を持つ日本が中心となり,世界にその考えをアピールしたいものである。

全国ゴミサミットが開催されます:11月2日,3日衆議院第2議員会館

2010-10-10 | 水圏環境教育センター
このブログで以前紹介したが「太平洋ガーベッジパッチ」,つまり「太平洋ゴミベルト」というとピンとくるのであろうか,海ゴミが海流の影響で一箇所に集中している海域があるという。推定では350万トンとされている。そのほとんどが,厄介なプラスチックである。

その海ゴミ問題に関するサミットが東京で開催されるとのしらせを受けた。

私自身,映像を見るまではそれほどまで深刻に考えていなかった。それというのも,閉伊川周辺ではあまりゴミの堆積が問題とならないからである。ワカサギ仔魚調査でも,植物系のゴミがほとんどであり,細かいプラスチックは川では観察されていなかった。

太平洋ゴミベルトでは,プラスチックが細かく粉砕され,プランクトンの餌となったり,魚類の餌となっているという。また,プラスチックを整形するときに使う魚卵状の球形のプラスチック(レジンペレットという)が大量に海洋に流出し,それはDDEやDDD(DDTが変化した物質,DDTは自然界に存在しない物)を多量に吸着しているという。それらをもし,生物が捕食すると汚染された物質を効率よく体内に吸収することになる。

本日,山口川の調査をしたが,コンビニ袋に包まれたゴミがポイ捨てされている。同行した山口ショッピングセンターの社長さんは「いつも捨てられるんですよ。ここはゴミ捨て場だと勘違いされている。がっかりです」ゴミの捨てられている状況を知り,啓発活動の重要性を改めて痛感した。


ガラパゴス携帯に思うー権利の主張と利益との関係

2010-10-08 | 水圏環境教育センター
ガラパゴス諸島には、世界でも珍しい固有の生物が暮らしている。しかし、その希少生物たちは、外来種の進入に弱い生き物たちだ。しかも、他の環境には適応出来ないであろう。

こうした状況は、日本の携帯電話の現状によく似ていると言われる。日本の携帯電話は世界に類を見ないほど高機能であるが、汎用性が低く世界の市場では太刀打ち出来ないという。ガラパゴス諸島の希少な生き物に例え、皮肉を込めて「ガラパゴス携帯」というそうである。

こうした状況は、携帯電話に限らない。自社の製品を優先的に購入させようと誘導するような製品群が多く見受けられる。しかし、そうしたものは消費者が離れ、かえって利益を減少させる事にもつながる。また、日本に限った事ではないし、家電製品だけでもない。既得権の主張などにもよく見受けられる事象だ。漁業権がその一つかもしれない。すべての漁業者に当てはまるこことではないことを理っておくが,海岸に訪れる一般客に対して、「ここは私たちの生活の場所である」といったよそ者を排除する態度や意思を表明する。これでは、消費者が漁業の理解が阻まれ、結果的に魚を食べなくなり、魚価は上がらないことにつながるなる。最終的に、利益を上げることが出来ず、補助金に頼ることになる。(何度もいうがこれがすべての漁協や漁業者に当てはまることではない事を断っておく。)

なぜ、このような状況なるのであろうか?それは、目先の利益や権利を追及し過ぎると結果であると考える。確かに、これまで培ってきた発明や権利を守るためには、とりあえず目先の自己の利益を優先させる事が堅実な方法であろう。将来の事や他人の事を考えるのはもっての他である。

しかし、将来や他人の事を考えるのは、本当に利益に反する事であろうか?を考える必要がある。権利を主張する対象物は、利用者が価値を決めるケースが少なくない。もし、利用者の価値観に変化が生じた場合、これまで主張した権利が価値の低いものか、あるいは無い物に変化してしまうという可能性が数限りなく存在する。

こうした状況を打破するためには、どうすればいいのであろうか?権利を主張する側と利用するがわとの間のギャップを取り払うことが一つの解決策であろう。そこに、この閉塞感を打破し新しい価値を生み出す可能性が秘められれている。

