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科学とAIがつながると何が起こる? 脳科学研究者がビジネスの世界で社会課題へ挑む  202202

2022-02-08 23:26:00 | 気になる モノ・コト

科学とAIがつながると何が起こる? 脳科学研究者がビジネスの世界で社会課題へ挑む
  ソトコトオンライン編集部 より 220208


 内閣府が推し進める「ムーンショット型研究開発制度」をご存知だろうか。超高齢化社会や地球温暖化問題などの社会課題に対し、野心的な目標に対し国が後押しして研究開発を推進する制度だ。
 脳構造の研究からスタートした株式会社アラヤの金井良太氏は、このプロジェクトの一つ、「身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放」というプロジェクトにおいて、中心的な存在のひとりだ。AIとニューロテックの融合を追い求めるアラヤ。「AI×脳神経科学の未来」について金井氏に話を聞いた。

⚫︎脳科学者から起業家へ。研究を事業化することへの大きな壁
 ソトコトNEWS アラヤは「脳・神経科学×AI」が事業の大きな柱ですね。この事業に取り組むきっかけについて教えてください。

金井 私は元々脳の研究者でした。脳から心や「意識」がどのように生まれるのか、脳のデータと機械学習を掛け合わせ、「認知症になりそうか」「どの薬だと効果が出るか」などを予測し、事業化したい。事業を通じて、研究そのものも進めたいという野心が大きかったんです。そこで2013年にアラヤを設立しました。

 研究で、脳のMRIの画像をたくさん集めて機械学習をかけると、それまで見えなかったものが現れてくることが分かりました。しかし、研究者ではなく、企業として取り掛かろうとすると、AIの領域で事業化するには膨大なデータが必要です。データ量が少ない脳科学は、信頼性が著しく低くなりますから。
 MRIの画像をたくさん集めるのは、費用がかかりすぎるためベンチャーでは現実的ではありませんでした。
 この本質的な問題を乗り越えるために、患者さんがお金を払って画像を撮る日本の脳ドックに注目しました。
 5~6年経営して会社の規模が大きくなり、体制が整ってきたので、ちょうど今から1年程前に起業当初からやりたかったニューロテックの事業化に取り組もうと決めました。

 一番大きなプロジェクトは、内閣府の「ムーンショット型研究開発制度 (※1)」です。「ブレイン・マシン・インターフェース (※2)の事業化」を提案し採択されたので、「脳の技術を活かす」という研究者時代からの最初の志に戻ることになりました。

※1 内閣府「ムーンショット型研究開発制度」概要 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

※2 ブレイン・マシン・インターフェースとは、脳波などを読み取り、その命令でコンピューターを動かしたり、それとは逆に、コンピューターから脳に直接刺激を送ることで、人に視覚や味覚等を与える技術や機器の総称。

⚫︎「脳情報」を目に見える形にするテクノロジー「ブレイン.マシン.インターフェース」とは
 ソトコトNEWS これまで研究の分野で追求してきたことを、実際に事業化するのは並大抵のことではないですよね。今後、AIやエッジコンピューティングと連携すると、具体的にどのようなことができるとお考えですか?

金井 メディカルな領域と、一般消費者向けのサービスの2つの方向性があると考えています。
「ブレイン・マシン・インターフェース」は、一言で言うなら、「頭で考えただけでモノを動かす世界」をイメージしてもらえると分かりやすいと思います。
 実際に裏側ではどんなテクノロジーかというと、頭の中で何かを想像すると、特徴のある脳波が出るんですね。その脳波をもとに、ロボットを動かしたり、機器をコントロールする技術です。つまり、「念力を実現するテクノロジー」と言っても過言ではないかもしれません。
 脳波の取り方は、「侵襲(しんしゅう)」と「非侵襲」という2つの方法があります。「侵襲」は医療の現場で、体が麻痺して動けない患者さんの頭蓋骨に穴を開けて、その中に電極を入れて情報を取り、日常生活を送れるようにしていく。
 例えば麻痺して手を動かせない人が、頭の中で文字を書いてるところを思い浮かべるだけで、画面に文字を書けたりする。100%正確とまではいきませんが、相手に伝わるレベルでの技術が実現しています。
 一方、「非侵襲」は、おでこにパッチ型の脳波センサーを貼るなどして脳波を計測します。頭に物理的に穴を開けなくとも、脳波で車椅子を動かしたり、VR空間のアバターをコントロールしたりすることができるということです。

⚫︎医療の現場では、AI技術で安全性と精度の向上が急務
ソトコトNEWS 「ブレイン・マシン・インターフェース」は脳とAIをつなぐ重要なキーワードですね。
侵襲と非侵襲、事業化においても方向性は大きく異なりそうですが。

