室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

賞味期限

2007-10-25 12:23:06 | Weblog
赤福の賞味期限偽装が話題になっている。
私自身は、あんこに対して歯茎が弱いようで、一度に沢山食べられないので、箱いっぱいに詰まった赤福を見て「うれしい!」と思ったことはない。それでも、名古屋方面へ仕事にでかけると、新幹線ホームで、つい「おみやげに・・」買ってしまう。

赤福には「本日中にお召し上がり下さい」と箱に書いてある。事実、時間が経つとお餅が固くなってしまう。でも、冷凍して「時間を止めて」いた、というのが凄いなあ。箱は一緒に解凍された気配はないから、売れ残った赤福を箱から取り出し、箱や包装紙は再利用することなく、捨てていたんだろううなあ。

赤福のあんこは大福に比べて味が薄く、あんこ自体を美味しいと思ったことがなかった。それでも買ってしまう・・というのは、消費者が悪いのかな。

売り切れるから沢山つくる。沢山つくるから売れ残る。売れ残るから再利用する。

売り切れゴメン、でやっている店は良心的という訳だ。

もみじ饅頭は、今回の事件に関してインタビューされただけで、何も出てきていないが、以前、宮島に行った時に、宮島のお土産店通りの中のもみじ饅頭は「新幹線ホームの物より美味しいです」と言って売っていたなあ。試食させてくれたけれど、カステラ部分が美味しかったような記憶がある。でも、まだ帰る間際ではなかったので、その場では買えなかった。結局、新幹線に乗る直前。せめて、ホームではなく、ホームの下の専門店の中で、あんこ入りではなく、そこでしか買えないクリームチーズ入りを買った。

夏に上田へ行った時に、NHK大河ドラマの便乗商品のごま団子を買って来た。8月2日に買ったのに、賞味期限はなんと、11月半ば。試食はなかったから包み紙の印象で、こっちじゃなくて、こっちかな・・ぐらいの選び方だったけれど、この賞味期限偽装事件のことから「早めに開けてみよう」(大して早くもないけど)という事になり、食べてみた。親は「ごま味で美味しいじゃない」と言うけど、私に言わせれば”ハズレ”だった。こんな何ヶ月も賞味期限の長い商品は、何か長持ちさせる為のトリックがあり、何かマガイモノの味がする。缶詰、真空パック、乾物以外は、あまり日持ちのしない物を買うべきだと思った。

お土産は、家にいる家族と旅の一部を共有するツールなので、つい、何か買える物はないかな・・と探すのだけれど、地元の良心的な商品と出会えなければ、駅では無理に買わなくてもいいな、と思うようになってきたな・・。

らいぶ・だぶぉ~

2007-10-22 12:23:25 | Weblog
土曜日に「武蔵野タンゴを聴く会」のコンサートに”タンギッシモ”が呼ばれて三鷹へ行きました。
去年は、車でエレピを運んで、途中で道を間違えて迷子になりましたが、今年は、程度の良い中古ピアノを買って下さった、という事で、電車で行きました。

”タンギッシモ”といっても、バンドネオンの岡本昭さんとのデュオ演奏です。会場は、スナックとかパブ(正確には違いが分かりません。同じでしょうか?)という感じの、夜、カラオケに人が集まる社交場のようなお店で、3人くらいは立てるステージとそれを囲むL字型に客席が並んでいて、満席で30人弱くらいでしょうか。春に購入して以来、誰も弾いていないというピアノを、先月のうちに一度、下見に来たのですが、カワイ・ピアノにしてはタフな、結構程度の良いピアノです。ただ、右手で旋律を弾く音域が、がくんとこもった音質で、どんなにガンガン弾いても、ギャン!とは鳴らないのです。ジャンジャカ鳴り過ぎるピアノもコントロールが出来なくてツライけれど、鳴らないピアノは、確かにツライ

あまり腕ずくで頑張ると、手が壊れてしまう危険があるから、頑張らないでおこう・・と思ったのに、岡本昭さんの日本一のバンドネオンと一緒に弾くと、どーしても、頑張ってしまいました。

本来4人で演奏する編曲を2人で弾くので、それぞれヴァイオリンやベースのパートを補うべく、音数も増えるし、何と云っても、4人分の迫力を2人で担って弾くことになり、それは、音量だけではないけれど、音量にも反映される訳で、とどのつまり、頑張ってしまう事になります。また、そこまで本気でやらないと、やった気がしないというか、自分が楽しめないのです。困ったもんです。

