室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

X'mas 会 2008

2008-12-26 00:19:14 | Weblog
今年のクリスマス・イヴは、昨年に続いて、ワンディッシュ持ち寄りのクリスマス会に参加しました。

横浜国大の先生で横浜の良き文化人でいらした故・柳田尚史先生のサークル柳田ガッコウのメンバー有志が11人、現・代表の鵜飼たつ子さんの眺めの良いマンションに集いました。

問題のワンディッシュ。去年は洋風居酒屋でネタを仕入れたラ・フランスを使ったお料理を作りましたが、今年タネ切れで、母の今年のヒット料理を母に作って貰いました。

夏休みの宿題を全部親にやらせた子供の心境心境ですが、どこかの出来合いを買うよりはマシか…と思って、秋刀魚の生姜梅干し風味の甘辛煮を作ってもらいました。今までカルシウム補給の意味もあって、何年もシコ鰯で作って来たのですが、近頃はシコ鰯があまり売りに出ていないので、今シーズン秋刀魚で作ってくれたら、秋刀魚の方が数倍美味しいのです。「お母様にご馳走様でしたとお伝え下さいね」皆さんにおっしゃられましたとさ…。

写真は、皆さんお持ち寄りの綺麗で美味しいお料理が並んだ豪華なテーブルです。母の秋刀魚は地味で何処にあるかパッと見た目わかりませんね。

これでもまだ半分位で、他にもうひとテーブル有りました。これを3時半から9時半まで6時間、良く食べ、良く喋り、良く笑い、黒一点だった愛妻家の篠田さんの、奥様を2年前に亡くされたお話に感動し、涙を流し、…気取らないインテリの皆さんと楽しく過ごさせて頂きました。

鵜飼さん、ありがとうございました。

福島市音楽堂

2008-12-24 00:14:57 | Weblog
福島市音楽堂で東京室内管弦楽団のクリスマス・コンサートがあり、少し早起きして行きました。

福島は新幹線で東京からほぼ1時間半。けっこう早いです。

この日は、オルガンの室住素子さんと、チェロの溝口肇さんでした。チケットは完売!

コレルリのクリスマス協奏曲などもプログラムに有り、この写真では見づらいかと思いますが、私はチェンバロとピアノを弾きました。チェンバロはノイペルトというメーカー品で、立ち上がりの良い音質でした。ペダルが5本付いていて、16フィート以外全部踏んで演奏しました。因みにピアノはスタインウェイ。調律師の方が両方を調律して下さいました。

ホールの壁はタイル張りなのですが、音楽堂の名に相応しく、特に中央付近で客席は、舞台で感じる以上に豊かな残響がありました。前方はリアルな生音。後方はマイルドなさっぱり系ですが、全体に暖かい音響のホールです。

福島市内在住の叔父が叔母と聴きに来てくれました。終演後、叔父とホルンの河野さんと、山形から山越えして聴きに来て下さった小学校教諭の裕美ちゃん先生と4人で、駅近くのレストランへ行き、楽しく食事をしました。

新幹線の時間までの1時間くらいしかなかったので、少し慌ただしくなりましたが、叔父と裕美ちゃん先生は初対面であったにも関わらず、談笑して楽しいひと時となりました。何よりもまず、新幹線に乗り遅れる事がないように叔父が気配りをしてくれて、私たち3人を送り出し、結果的に(いや、叔父は初めからそのつもりだったのでしょう)ご馳走になりました。大人らしい、スマートなやり方で勉強になりました。

3分前くらいに新幹線ホームに行ってみると、私と河野さんの他は、若いバイオリンとビオラのお兄ちゃんコンビしか姿はなく、大方のメンバーは30分前の新幹線で去ったあとでした。回数券だから、自由席になってしまうのですけどね・・。みんな、相変わらず逃げ足早いな~。

みぬま・おにぎり

2008-12-19 03:10:49 | Weblog
埼玉の福祉団体みぬま会主催のオーケストラのコンサートが大宮ソニックでありました。

いつもスタッフとご父兄による手作りおにぎりが振る舞われます。心がこもっている、大きくふっくら美味しいおにぎりです。私は、みぬま会のミニコンサートで何度も伺っているので、おにぎりを作っている方達のお顔が分かるのですが、大ホールでのコンサートの日は、ちゃんとご挨拶をする余裕がなくて、失礼しています。

今回は、ソプラニスタの岡本知高さんがゲストでした。男性ですが、ソプラノの音域で歌えるのです。ご本人は「ファルセット(裏声)ではなく、地声なんです」とおっしゃっていましたが、蝶々夫人の『ある晴れた日』が歌えちゃうのです。

驚くのは声だけではありません。衣装も凄いです。しかし、何と云っても珍しい声帯なのだそうで、「かつらをつけて、着物を着て『蝶々さん』を歌うのは自分としても違和感があるので、自分の変わった声を”個性”として歌っていきたい」とおっしゃっていました。

