”うぇるかむBob Greene”と銘打ったライブを昨日やった。
日本に着いて8日、その前の渡航時間も合わせると少なくとも10日はピアノに触っていないので、Bob のピアノを楽しみにしていて下さる方々の手前、私の方が心配した。早めに行っても良いかライブハウスに電話をしたら「5時半まで買い物などで開けられない」と云われ、付近の貸しスタジオに電話してみたが空きが無く困った。と思ったら、当の本人は「今更、少しくらいやったって大して変わりはないよ」と平然としている。5時半に現地についても「今の内に・・」なんて思わないのか悠然としている。その内にメンバーがやって来ると、再会を喜び合う挨拶をしている。業を煮やして「新しいピアノが入ったのよ」と私がピアノに近づくと寄って来た。「カワイか?アメリカではカワイの方が良い場合が多い」「ヤマハよ」やっと椅子に座ると、かる~く鼻歌風に弾き始めた。すかさずベースが入り、ブルースが始まった。ギターも急いでチューニングしてコードを追いかける。「Abe,」指名されてギターがアドリブを始める。クラリネットもやっと組み立て終わり、参加する。ゆったりと自分たちだけの愉しみの時間を3曲分過ごして、近くの蕎麦屋に行った。
純和風を意識した中庭付きの蕎麦屋での会食をBob は喜んだ。てんぷらと豆腐ともろみ味噌を特に気に入った様子だった。他のメンバーは7時半のスタートに合わせて先に行ったが、Bob と二人だけになって、いざ靴を履く段になると、一度床に腰掛けるのに時間がかかる。「これだから歳を取るのはイヤだ。80までは何をするのも、何でもなかった。80過ぎてからだ!だから歳を取るのはイヤだ!」と怒っている。「誰でも、それは平等でしょう?貴方はとても幸福な方。貴方みたいにラッキーな方は滅多にいないでしょう?」本当にそう思ったのでそう言った。
気を取り直して店に行った。ドアを開けるといきなり拍手で迎えられた。時間的には2曲位終わったところだった。あと2曲位3人が演奏している間に、ポケットからレパートリーが書いてある古そうなメモ書きを取り出し、曲を選んで、私があげた紙に書いた。「そろそろ~」という感じになってピアノに向かった。マニアにはたまらない3曲を次々、タイトルも言わずにどんどん始めてしまう。それに付いて行けるメンバーも大したもので、Bob に刺激され、一音も聴き逃すまいと聴き入る聞き手達の前で、普段以上に素晴らしいソロとバッキングを展開していた。中でも圧巻は2セット目にやった"Tiger Rag"だった。ジェリー・ロール・モートンがやっていたのと同じように左の肘でトラの咆哮を連発する部分を、聞き手の方はイントロが始まった時から期待しているのだが、その期待を裏切ることなく、トラは吼えまくった。そして美しいピアニッシモで弾かれた"Sweet Substitute"に観客はため息をついた。10日以上もピアノに触らないでいて、こんなに人々を魅了するなんて、ある種の”スーパーマン”だと思った。
そのスーパーマンがあと1セットを残したところで「帰る」と言い出した。何かお気に障りましたか?店の方が一瞬慌てたが、ご本人は至極ご満悦だったのだ。後で気がついたのだが、帰り道を途中まで送って行くと言っていた私への配慮も幾分あったかもしれない。引き際を判断し、周りの人への思いやりも見せる、83歳の”スーパーマン”である。
日本に着いて8日、その前の渡航時間も合わせると少なくとも10日はピアノに触っていないので、Bob のピアノを楽しみにしていて下さる方々の手前、私の方が心配した。早めに行っても良いかライブハウスに電話をしたら「5時半まで買い物などで開けられない」と云われ、付近の貸しスタジオに電話してみたが空きが無く困った。と思ったら、当の本人は「今更、少しくらいやったって大して変わりはないよ」と平然としている。5時半に現地についても「今の内に・・」なんて思わないのか悠然としている。その内にメンバーがやって来ると、再会を喜び合う挨拶をしている。業を煮やして「新しいピアノが入ったのよ」と私がピアノに近づくと寄って来た。「カワイか?アメリカではカワイの方が良い場合が多い」「ヤマハよ」やっと椅子に座ると、かる~く鼻歌風に弾き始めた。すかさずベースが入り、ブルースが始まった。ギターも急いでチューニングしてコードを追いかける。「Abe,」指名されてギターがアドリブを始める。クラリネットもやっと組み立て終わり、参加する。ゆったりと自分たちだけの愉しみの時間を3曲分過ごして、近くの蕎麦屋に行った。
純和風を意識した中庭付きの蕎麦屋での会食をBob は喜んだ。てんぷらと豆腐ともろみ味噌を特に気に入った様子だった。他のメンバーは7時半のスタートに合わせて先に行ったが、Bob と二人だけになって、いざ靴を履く段になると、一度床に腰掛けるのに時間がかかる。「これだから歳を取るのはイヤだ。80までは何をするのも、何でもなかった。80過ぎてからだ!だから歳を取るのはイヤだ!」と怒っている。「誰でも、それは平等でしょう?貴方はとても幸福な方。貴方みたいにラッキーな方は滅多にいないでしょう?」本当にそう思ったのでそう言った。
気を取り直して店に行った。ドアを開けるといきなり拍手で迎えられた。時間的には2曲位終わったところだった。あと2曲位3人が演奏している間に、ポケットからレパートリーが書いてある古そうなメモ書きを取り出し、曲を選んで、私があげた紙に書いた。「そろそろ~」という感じになってピアノに向かった。マニアにはたまらない3曲を次々、タイトルも言わずにどんどん始めてしまう。それに付いて行けるメンバーも大したもので、Bob に刺激され、一音も聴き逃すまいと聴き入る聞き手達の前で、普段以上に素晴らしいソロとバッキングを展開していた。中でも圧巻は2セット目にやった"Tiger Rag"だった。ジェリー・ロール・モートンがやっていたのと同じように左の肘でトラの咆哮を連発する部分を、聞き手の方はイントロが始まった時から期待しているのだが、その期待を裏切ることなく、トラは吼えまくった。そして美しいピアニッシモで弾かれた"Sweet Substitute"に観客はため息をついた。10日以上もピアノに触らないでいて、こんなに人々を魅了するなんて、ある種の”スーパーマン”だと思った。
そのスーパーマンがあと1セットを残したところで「帰る」と言い出した。何かお気に障りましたか?店の方が一瞬慌てたが、ご本人は至極ご満悦だったのだ。後で気がついたのだが、帰り道を途中まで送って行くと言っていた私への配慮も幾分あったかもしれない。引き際を判断し、周りの人への思いやりも見せる、83歳の”スーパーマン”である。