日仏海洋教育情報交換会のご案内です

2010-10-05 | 水圏環境教育センター
10月18日に開催される日仏海洋教育情報交換会のポスターが完成した。

発表者は私と大学院生,学部4年生が水圏環境教育,水圏環境リテラシープログラム,ESD活動の実際を発表し,フランス側からは地中海大学のセカルディー先生とチィボボタ先生がフランスでの大学を拠点とした海洋教育について発表する。フランスからはマルセイユの地中海大学を始めとした訪問団20名が来学する。

午前中は,水圏環境教育実践をやらせていただいている港区立港南中学校,港区立港南こども中高生プラザ(プラリバ)を訪問する予定だ。

夕方は,フランス大使館でのレセプションに招待されることになっている。

海外研究者との交流を通じていつも考えるのは,日本の海洋教育の特殊性である。日本の海洋教育は水産が中心である。他の国はありえない47校もの水産高校の存在。水産系大学の数の多さ。しかし,その独自性がうまく発揮出来ているかどうか疑問が残る。もっと日本の独自性を明確にしアピールしていきたいものである。

第4回港南ジュニアカレッジが開催されました

2010-10-04 | 水圏環境教育センター
今年度4回目となる港南ジュニアカレッジが,お隣りの港区立港南中学校の1年生の総合的な学習の時間において開催された。

本研究室の大学生,院生総勢8名が押しかけ,1クラスの生徒と一緒に楽しい学習活動を行った。あいにく,雨ということで予定していた野外での活動が中止となり,室内での活動となったが生徒たちはいきいきと活動に取り組んでいた。

今回は,学習発表会向けのポスター作りということで,これまでの活動を振り返りながら,ポスターを作成した。これまでの活動とは,港南地区の運河をとらえ発見し,疑問を持ち,仮説を立てる,という一連の科学的な観察である。

中学生の観察の結果で興味深いのは,運河との接点がないといわれるが,運河を普段から観察している様子であるということである。例えば,「雨の日はどうして運河がにごり,海の匂いがするのか?もしかしたら,海と繋がっているのかもしれない。」ど「うして緑色をしているのか,もしかしたら,プランクトンが多いのかもしれない。」「どうしてクラゲが排水の方に向かって動いているのか,もしかしたら排水の方に餌があるかもしれない」等々である。

生徒たちは,大学院生・大学生たちが教えることにも興味を持っているようであるが,同時に自分たちで発見し疑問を解決したいという気持ちをいだいているようだ。次なる段階は,彼らの立てた仮説をどのように検証するかである。この学習は,3年生まで継続的に実施する予定であり,成長が楽しみである。一人でも多く科学に携わる人物が育ってくれればと願っている。


新学習指導要領中学校理科における「仮説」の確かめ

2010-10-02 | 水圏環境教育センター
 自然観察の基本は3つある。それは自然を観察し「気づき発見し」,「疑問を持ち」,「仮説を立てる」ことである。この一連の作業は,私たちが普段何気なくおこなっている思考ではあるものの,「仮説」と聞くと,戸惑い,難しいあるいはとっつきにくい,といった印象を抱き,普段あまり話題にならない。

 しかし,新学習指導要領では,明確に「科学的な思考表現力」の育成が強調されている。本日,届いた文部科学省発行の「中等教育資料」によると,体験的な学習の推進が新学習指導要領の大きなテーマであるとし,科学的な思考・表現の指導として「問題を見出すこと」「解決可能な課題を設定すること」「仮説の確かための観察,実験の計画」「結果の推論」「結果を図や表にまとめ,分析解釈する」「モデル,原理法則と比較し分析解釈」「仮説を元に結論づける」「観察,実験の見直し」の一連の科学的思考が重要であると述べられている。

 上記のことは,まさに科学の手法を表現したものであり,科学者が実際行っていることである。また,同時に本研究室で実施している近隣の港区立港南中学校における総合的な学習の時間もまさにこの科学的思考・表現力の育成を目指している。

