如蔵尼(にょぞうに)という教科書でも小説でも一度もお目にかかったことのない女性が破格にパワフルな人だったと知って驚いた。やはり歩いて知るということは良いものである。
平安時代に関東で覇を唱え、京都政権を狼狽させた平将門の娘である。新皇を名乗った将門は京の討伐軍に討たれたが、その後奥州に逃れていた如蔵尼がゆかりの地の下総、今の茨城県坂東市にやってきて、父を弔い偉業を顕彰するため國王神社を創建した。単なる父思いというだけでなく、類い稀な政治力のある女性だったという印象が強く残った。
それから、如蔵尼が一時匿われていた福島県・慧日寺を越え、東北、北海道を回って、山形県の羽黒山出羽神社をお参りすると、境内の国宝五重塔が、父将門が創建しようとしたが果たせず、その遺志を継いで如蔵尼が建立したものとの説明があった。その行動範囲の広さと事業力の旺盛さには脱帽せざるを得ない。
東北、北海道を回ると、平泉で自害したはずの源義経がその後も逃避行を続け、あちこちで足跡を残しているのに感心するが、後世に国宝を残したことで如蔵尼もそれに匹敵するか、それ以上だったと評価されてしかるべきである。
遺志を継ぎ
父を神にし
五重塔
誉れも高き
如蔵尼床し
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