有名女優が合成麻薬MDMA所持で捕まったけれど、尿検査では陰性だったとか。名前だけで世間を賑わす効果が得られたので、後は流通ルートの摘発に捜査当局は注力するのだろう。最近のネット・ニュースで芸能人の超大物が薬物絡みで逮捕されると予想され続けていたのに、その後の検挙は雑魚ばかりで、アルファベットだけの芸能ニュースの思わせぶりに、ええ加減な事ばかり書くなとイライラしていた。噂の本人ならもっと警戒していただろうに、やっぱり麻薬中毒は止められないのだなあ。止められないから中毒というのだけれども、本人の衝動だけが原因なのか、周りの唱導に誘惑が断ち切れなかったのか、人間は摩訶不思議な生き物である。
こっちも最近中毒になっている浅見和彦さん(成蹊大学名誉教授)のNHK古典講読「『方丈記』と鴨長明の人生」の名調子をけさも聴き入った。今回も「数寄の道」だった。禁断の琵琶の秘曲を鴨長明が公の場で弾いちゃって、政府高官のチクりを受けて後鳥羽院から問詰される件りだった。禁令は承知していましたのでモロにやったわけではなく、アレンジして弾いたので罪に当たらないと弁明したものの、通らないと思ってか潔く出家した。数寄の道を極めようとすると、麻薬でも琵琶でもノーリターンで彼岸に赴き、此岸の人には理解できないことがある。先っぽだけだから良いだろうと了解を求め、終いにはお互いに本腰が入ってしまうことは昔からよくある事である。
昔と言っても、昭和の御代の後半にまだ東京・品川区の下町に花街が残っていた。懐かしくなって半世紀ぶりに訪れた。年々歳々花相似たり歳々年々人同じからずと言うように、佇まいはよそよそしかったけれど、僅かに桜並木が記憶を蘇らせてくれた。でも、やはり異邦人であった。♯チャンチャラ、チャララー、♭空と大地が触れ合う彼方、過去からの旅人を呼んでいる道♭、と調子ッぱずれに歌ってみても、ただの通りすがり人に過ぎなかった。源氏名が奇妙なことに源氏だったことくらいしか覚えはない。商店街で、ビールも飲まずあさりラーメンを啜り、抹茶缶を買って跡にした。
ひとのさが
押し止められず
生くるのみ
人の営み
たふとくもなし
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