この日は、アメージング・グレイスをピアノ伴奏で歌われるということで、少し前にPDFで楽譜が送られて来たのですが、手書きの譜面のFAXをスキャンしたもののようで、少し変わったハーモニーのアレンジなので、見やすいように楽譜を打ち直ししました。よく聞かれるような、ジャズっぽい雰囲気は微塵も無く、それでいてスピリチュアルな、崇高な線を意図した編曲で面白かったです。

ピアノにもスポットが当てられたようなのですが、かえって鍵盤が陰になり、黒鍵が目を凝らさないと見えなくなるので、小さいLEDのライトが譜面台の両側に挟むように取り付けられました。色んな事があるものです。


洞爺湖サミットの時に乾杯で出されたという北海道産の白ワインを指揮者の菅野宏一郎さんが「もらったので皆さんに少しずつ飲んで頂こうと」そこにあったハサミで栓を抜こうとしているのを、スイスのアーミーナイフをお貸しして、私も一口頂きました。道産酒の会で飲めなかった憾みを晴らした、仇を打った・・て事もないけれど、かなり美味しかったです。

指揮者を囲む打ち上げに参加したい気もしたけれど、保育園の歌を作曲する作業を進めないといけないので、帰りました。しかし、その一口飲んだだけなのに眠くなり、結局作業は大して進まず。あいかわらず弱っちいな~。

わしゅの会

2008-12-15 12:40:14 | Weblog
慶應大学OBの三田会の中に”わしゅの会”が新しくできて、お呼ばれして伺いました。

いつも”道産酒の会”でお世話になっている堀田さんが代表世話人をなさるので、道産酒の会と同じようなスタイルで行われました。

塾歌を歌って、洞爺湖サミットでG8へのお土産に贈られた『国酒』で乾杯の後は、北海道酒造組合の西田孝雄氏によるスピーチで「北海道で日本酒だけ好調」というお話を聞きました。北の誉ほか、味の違うお酒が次々出されて、皆さん大喜びのようでした。

続いて、桐蔭横浜大学教授の経済学者の黒澤清一先生の「サブプライム・ローンをやらせて世界経済に大打撃を与えた張本人は誰か?」という興味深いスピーチ。「もちろんブッシュ大統領である。選挙に勝つために、貧しい低所得者層に『家が持てる』というアメリカン・ドリームを見せる政策を掲げてこうなった。ドイツの計略にまんまと乗せられて、世界中に毒入り饅頭をばらまいた。オバマ氏が日本に仕掛けて来る前に、日本は侮れない存在感をガツンと示しておかなけりゃいけないのに、今の政府は日本語がちゃんと出来ない人がやっている」全く困ったもんだ、と一同うなずきました。

少し歓談時間を取ってからミュージック・タイム。
バイオリンの小笠原伸子さん、クラリネットの後藤雅広さん、ギターの阿部寛さん等、素晴らしいゲスト・ミュージシャンとクラシック、バロック、タンゴ、ジャズ・・と色んなジャンルの音楽を演奏しました。色んなジャンルの演奏者とやるには、それなりに譜面の準備も必要となります。結果的に、自分たちも愉しんで出来たので、まあまあかな・・。

その後は、純米酒・吟醸酒・本醸造酒を当てる利き酒大会。写真はすでに半分に減った第2回戦。この時、波乱が起きます。一番左の方以外、全員が手を挙げてはずれたのです。
こんな事もあるんだな~って事で、2回でアッサリ”関白殿下”が決定してしまいました。その関白殿下の一本締めで愉しくお開き。

堀田さんがご尽力された”わしゅの会”は、その計画通り、”わっはっは”の会となりました。

ルーテル市ヶ谷

2008-12-10 12:24:37 | Weblog
12月に入って10日になるのに、設定された〆切に何とか間に合わせる、デスパレートな生活のせいか、実感を素通りしている感じです。

先週末は、東京室内管弦楽団の恒例になっている下妻公演があり、「下妻といえば年末なんだなー」とバスに揺られながら、筑波山を眺めたのですが、晴天で暖かかったせいか「本当に12月かな・・?」


8日に、フィンランドで知り合った友人、メゾソプラノの駒ヶ嶺ゆかりさんと、ピアニストの水月恵美子さんによる”シベリウス歌曲全曲演奏シリーズ”の最終回が、シベリウスのお誕生日に合わせて、ルーテル市ヶ谷で行われ、聴かせて頂きました。

お二人の師である舘野泉さんをはじめ、”イズミ教”の信徒(ご本人は教祖になった覚えはないでしょうけれど)のお顔も沢山見られ、8回に渡って行われた、全曲演奏会の最終回を見届けようという方々で溢れていました。

フィンランド人であるけれど、約100曲のうち、9割はスウェーデン語で書かれている歌曲。その中でも、北欧の大自然を通して人間や愛について詠んだルーネベリの詩に、シベリウスが曲をつけた作品ばかりがこの日は演奏されました。

