いやはや、とんだ見込み違いであった。8月の米雇用統計はアフガン帰還兵要因もあって大幅増を見込んだが、実際にはタイムラグがあって、非農業部門雇用者増加数は予想の70万人台を大きく下回る23.5万人にとどまった。お陰でダウ、S&Pとも反落し、週明けの日本株式強気展望への支えが外れた。米金融当局によるテーパリング(資産買い入れ額の縮小)の9月実施見込みも消し飛び、米ドルも売られた。200万人増を当て込んで昨日買い集めた景気敏感株は週明け一番に損切りから入らざるを得ない状況である。週末を待たずに想定外に早かった菅首相の退陣表明を受け、金曜日の日経平均は584円高と急伸、週間で1486円も上げたから、利食い売りが出やすい地合いなので、潔く諦めるしかない。ただ、今週の上げは政情、コロナ、景気の状況から日本株だけが安く取り残されていたのを、高値更新を続ける米国市場などから海外投資家資金が流れてきた面もあるので、米雇用状況の強さを見て引き揚げられる懸念が薄らいだことは、慰めとなり得る。
頻尿症により早朝に目覚めて、4時、5時のNHKラジオニュースを聞くと、意外にも大雨注意報とコロナ感染が中心で、政局には一切触れられなかった。いつもなら政治の転換点になると、安倍前首相好みの茶坊主や喜び組のような解説者が説教を垂れるのが常だったのに面食らった。ご主人様を失って茫然自失となり、後継を巡る動きに興味を無くしたのか、気になって仕方なかった。寝直すこともできず、6時のTVニュースを見ると、やっとトップニュースで政局を取り上げていた。朝刊を取りに行くと、読売新聞は全面一色の退陣表明で埋められ、安心した。電波権限を持つ総務省に強い菅首相のスポークスマン的なグループとノーマルな担当者との間で、NHK内部の調整がもたついたのかもしれない。
わたつみの
うねりを甘く
さざ波と
読み誤まりし
釣り人あはれ