天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

空漠

2019-06-03 13:29:20 | 日記
いやあ、昨日は落ち込んだな。親子間の殺人事件に気を奪われたし、卓球中国オープン準決勝で伊藤美誠が王曼昱に負け、張本智和も馬龍に破れ、卓球王国中国の牙城をいささかも崩すことができなかった。伊藤はネットにことごとく嫌われたし、張本は2ゲーム目の10-8ゲームポイントを決めていれば流れが変わっていたという悔しさが残り、晩飯が不味かった。せっかくタコぶつを用意していたのに、酒もワイン1杯、缶ビール1本と全然進まなかった。絶対王者の馬龍は世界ツアー優勝28回目と、伝説の覇者ベラルーシのブラディミル・サムソノフを抜いて新記録樹立か。馬龍は30歳、サムソノフは40歳を過ぎても現役バリバリに活躍したのだし、16歳の張本は新たな伝説を作り上げる可能性があるのだから、いい薬にしよう。全仏オープンの錦織圭は試合中断でいい休養が取れるのだから今夜、この憂さを晴らしてもらおう。
明らかに外国人顔をして『僕は庭師になった』という、とぼけたタイトルの本を図書館で借りて読んだ。スウェーデン出身で高卒後日本に渡り、帰化して村雨辰剛(むらさめ・たつまさ)に名前を変えている。小さい頃からゲーム好きで、「ファイナルファンタジーⅦ」とか「信長の野望」などを通じて日本の文化、歴史に興味を持つようになったとか。19の若さで移住し、英会話教室などで働いているうちに、もっと日本的職業をと思い、23歳で造園業に飛び込んだ。弟子入り前段階から日本人親方に鍛えられ、今では独立して庭師と言っても庭の手入れだけでなく、日本式庭園の作庭を手掛けるという。傍らNHKの筋肉体操などタレント業も営む、いい男ぶりである。人間は興味と意思次第で、何処にでも飛び込め、何にでも成れるロマンと人生美学を感じる。何となくばかりでずるずるやり過ごしてきた身としては眩しい。ぐっとレールを切り換える勇気と機敏さが必要だったかと反省しつつ、一つを取れば一つを捨てる取り返しの無さに怖気もする。各界でみられる二世の活躍や地位職能の親子相伝を快く思わない一方、親の築いた道を子が守れない相克に心を痛めたりもするように、人間の自立性の強弱を責めたりできない。日本に飛び出す決意も、行き詰まればいつでも帰って来ていいよという故郷の身内から掛けられた言葉に支えられている。人の意志や能力だけでなく、人生の空漠を埋めるそんな絆の有る無しや、信じられるかの方が人間の運命を左右する気がする。
 
親として 子を殺めけむ 責め苦をや
いづこ求めむ いつより来たる