室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

道産酒と一日人間ドック

2008-02-16 00:34:59 | Weblog
昨夜は”東京道産酒の会”(北海道に縁のある飲兵衛な名士の集い)でした。
12月と1月がお休みなので、皆さんお久しぶり。ちょうどバレンタインデーに当たってしまい、何もしない訳にいかないでしょう? 殆ど男性の会に、レギュラーのように呼んで頂いて、ご馳走にもなっているんですから・・。

我が家のお気に入りの”もち吉”というお煎餅屋さんで、ウィスキーボンボンならぬ珍しい”焼酎ボンボン”を見つけ、お一人に1個ずつ配れるようにご用意致しました。「今年もらった唯一のチョコレートだから持って帰って家内に見せよう」と何人かの方からおっしゃられました。思った以上に喜ばれたので、これくらいの出費は・・・本望です。

いつの間にか恒例になった皆さんで歌う歌は、この季節に相応しい”早春賦”にしました。北海道を代表する歌になっている”知床旅情”は、この”早春賦”によく似ているけれど、”早春賦”自体もモーツァルトの”春のあこがれ”に似ていないとは言えなくて・・でもモーツァルト自身も”春のあこがれ”をピアノ協奏曲第27番に転用しており、これだけ使い回しされていれば、”春のあこがれ”も本望でしょう。

最後のミュージック・タイムは、トラッド・ジャズ界の巨匠、クラリネットの後藤雅広さんと、トランペットの下間哲さんをゲストに、お客様たちにというより、私にとって贅沢なひと時でした。二人ゲストに因んで”ティー・フォー・トゥ” アレルギーの季節も近いので”ダニ・ボーイ”(やばいダジャレでした=反省) 殺虫剤ギョーザ事件以来、街のギョーザ屋さんが繁盛しているそうなので”チャイナタウン・マイ・チャイナタウン”という選曲。2大スターとの共演は、緊張せずにはいられませんが、勉強になりました。

写真は、道産酒参加道具一式。約20kgのヤマハのクラビノーバP-120、スタンド、MS60アンプ、接続コード類の入ったバッグ、専用椅子。筋肉痛のオマケ付き。

一夜明けて、今日は一日人間ドックの日。ゆうべの道産酒の会で最後に桑茶を飲んで以来、いっさい飲食無しで、8時半に病院入り。 血液、尿検査、身長体重、目、耳、心電図、内臓エコー、肺活量などの最後に、メインイベントのように”バリウム検査”があります。顆粒の発泡剤を飲んでから、ねっとりしたバリウムを最初はゆっくり、最後はゴクゴクと飲んで、オペレーターの指示通りに「はい、右回りに2回転して。左を向いて。はい、右へゆっくり。はい、息を止めて!はい、うつぶせになって。そのまま頭が下がりますよ。肩まであがって。はい、また仰向けに・・」かなりの運動量を要求され、これは検査も健康で、元気じゃないと、とても持たないなあ~、と前回も思ったなあ・・。 

幸い、今日わかったところまでは、2年前の前回と殆ど変わらず。前々回までは伸びていた身長も伸びていませんでした。 検査が終わると、いつも食堂でお食事を頂いて帰ります。期待していなかったけれど、ポークピカタは、ま~ま~イケました。コーヒーはちょっとね~、飲んだことない苦さでした。

今年になってからも夜なべ、徹夜を平気でやれた健康の源。母の力に感謝、感謝・・です。

鳩の季節

2008-02-14 04:42:16 | Weblog
先週9日の辻堂ブルックランズでの”アストロノーツ”タンゴLIVEの日は、「お昼から雪が降る」という天気予報で、前日からどーなる事やら・・と心配していましたが、辻堂はみぞれ混じりの冷たい雨で、辛うじて雪にはならずに済みました。でも大変寒かった・・にも関わらず、前回を上回るお客様がいらして下さいました。只ひたすら感謝、感謝、感謝・・です。

次回は5月。日にちはまだ決まりません。決まったらまたご案内させて頂きます。

翌10日は、鳩の森愛の詩保育園の合唱団の練習に立ち合いました。この保育園は、卒園式で卒園生一人一人の歌を全員で歌ってお祝いするセレモニーを毎年やっていて、私も何曲か作曲のご依頼を頂いているのですが、今年は最後の曲が出来上がるのが遅くて、2月に入ってしまいました。ご父兄の練習の音取りの能率を上げるのを少しでもお手伝いできれば・・と思って行きました。私が作曲したお子さんのご両親達がそれぞれ感想を言って下さいました。ずいぶんとお待たせしてしまったので、さぞ気をもまれただろうと思いましたが、概ね気に入って頂けて感触だったので、一応ほっとしました。「自分の子の歌だけでなく、みんなそれぞれの歌も自分たちの歌として歌っています」という言葉は、正に”共育て、共育ち”の理念の通りだと思いました。皆さんがいい顔をしていらして、本当に素晴らしい状態だと思いました。

さあ、これからは3月の本番の準備です。詳細はまた後日・・。

それにしても、寒い冬となりましたねぇ~。
写真は、雪をいっぱい被った今朝の富士山。ずいぶん下の方まで真っ白です。久しぶりに綺麗に晴れて、まぶしい白さでした。晴れた冬の朝、富士山がくっきりと見えるのは、我が家にとっては基本型ですが、こんなに白い富士山は珍しいです。