皆さんに喜んで頂いて、喫茶店で軽くお茶の打ち上げに参加してから、今度は、ジャズバンドに参加しに、池上線の沿線に行きました。こちらも”パブ”で、やはりカラオケの装置があるけれど、ドラムセット、ウッドベースも備えられていて、ピアノはエレピでした。こちらは、なかなか歴史のあるお店だそうで、中村八大さんや、何方だったか忘れましたが、かなり有名なプレイヤーが演奏していらした、というお話ですが、まさか、その当時はエレピではなかったでしょうね・・。

これは、悲しいエレピでした。ピアノ系の音色のボタンが6つ位はあったのですが、どれをとっても、使える音が無いのです。アコースティックのつもりらしい音色は、筋張ってつぶれているし、エレピの音色も、アコースティックと大差がなく、イヤな後味をひきずる楽器なのです。唯一、ソフトなエレピの音だけ耐えられるかと思って、それを使っていたら、音が出たり出なかったりする・・。

それでも、一緒に行ったメンバーは人柄もプレーも気持ち良いひとばかりで、私も初めての事に挑戦するのは楽しみな事なので、ステージじたいは楽しんでやっていました。が、それにしてもあのエレピは辛かった。今度から、エレピでも機種を確認してから依頼を受けた方がいいかな、と思いながらだんだん時計ばかり見ていました。それと、小さい子供もいたのにタバコの煙がもの凄かった。若いリーダーもみんなも頑張ってステージを務め、呼んで下さった、司会進行役のオジ様も座を盛り上げていらしてお客さんを乗せ、おおいに盛り上がりました。が、20分ほど延びて終了すると「お疲れ様!」「お疲れ様!」「お疲れ様!」と何人かに何度か言って、ドアを開けてダッシュしていました。別だん、怒っても泣いてもいない、何にも感情が無く、ただ駅まで身体が勝手に走っていました。

永くピアニストをやっていると、色んなことありますな~。




御献立表

2007-10-14 15:26:49 | Weblog
あっと言う間に1週間が過ぎてしまいやした。

鳩の森保育園の歌作りもスタートしつつ、タンゴのアレンジ、オケのアレンジを抱えつつ・・、でも目前に迫る行事優先、といういつものパターンですが、そんな中、このところ毎月呼んで頂いている”東京道産酒の会”が木曜日にあり、日本橋三越へ行きました。

道産酒の会は北海道に縁のある酒好き名士の方々の集いで、北海道サポーターの会とも云えます。演奏で呼ばれている私たちも、テーブルに着いてお相伴させて頂いております。北海道産の食材を使って、以前から「流石、老舗デパート」と思わせるお料理でしたが、近頃、オークラ系列になって、華やかさが加味され、よりヘルシーに、感動的な美味しさとなりました。
食べたり、演奏したり、多少はお酌したり、世話人の方のカメラの調整をしたり、また食べたり・・と結局食べるのに忙しくて、お料理の写真を撮り損なったわけですが、献立表をアップしてみます。

鮭、タコ、甘エビ、ホタテ、鶏、すき焼き風肉豆腐、丸ごとジャガバター、キノコ汁・・どれも美味しかったです。殊に忘れられないのが、長芋を敷いた烏賊塩から。これで北の誉をグビっと皆さんやっていらっしゃるのに、エレピ運搬ドライバーの私だけ、一舐めする事もできません
 ・・なんて言うと、いかにも酒豪のように聞こえますが、実は、わたくし、お酒は弱いんです。ビールはコップに1杯で充分。ワインもグラスに1杯で終わり。焼酎水割りで辛うじて大グラス1杯。日本酒はお猪口1杯で「本日閉店」となってしまいます。 味わうのは好きなんですけどねえ。もう一寸飲めたらねえ・・とよく思います。

肝心な演奏の方は、クラリネット後藤雅広さん、バンジョー阿部寛さん、チューバ加藤人さんと私で、「星の界」「ワシントン広場の夜は更けて」「セインツ」をやり、盛り上がりました。バンジョーやチューバは珍しかったようで、何人もの方が写真を撮りにいらっしゃいました。 

片づけもスムーズに終わり、駐車場を出て帰り道、ラジオを付けたら「おお~っと亀田、反則減点。こうなるともうKOするしかありません!」とボクシング中継をしていました。「チャンピオン内藤、初防衛!」とアナウンサーが叫んでいます。内藤Who? でも、とにかく良くぞやった、内藤選手。と気分良く帰りました。