 また,閉伊川大学校におけるわくわく自然塾,キッズアース様に提供している教材のコンセプト,里海探偵団が行く!の里海学習はまさに,この一連の科学的な思考表現の育成を目指しているものである。

 これまでの研究成果で明らかになっていることは,室内の体験よりも野外における体験活動が科学的な思考・表現力をより高めるというものである。

 また,今回複数の著者が述べているが,探究学習の際には,大人が先に結論を出すのではなく,児童生徒の探究活動をできるだけ見守る態度が必要であるとしている。これも私たちが「ラーニングサイクル理論」を用いた「水圏環境教育」として訴えていることに符合している。(『海洋の気づきをもっと子どもたちに』「里海探偵団が行く!」10p, 2010,農文協)

 そうは言っても,科学的な思考・判断力の育成は学校教育だけで限界がある。地域の社会教育施設や研究機関,大学とうまく連携を図ることが必要であり,そうした教育システムづくりがこれからの大きな課題である。

日仏海洋教育情報交換会が開催されます:10月18日

2010-10-01 | 水圏環境教育センター
日仏海洋教育情報交換会が10月18日海洋大学楽水会館で開催されることになっており、その打ち合わせが行なわれた。

この会議は,学術交流協定校である国立マルエイユ地中海大学から海洋教育の視察団20名が来日して行なわれるもの。

フランスの海洋教育に関しては以前のブログ記事でも紹介したが、組織的に学校教育に取り込まれているのが大きな特徴だ。

これに対し日本の場合は、豊かな自然環境を背景として水産高校が47校全国に設置されていることが世界的に見ても大きな特徴といえる。しかし、残念ながらその特徴に目が向けられていないこと、その特徴を十分に活用されていないこと、水産高校以外には体系的海洋教育がないことがこれからの課題だ。

この機会に、お互いの国の海洋教育に関する意見交換をして有意義な成果をアピール出来ればと考えている。

港区水辺フェスタ

2010-09-26 | 水圏環境教育センター
港区主催水辺フェスタは,港南地区,芝浦地区,台場地区の海に接する地区の小学生から大人までの地区対抗のボートレース。今年で4回目となり1000人近くの参加者があった。

マンションの住民によるチーム対抗レースや,港南,港陽,芝浦各小学校対抗レースが行われた。お台場の会場は,笑顔と声援でいっぱいになった。このような活動はあまり都心では行われていなかったが,地域の人々の熱意により実現にいたったもの。どのようにして地域や行政の方たちを説得して地域イベントに仕立て上げたかぜひ学んでいきたいものである。

高校生対象の進路講演会が開催されました

2010-09-09 | 水圏環境教育センター
残暑の厳しいさなかではあったが,知り合いの先生から依頼を受け,岩手県花巻にある普通高校において2年生の理系クラスを対象に進路講演会を実施した。時間は1時40分から3時10分までの90分の時間を頂いた。

テーマは「東京海洋大学水圏環境リテラシー推進プログラム ひろげよう 水圏環境教育の輪」として,私が現在取り組んでいる水圏環境教育についてである。それに,大学の紹介を若干行った。

水圏環境教育については,小学生,中学生を対象に教育実践という形で,これまでいろいろな場面で展開してきたが,高校で進路指導の一環として講義形式で実施したのは初めてである。

水圏環境教育学研究室としては,もちろん海洋科学の研究分野により多くの高校生に興味を持ってもらうことが重要な任務であると考えている。したがって,講演会ではできるだけ一方的な話に終わらないように,ビデオや実験を組み入れて考える時間や発言する時間を多くとった。

生徒の感想を伺うと,水圏環境の汚染の問題や,水を使った実験に興味を持ったようだ。

ラーニングサイクルには,振り返りというステージがあるが,このステージは探究活動が行われることで,自然に頭の中で繰り返されるものである。どのぐらいの頻度で,彼らの頭の中にリフレクションが起こっているのかが興味深いところである。