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ILCHI メッセージ

2012-10-11 20:32:11 | お知らせ
脳哲学の時代



今日もこの地球上で1万6千人の子供たちが飢死しています。
食べ物が不足しているからではなく、人類から良心の光りが消えたためです。

「私たちのように飢死していく子供たちが地球上からいなくなるようにしてください」
死んでいく幼い魂が人類に送る最後の訴えと警告に耳を傾けなければ、人類に未来はありません。
どうすれば人類の脳がこのメッセージを聞き、良心の光りを取り戻すことができるのでしょうか。

21世紀の人類が願うのは健康、幸せ、平和です。人間の脳は国籍も宗教も区別しません。すべての脳に健康で幸せな時代が訪れるためには、全人類が共感できる哲学が必要です。東洋か西洋かを超え、人類の健康と幸せと平和のために融合する哲学が必要です。これこそ脳哲学がこの時代に現れた理由です。

これまでの人類の歴史を牽引してきた強力な動機は、「よりよく生きること」に対する欲求です。この欲求に従って、群れ、戦争を起こし、分割し、合併し、排斥し、協力しながら、人類は絶え間なく文明を進化させてきました。生存するためだけではなく、よりよく生きるために変化していく欲求は人間の頭蓋骨の中にある脳から発生しています。脳こそが人類史の震源地なのです。

人間が直立歩行を始めて以来、脳はより多くの食べ物を得ることができました。そして限界を超えてより早く、より遠くまで行きたい想像を止めませんでした。脳は農作物の栽培や鉱物を扱う技術を開発し、自動車と飛行機と宇宙船を発明しました。社会制度をつくり、生活の基盤である地球をくまなく探査するだけではなく、太陽系を越えて宇宙の起源にも近づいています。

想像を実現する過程において、脳は絶え間なく現実の限界にぶつかりながら、その都度それを乗り越えてきました。今この瞬間にも私たちの脳は、今現在向き合う限界を越えるために休まず動いています。このように果てなき人類の創造の歴史ができたのは、人間の脳が絶え間なく想像し創造する属性を持っているからです。

地球上で最も優れた創造力で人類史を旺盛に描いてきた脳は、いま自分自身に関心を向けています。「若いころからの放浪の旅を終えて鏡の前に立っている人」のように、脳は自分と向き合ったのでしょうか。脳を対象として研究する脳科学が本格化しています。科学の最後の領域といわれ、学界の内外の関心を大きく集めている脳科学は、人間の新しい理解の窓を開きます。

人間を理解するためには人類史の主役である脳を理解し、自分が誰なのかを知るためには脳がどのように作動するのかを理解しなければなりません。また、私たちの脳が成し遂げてきた現代物質文明の限界を越えて、新しい文明に切り替えるためには、その開始点を脳で捉えるしかありません。脳を理解することによって転換の方向と方法を探すことができるからです。

多くの分野で脳研究に関心を向けていますが、人間の存在価値を扱う哲学こそ、脳を深く理解することが必要な分野です。脳哲学とは、脳科学的な理論に基づいて人間の脳の価値と活用を図る実践的な哲学です。脳哲学に至るまでの過去30年間、私は人間が究極の価値に気づき、実現する方法を探すことに没頭してきました。そしてこれまでの研究を通じて得た答えのすべてを脳哲学に込めました。今後さらに多くの研究を引き継ぎ、脳哲学の体系と内容を発展させていくつもりです。

重要なのは、誰でも脳に対する理解を通して、「私は誰なのか、どのように生きるべきなのか」という究極的な問いに自ら答えを得られることです。脳哲学には他に専門家がいるわけではありません。脳を通じて自分の価値と人生の原理に気づき、その気づきのとおりに生きようと努力するなら、それだけで脳哲学を十分体得できたと言えます。脳哲学は勉強する学問ではなく、体を通じて悟る体験的な実践哲学だからです。

科学の発達とともにこれまで神秘の領域に留まっていた脳が少しずつその正体を現し始めました。一方、隆盛を極めた物質文明の弊害が日々深刻さを加えています。中でも最も致命的な事態は私たちの生命の根元である地球が深く病みつつあるということです。地球は人類に多くを与えました。親が子どもを育てるように地球は人類の父母としてあらゆる手助けをしてくれました。

人類は、物心つかぬ子どものように、際限なく地球に手を差し出します。すべてを与えた地球は日々病を深めつつあります。深く破壊された地球は、数多くの子孫にこれ以上安定した生存基盤となるのは難しいという合図を、度々送ってきています。それでも人間はこの危機状態を無視しています。恐ろしくて否定したい気持ちや、現実を認めて変化するには自分が握っている利権があまりにも多いからでしょう。政策を決定する力を持つ人、地球から多くを勝ち取った人ほど、地球が送る合図に耳をふさいでいます。

地球環境だけではなく、世界は今、力の論理から引き起こされた不均衡、不平等、不公正の問題を抱えています。このままでは、人類に未来はないと多くの人々が警告しています。しかし状況は変わらぬままです。知識情報だけでは目覚めることができないと確認させるだけです。

未来のために人類は新しい選択を求められている。この事実を深く自覚させる方法が切実に求められています。どうすればよいのでしょうか? そのカギは脳にあります。情報を処理する機関である脳は本質的に感覚情報にもすぐに反応します。知識情報ではなく感覚情報を通じて状況を認知するとき、それにともなう自発的な行動が起こるのです。

世界に山積した問題を解ける主人公は1人のスーパーヒーローではありません。人生への夢を忘れない一人ひとりの悟った人類です。脳哲学には、悟った人を養成する哲学、自分と世の中を生かす実践哲学としての役目を果すことを期待しています。それが脳哲学をつくった最も大きな理由です。

脳哲学は概念に留まらず脳をよく活用する実践的な方法として進んでいきます。こうした脳哲学の特性のため、脳哲学はアプリケーションの一種に喩えられることがあります。脳という地上最高のスマートな装置に哲学というアプリケーションを適用するのです。

脳哲学のアプリが作動すれば、知識情報として保存されていたさまざまな哲学を生かし動かすことができます。古典哲学と現代哲学、東洋哲学と西洋哲学。これらが、脳哲学という実践哲学の中で融合し、新しい価値として生まれ変わるのです。

取り戻すことは脳哲学の最も重要な属性です。脳哲学を持つ人は自分の価値に気づき、実現する弘益(ホンイク)の精神を持つようになるでしょう。脳哲学と脳教育によって、脳の感覚を取り戻し、健康を取り戻し、良心を取り戻す。それによって、人間性喪失の時代を克服し、人類に新しい希望の時代が訪れることを願います。

2012年は全世界58カ国のトップが新しく選ばれる年です。人類は自分の健康と幸せと平和のためにどんな選択をするのでしょうか? 脳哲学を持つ人、脳哲学を持つリーダー、脳哲学を持つ新しい人類が、あらゆる生命を生かす弘益の時代を地球上に繰り広げることを願っています。