インプロ音楽祭

2007-10-08 20:39:51 | Weblog
”インプロ”とはインプロビゼーションの略。つまり”即興”のこと。アドリブとも云うけれど、アドリブは即興行為そのもの。インプロビゼーションは即興行為、及び、演奏スタイル、ジャンルも表し、意味が広いイメージがある。

「インプロ音楽祭に参加ということでビバルディの四季をやるからチェンバロを弾きに来て」と友人のバイオリニスト小笠原伸子さんから誘われて、彼女の関内のスタジオでの昨日の公演に参加しました。

12畳位のスペースかな・・(もっと広かったらゴメンナサイ)アプライト・ピアノ、チェンバロ、アイリッシュ・ハープ等も置いてある。バイオリン3人、チェロ、チェンバロ&ピアノで演奏したら、お客さんはどこで聴くのかな・・?と思うようなスペースだけれど、響きがなかなか良い。
 水曜日に一度、リハーサルをしに行った時、まず、チェンバロを移動させなければならず、手伝おう、と手をさしのべた瞬間にチェンバロが床にダーン!と落ちた。 私の左ももに当たり、ストッキングと一緒に、足の皮もやぶけた・・。しばらく動けず、手で痛い箇所を押さえて”手当”していたけど、そーだ、繊細なチェンバロは大丈夫だろうか 本来のチェンバロは現在、調整中で、代わりに来ているという中国製の、白木のそのチェンバロは、平気だったようだ。何かと話題の”中国製”だけれど、チェンバロは丈夫。更にこの楽器は、最低音域のドから下の鍵盤の順番が変わっている。下の鍵盤(白鍵)はドシラソファ、と順番通りだが、上の鍵盤(黒鍵)が、シ♭はそのままだけど、本来ラ♭(ソ♯)の鍵盤がミ、ファ♯の鍵盤がレに調律されている。これは中国製のせいではなく、限られた鍵盤数の中でこういう調律をすることはあるのだけれど、私にとっては初めてだった。少し慣れてみると、ソ♯とミの6度の位置で1オクターブが弾けるのは便利で、新鮮な感覚だった。

「ジャラジャラ、入れられるだけ自由にチェンバロを弾いて下さい」と言われたので、装飾を多くし、普段弾かない箇所にもチャッチャッ、ジャラジャラ入れてみた。本来、バロック時代のチェンバロ・パートは、通奏低音というメロディックなベース・パート(当時はビオラ・ダ・ガンバ等の現在とは違う楽器)と同じ単旋律の譜面に、コード・ネームに近い、和音の転回型を表す数字をつけて、右手は好きに装飾的にサウンドを作っていた。つまり、当時の常識の範囲内で、自由なアドリブが行われていたのだ。

アドリブで弾くことは、ジャンルに関わらず、独奏は別として、誰かとアンサンブルしている場合は、共通の時間の枠内に居られるようにテンポや小節数、更に、調性感のあるスタイルでは和音進行を共有して、その範囲内で自由に音を出すことになる。作曲家が最終決定をして書いた以外の音で遊ぶのを人に聴かせる場合、それなりに良くなければ聴くに堪えない結果になってしまう。その場に相応しい動きを収斂していくと、結構、決定版のように、毎回同じような事をやるに至る場合もある。それでも、どこか変えたり、せめて気分を変えてフレッシュでいようとしたり・・。そうなると、クラシック音楽の、作曲家によって音を固定されている中での演奏とあまり変わらなくなる。クラシック音楽での演奏だって、毎回気分や心理状態の変化で歌わせ方が違うものなのだから・・。

結局、その与えられた枠の中で、いかに気に入った遊びができるか・・、自分がフレッシュな気分でいられる為のチャレンジがどのくらいできるか・・、そこら辺に掛かってくるんじゃないかな、と私は解釈している。でも、私の場合、自分の頭の中に鳴っている音をなるべくそのまま出そうとしているだけかな・・。


ヴィヴァルディの”四季”を全曲やったあと、ピアソラの”リベルタンゴ”と”オブリビオン”を若いバイオリニストとチェリストである小笠原さんの息子さんとが、自分なりのアドリブやフェイクを含む演奏をした。音で遊ぶ事に、結構慣れているようだった。横浜バロック合奏団の出番の次に、フリー・ジャズのピアニスト大澤香織さんと、ヴォーカル宮岡ゆかりさんが1時間演奏をした。ピアノは基本的に”十二音技法”のような無調の音列で、左右両手がトンチンカンな世界を作っている。ヴォーカルも「シュ、シュ、シュ、シュ、シュ、メニメニメニメニ、キッハ~」のような、意味のない音を発したかと思うと、英語の単語が聞こえたりもする発声で対抗し、時にシンクロし、聴かせ合っていた。無調だけれど、デタラメではない。殊に始めの方は、より尖った手法の、攻撃的とさえ云える雰囲気に聞こえ、こういうジャンルに馴染みのない方が席を立ったりもしていたが、聴き入ってくると、その独特な世界が、美しく聞こえてくる。お遊びではない、本気の世界が繰り広げられていた。

