( 富 山 湾 )
朝、宿の部屋のカーテンを開けて、しばし景色に見とれた。
宿は、富山湾に臨む岬の丘の上にあるらしい。
昨夕、雨晴駅まで迎えに来てくれた宿の車は、ぐるぐると鳶のように弧を描きながら、上へ上へと上って行った。
宿を予約したとき、「マップを見ると駅から近いですね」と聞いたら、「駅までお迎えに行きます」との返事。列車で到着した人たちをまとめて乗せるのだろうと思い、「でも、列車を降りて、雨晴海岸で時間を過ごすかもしれません」と言うと、「いつでも電話してください。お迎えに行きますから」とのことだった。親切なもの言いに好感をもった。
もし海岸からこの高さまで荷物を持って徒歩で歩いたら、ちょっと無理でした!! 最初からそれなりの覚悟してたら別でしょうが。
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今日も曇天で、立山連峰は見えない。だが、眼下には古風な黒瓦の屋根が並び、波静かな富山湾が広がって、その向こうには、薄く冠雪した能登の山並みが霧の中に続いていた。
( 朝の富山湾 )
( 能登の山並み )
チェックアウトのとき、フロントの女子に、「雪の立山連峰を最もよく見られる季節はいつですか」と聞いてみた。ちょっと考えて、「2月、3月。一番は3月でしょうか」と言う。「えっ。 そういう季節なの? 」 (5月くらいかと思っていた)。「3日ほど前もとても綺麗に見えましたよ!!」「そうなの? 」「何日かに1回くらいの割合で、絶景が見えます!! あとは、運ですね」。
…… それなら、リタイヤした暇な身分。前日の天気予報を見て判断し、翌朝、列車に乗ってもよい。
宿はここ。大きな旅館だが、あまり混んでいないし、昨夜の料理は美味しかった。従業員の感じがいい。
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車で「雨晴」駅まで送ってもらい、列車がくるまで、海岸に降りて過ごした。
絶景ではないが、穏やかで、気持ちの良い海岸線だ。
( 雨晴海岸で立山の方を望む )
ホームに上がると、一人旅の青年が三脚を立てて、やって来る列車を撮影していた。脚が長い。小顔。向井理のタイプ。
列車に乗り込んでから、青年に、「鉄道写真を撮る旅ですか? 」と聞いてみた。「いえ、立山連峰を写したくて、休暇を取ってきたのですが」「じゃあ、一緒です。お互い、残念でしたね」。
( 雨晴駅のホームで )
下の写真は、小さな「雨晴駅」の駅舎の横にあった大きな看板である。この光景を自分の目で見、自分のカメラにおさめたくて、この青年も私も、ここまで鈍行列車に乗ってやって来た。
( 「雨晴駅」の横の看板の写真 )
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氷見線に乗って、「雨晴」から「高岡」まで、コトコトと20分。
「高岡」で乗り換えて、とやま鉄道で「富山」まで、また20分。
「高岡」からは、開通した新幹線が並行して走っているはずだ。しかし、旅はローカル線が一番である。
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