Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

水圏環境リテラシー学実習

2009-07-26 | 水圏環境リテラシープログラム
「以前,先生が海のことを教えてくれた。夏は臨海学校があった。子どもたちは,海が近かった。しかし今は,海から遠ざけられている。日常に海との距離がある。これを埋めるのに,シーカヤックはいい。」と語るのは,講師の海洋ジャーナリスト内田正洋氏。愛媛県のある中学校では,中学校の授業にシーカヤックを取り入れているという。「今までは海があっても遠い存在でしたが,シーカヤックにのって自分の町を海からみられるようになって,海が好きになりました。」と中学生は感想を述べたという。
 
 シーカヤックを学生とともに学び,水圏環境教育におけるシーカヤックの可能性を感じた。その可能性とは,海の高さである。目線の高さで海を眺めることができること,つまり海と一体となる感覚を持つことができることだ。また,簡便性も重要である。これほどまでに,手軽で速い船はあるのだろうか。ふとカヤックを操縦しながら,岩手三陸の江戸時代の豪商吉里吉里善兵衛等,海上交通と人類の歴史に思いをはせる。動力船でなくとも,長距離移動は可能なのだ。

 さらに,スノーケリングによる磯観察実習も併せて実施した。スノーケリングは,多様な環境とそれに応じた生物たちの様々な活動を観察できる。環境と生物の関わりを理解したり,科学的な認識を高める訓練を行う上で格好のツールである。

 野外学習のための基礎的な技術を学びながら,水圏環境リテラシー教育の手法を学んでいく。水圏環境リテラシー教育は,体験による学びが主体だ。リテラシーと体験活動が上手くリンクすることで,海洋への理解が深まっていくのである。


宮古ニュートンスクール

2009-07-13 | 山口川調査
 今年で4年目を迎えた宮古ニュートンスクール。第2回目「山口川でカニや魚を捕まえよう」が開催された。これは,地元の小学生による魚類生態調査である。
 
 今年は,地元の小学5,6年生30名が参加し,外部から東京大学大学院の院生,東京海洋大学の学生も加わった。
地元小学校の生徒といえど,滅多に遊ぶことができない山口川で初めての魚類調査。30人中,山口川に入ったことがあるのは2人だけであった。
 
 はじめてはいる女子生徒は不安げな顔をしていた。「本当に魚なんかいるの?」という様子が見受けられた。ところが,生きたモクズガニを発見すると,「あっ,何かはいっている」と眼の輝きがみるみる変化していく。

 寄生木公園近くの第1グループは,上流へ向かって調査するがなかなかつかめることができない。数日前の増水で,魚が下流の方へ流されたようである。半分あきらめかけた時,「さあ,みんな並んでタモ網を構えて。」と,ボランティアの元校長先生が声をかける。6人の生徒が下流側でタモ網で川を塞ぐ。上流側の石をごろごろと動かす。すると,一瞬で川が砂で茶色に濁った。子どもたちは半信半疑。「さあ,一気に網を挙げてみよう。」
 
 すると「わあ,はいったー。」「何かの魚が入っているー。」と,カンキョウカジカとカジカを一緒に捕まえることに成功。生徒たちは,今年も新たな発見をしたのだった。

 宮古ニュートンスクールは,2年間の文科省の補助事業の後,宮古市が単独で事業を継続。当日は,教育長,学校長,元校長,学校教育課長など多くの教育関係者がボランティアとして運営にあたる。地元の保護者からも高く評価を受けており,毎年山口川調査の前には地元の山口川を守る市民ネットワークの会会員や宮古市民の皆さんにより,延長3kmの草刈りをやっていただいている。
 大人たちが一丸となって子どもたちを育成しようとするå取り組みに敬意を表したい。

今年,発見したカニや魚類一覧
モクズガニ,モクズガニの稚ガニ,カンキョウカジカ,ウツセミカジカ,ドジョウ,ヤマメ,アブラハヤ
※写真は,寄生木公園付近で採集されたカンキョウカジカ(上)とカジカ(下)