森、山、海、大地、泉、花・・・。人間のちっぽけな力ではどうにもならない圧倒的な自然に、大自然の一部である人間の自然な感情を乗せて、感情を歌っているようでいて、結局つきぬけて自然を歌うルーネベリとシベリウス。

現代、今日、日本の私たちの環境からは生まれ得ない世界の芸術です。その世界が、北海道生まれにしてフィンランドで学んだゆかりさん、同じく恵美子さんのお二人によって、繰り広げられていました。楽しいお人柄でいて、芸術に人生を捧げている姿勢に心打たれました。

ルーネベリについての研究家、山崎陽子さんのお話や、千石史子さんとの二重唱がアクセントとして入るなど、工夫もされていました。

写真は、開演前のルーテル市ヶ谷。
てっぺんに星や月の飾りが付いたオルガン。天井からは人型のようにも見えるいくつものクロスのオブジェ。そして右側には大きなクリスマスツリー。虚飾を廃した、でも暖かみのある、お二人に相応しい空間でした。


終わって、お客様を送り出すゆかりさん、恵美子さんを待って、お二人の偉業を讃えたくて、打ち上げに参加しました。舘野さんの物まねをするゆかりさんを真似する舘野さんの様子を、また真似するゆかりさん・・といった芸に笑いは絶えず。「全曲演奏の第2ラウンド、第3ラウンドもやってね」と話しているうちに終電の時間に。

最寄り駅に帰って来ると、タクシーさぞや行列・・と想像していたら大したことはなく、10人くらいですぐに乗れました。

綺麗なツリーも見たけど、ホントに12月かな・・?

師走・突入

2008-12-01 11:44:20 | Weblog
今日から師走。

まだ全然実感がないので、信じられないと言うか、信じたくないと言おうか・・。早いでんな~

”先生”が走る師走ですが、走り廻るのは先生だけではありません。士農工商、犬ネコ、ネーちゃん、楽隊(演奏業の身分を表す業界用語)、皆かけずり廻りますから、人、モノ、風邪など、出会い頭に気をつけなければいけません。

数年前ですが、池袋駅のコンコースを急いでいたら、ラリアットを喰らった事があります。転ぶほどではなかったけれど、ショックでした だから、ホント、12月の、特に池袋は気をつけないとね・・


忙しいのは11月いっぱいまで、と信じていたら〆切が色々あって、3月いっぱいまでは、ネジ巻いて行かなくちゃならない事が分かりました。去年もそう言っていたような・・

やる事がいっぱい有るのは、有難いことです。忙しい方が元気な質なので。でも、現実、一つ一つこなさないとね。

写真は、仕事場の”加湿器”です。逆光でオシメのように写ってしまいましたが、本当は一応レースも付いている立体柄のタオルです。水に濡らしてゆるく絞ってエアコンの下、頭の上にハンガーで吊す。3時間位で乾いてしまうので、また濡らして吊す・・。効果の程は、断定出来ませんが、やらないよりはマシと信じてやっています。

これから寒くなるしね。眠くなるしね・・。おっと、眠ってはいかん! やらネバ~

清瀬の蕎麦屋

2008-12-01 00:07:06 | Weblog
 清瀬市民文化センターで恒例の小学生向けオーケストラの音楽鑑賞会があり、早起きして演奏しに行きました。

ずいぶん前からほぼ毎年ある仕事で、ホールから100mの場所にあるお蕎麦屋さんへお昼を食べに行くのも恒例となっています。写真は昨日頂いた三色そばセットです。ランチタイムは千円ちょうど。席数は20位ありそうなのですが、コンロが2つ位しか無いのかなー…。オーケストラのメンバーが十数人は行くので、注文して出て来るまで結構時間がかかります(^-^;)

それでも行くのは、毎年行っているからです。

禅問答のようですが、“恒例”として「今年も来た」事を確認するのです。あまりにも毎年同じだから、同じ年月を共有している同僚たちと、今年も一緒に演奏している自分に安心したり、思い出に浸ったりもします。

ちょうど10年前、指揮者で東京室内管弦楽団の主宰である岩窪さんは、ここ清瀬での本番で身体の不調を感じて「今日は声が出ないから、これから病院へ行くしかないなー。」とおっしゃって、その2日後に容体が急変して他界されました。医者嫌いの岩窪さん。「医者にかかるのは、死亡診断書を書いてもらう時だけだ」とよくおっしゃっていたのが、その通りになってしまいました。

岩窪さん最後のステージとなった清瀬。岩窪さんの思い出のイメージが、秋から冬にかけてのちょうど今頃なのは、毎年11月にある“清瀬”にあるとも云えるような、ひとつの象徴的な場所です。

このお蕎麦屋さんでお昼を食べる昔からのメンバーは、皆さん口にしなくても心の片隅に岩窪さんのイメージを思い出していると思います。”清瀬”フォーエヴァー