こんなに寒いと、春が本当に待ち遠しいですね。

アストロノーツ in 辻堂

2008-02-02 22:39:51 | Weblog
2月9日(土)夜7時から辻堂のブルックランズで、タンゴバンド”アストロノーツ”のライブをやらせて頂きます。

なんと、もう1週間前になってしまいました。
前回、11月の時は、暖かいお客様に囲まれて、充実した気分でやらせて頂きました。今回は真冬。
寒くて皆さんお外に出るのもおイヤだったりして・・。これは早くからご案内しなくては・・と思っていたのに、1週間前。いや、切ってしまった。

なにとぞ、よろしゅう、お頼もうし、たてま~つ~り~、歌舞伎じゃなくて、タンゴです。

前回と同じ、バンドネオン:池田達則、コントラバホ:大熊慧、ピアノ:中山育美 のトリオで、ホットなタンゴを演奏いたしやしょう

6時ドアオープン。7時から60分くらい演奏。休憩して8時半頃からまた60分くらい演奏します。
チャージは¥2000です。

マスターのお手製ドレッシング付きサラダもある”本日のプレート”はなかなか評判良いです。他にピザやスパゲッティもあります。 ビール、ワイン、ウィスキーもあります。

JR辻堂駅から海側、エスカレーター下のバス乗り場から5~6分(本数は少な目・・)浜見山バス停下車 徒歩2~3分の湘南工科大学正面の喫茶店です。大きな人物大人形が目印です。

駐車場も少し確保してあります。車でご来場の場合は直接ブルックランズにご予約ください。
電話 0466-33-5520 ホームページ http://www.cafebrooklands.com/ です。

お待ちしておりま~す 

Made in Korea

2008-02-01 12:04:50 | Weblog
週末の深夜、ゆっくりお風呂から出るとよく"Weekend Japanology" というピーター・バラカン司会の番組を見ることがある。この間は”演歌”をテーマにしていた。

髪を乾かしながらだから所々しか聞こえなかったが、解説の日本人の方の「ジャパニーズ・ソウル」と何度も繰り返すのはよく聞こえた。しかし、あれこそが”ジャパニーズ・ソウル”と云うなら、私はジャパニーズじゃないの?・・とムラムラと反発したくなってきた。

八代亜紀が「お酒はぬるめの燗がいい~」と歌い始めた。この歌はむしろ好きな方だった・・けど、この日の歌い方は妙に口を広く開けない、いじけ、惨めさを強調した歌い方に感じられた。なんで閉塞感を強調して慰められると思うのだろう?傷に塩を塗り込んで「痛いでしょう?かわいそうねぇ~」と言いながら醤油たらして味噌また塗るみたいな、陰々滅々が好きな人が”日本人”だというんだろうか・・と思っていたら、先日、新説を聞いてきた。「演歌は日本製ではない!」

古賀政男が韓国で仕入れてきた韓国式の歌謡曲だというのだ。日本人が韓国に行って「韓国にも演歌があるんですね」と言ったら「何言ってるんですか!これは韓国の歌です」と言われるそうだ。どーりで・・と納得してしまった。どこか作為的に作られた感じがしていたのだ。

私の記憶では、私が子供の頃は全体的に”歌謡曲”と呼ばれていた。藤山一郎も美空ひばりも、笠置シズコも三橋三智也も橋幸夫もみな歌謡曲だった。グループサウンズでエレキギターやドラムが出てきた頃だって、まだ歌謡曲だった。三波春夫は演歌ではなく浪曲や音頭で、演歌とは別物だと思うが違うのだろうか?いつの間にか”演歌”というカテゴリーが作られ、それも意図的に作られ、産業化され、刷り込まれて行っているような気がする。

演歌研究をしたい訳ではない。ただ、どこに違和感があるのかを自分として確かめておきたいだけだ。ハッピーな時より試練や悲劇、恨みなどネガティブな感情の方が激烈であり、表現も強く、深みも出しやすい。世界中に”恨み節”は存在する。ブルースだって、タンゴだって、ネガティブな感情から生まれた音楽だ。

しかし最も典型的な演歌のテーマは、文句も云わずに健気にずっと待っている女。男に楯突くことなく散歩下がって男を立てる女だ。男にとって都合の良い女のイメージを日本的と捉えるのは間違っている。平塚らいてうが言うとおり「元始女性は太陽であつた」のだし、逃れられないツライ定めをみずから打開しようともしない、自らカギをかけた部屋でジレンマの鏡にうっとりするナルシストの世界だけが日本人の美学ではない筈だ。

相手の気持ちを細やかに汲み上げて、いきなり攻撃したりはしない日本人の性質に美学はあると思うけれど、演歌的ナルシストとは微妙にズレがあるように思う。だから演歌、イコール、ジャパニーズソウルなんて言わないで欲しい。

ついでに言うなら、言いたいことを上手く言えなくて「ホントはこう言いたかった」と喉を詰めて歌う浜崎あゆみも演歌。コブクロも演歌。尾崎豊らも音楽自体はポップス調でも内容は演歌側だ。思いついたままに例を挙げたけれど、閉じられた世界の中でジレンマを歌っている。確かに若い世代でも閉じられたナルシストの世界に心を寄せる日本人は多いのかもしれない。私の好みではないが美学はあるかもしれない。

三橋三智也の”古城”は良い歌だった。子供ながらに美しいニッポンを感じたものだった。ままならぬ大きな存在の自然に対して清々しく心情を重ね合わせる美学こそ、日本人のオリジナル・アイデンティティじゃないかな?