こちら”ウサギさんチーム”も小笠原さんが年季の入った見事なヴィヴァルディを聴かせたけれど、”ゾウさんチーム”の芸術インプロビゼーションも見事だった。スペースの制限もあるし、”音楽祭”で採算度外視なのだろうけど、”芸術”は収入にならず・・。

初ライブ in ミントンハウス♪

2007-10-06 13:55:29 | Weblog
昨日は、第1回アストロノーツ・ライブin ミントンハウスでした。
思いがけずあのスペースとしては、大勢の方々に来て頂きました。
昨日のドキュメントを時系列に追ってみますと・・(思い出しうる範囲でですが)

17:53 - 西荻窪駅着。バンドネオンの池田くん、助っ人ゲストの阿部寛氏と改札で「宜しく」挨拶。少し遅れて着くベースの大熊くんを連れて来て頂くようお願いして、阿部さんを残し、ミントンハウスへ。
18:09 - セッティングをしていたら、阿部さんから「雨降って来たけど傘がなくて立ち往生」と電話があり、商店街まで傘を2本持って行く。
18:30 - 音出しオーケー時間となり、確認程度の音出しをする。
18:50 - 向かいの中華飯店へ。聴きに来て下さるお客さんグループに会う。注文するがなかなかお料理が来ない。
19:20 - 池田くんと大熊くんのチャーハンがやっと来た。
19:25 - 私だけ先にミントンハウスへ。アプライトピアノの正面の蓋をマスターに閉めて頂き、下の蓋を外す。その間に、他のメンバーが来る。
19:35 - 5分遅れでスタート。

  時々、時計を見ながら曲が足りなくなる心配ないな・・などと確認して進める。

20:20 - ギターの阿部さんを呼び出し、紹介して、マスターとの約束のジャズ・ナンバーを1曲、リードして頂く。”Pennies From Heaven”お陰で、予想よりはサマになったかな・・?続いて、コンチネンタル・タンゴ”黒い瞳”にも参加して頂き、場を盛り上げて頂く。
20:38 - 1stセット終了。池田くんは、バンドネオンのキー(ポッチ)が1個取れてしまった、と言ってコンビニへアロンアルファを買いに行く。えらいこっちゃ! でも、アロンアルファで簡単に修理完了。

  その間、来て頂いた皆さんに軽くご挨拶をして回る。皆さんの楽しそうなお顔を見てホッとする。バンドネオンもアロンアルファでオーケー。

21:10 - 2ndセット開始。ピアノの鍵盤が、次第にゆるむというか、アクションがバラついて怪しい気配。ピアノは、通常、鍵盤を殆ど見ないで弾いているもので、鍵盤に触れる感触だけを頼りにパッセージを弾いている。特に鍵盤の”返り”のタイミングや、黒鍵の立っている角度などが、ブラインド・タッチの手がかりになっている。自分の予想したタイミングや堅さで鍵盤が返って来ないために、自分の思い描くラインのパッセージを弾き損なったり、隣の音になったりしても、気にしない事にして、とにかく勢いを重視して続ける。
22:05 - 無事、10時を越えた事を確認して最後の曲。そして、アンコール曲も敢行。
22:15 - 2ndセット終了。来て下さった皆さんにご挨拶。そして譜面台など片づけ。
22:35 - ミントンハウスを後にする。

いらして下さった皆さん、本当にありがとうございました。
池田くんも、大熊くんも、私も、「ここまでヤッテル瞬間!」というモノが、確かにあった!と思います。コンサートホールでの演奏は、”天空に向けて放つ”感覚になりますが、お客さんが間近のライブは、溢れ出した音が自分もお客さんも、全体をつつむ感覚があり、独特のものでした。”お遊び”ではない、”本気”がやれたのが収穫でした。

皆さん、本当にありがとうございました。

今後のアストロノーツの予定ですが、
11/17(土)の新宿トラッド・ジャズ祭り
11/24(土)辻堂のブルックランズ 19:00~ が決まっています。詳細はまた、ご案内させて頂きます。また宜しくお願いいたします。