金井 そうですね。身体に障害を抱える人が日常生活においてできないことを、AIが人に変わって実現するという考え方を、我々は「AI支援型」と呼んでいます。
 技術の上では、侵襲でも非侵襲でも脳波を読み取るということは変わりありませんが、侵襲は体を傷つけますから当然リスクがあります。
 だから、できる限り、侵襲の度合いを下げたい。しかし侵襲度を下げると、信号のクオリティが下がるので、情報を読み取るのが難しくなります。
 そこで、ディープラーニングで情報を読み取る技術を高めて、侵襲の度合いを下げながら精度高く情報を読み取りたい。人への安全性を担保した上で活用を進める、それぞれの技術がせめぎ合いをしています。

ソトコトNEWS AIとコンピュータが自分の代わりに、思い通りに動く。この技術は今どこまできているのでしょう。

金井 例えば、外国人と話すときに、頭の中で普段通りの会話をイメージするだけで英語に転換してコンピュータがアウトプットしてくれる。これは技術的には、十分実現可能です。あとは、脳波を読み取ってジャンケンで相手が何を出すか、そんなこともすでに技術的に可能になっています。
「脳波」を活用することが「当たり前」になる未来。未病の領域で研究技術をどう活かすか
ソトコトNEWS 実際に日常生活で、人々が「脳波」を活用することが普通になる世界はいつ頃訪れるでしょう。

金井 実はブレイン・マシン・インターフェースを活用した医療やサービスは、すでに実用化されています。主に侵襲が用いられる医療の分野だけではなく、非侵襲のヘルスケアサービスも世に出はじめています。
 ただ、普通の人が生活していて、「脳波を取りたい」と思うことってないですよね。ですから、この技術を広めるには、面白い仕掛けが必要だなと。

 私たちは今、BtoB領域でAIと組み合わせた活用を検討しています。例えば、表情や視線の方向から、画像だけで心拍が測定できるのをご存知ですか?
 撮影することさえできれば、簡単に生体データをとることができるということです。我々は、画像から脳波を予測し、そこから分析・提供できるソリューションの開発に向けて、事業化への挑戦を進めています。

ソトコトNEWS 今後、これらの研究や実用化を元に、アラヤが作りたい未来とは?

金井 私たちが今後やれたらいいなと思っているのが「鬱の予測」です。鬱やストレスは、心拍をベースにして予測できると考えています。精度をあげることができれば、鬱になる前に手を打てる可能性が高まります。
 例えば、今や当たり前になったオンラインミーティング。ヘルスケアアプリで表情を撮影し、毎日の体調をモニタリングする。精神疾患は、自分で異変に気づくことが非常に難しいですから、早期のタイミングで、周りの人が何らかの異変に気付ける仕組みがあるほうがいいと思うんです。

 脳波を測ることが「普通」になる未来を目指す。私たちが先陣を切って、新たなマーケットづくりをすることが大事だと思っています。

今の日本の技術でも、精度を高めることは十分可能です。

 我々は「研究者」として、「誰もが安心して使える技術」にした上で、「事業家」として「この技術は役に立つと社会に示す」こと。両軸で進めることが重要だと考えています。

 技術的にも理論的にも今はハードルが高いですが、未来を面白くするアラヤの目標としては、頭で考えたことを他の人に送る「テレパシー」を将来的に実現したいと考えています。
「今の経営で正しいこと」ではなく、「未来を見据えて圧倒的に面白い」挑戦がしたい

ソトコトNEWS ミッションが「人類の未来を圧倒的に面白く!」、ビジョンが「すべてのものにAIを宿らせる」。とても印象的ですね。

金井 AIといえば面倒な仕事を減らすとか、ネガティブなものを失くして効率化するイメージが大きいですよね。我々は「AIを使ってもっと人々の暮らしにとってプラスのものを作りたい」という想いがあり、そこを「面白い」と表現しています。
 世の中には、「正しいけれど面白くない」ことがたくさんあるとは思いませんか?しかし、必ずしも論理的に正しいことだけが正解だとは思えないんです。今とこれからを見据えて可能性を見出し「面白い」から挑戦する。「面白い」という感覚は、本質的に大事だと思っているんです。

 会社は収益を上げる必要があるので偏り過ぎてもいけませんが、「面白さ」を目指すと、より本質的な価値が作れるはずだという確信があります。

ソトコトNEWS 脳科学とAIが合体すると、製造、建設、物流、プラント、ヘルスケアや農業などの各業種では何が起こるでしょう?

金井 我々は画像認識を利用して、人流解析や人の行動解析もやっています。そこに今後「脳」の視点を加えていく。すると、対象者が興味をもっているのか、どう感じているかといった主観的な情報を取れるようになるでしょう。
画像認識にAIの技術とニューロテックを組み合わせることで、多くの業界で技術活用が広がり、イノベーションを起こせると期待しています。

【参考文献】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
https://www.araya.org/
https://www.jst.go.jp/moonshot/program/goal1/index.html
https://brains.link/
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⚠️ ハイブリッド車はいつから「悪役」になったのか 202202

2022-02-08 23:14:00 | なるほど  ふぅ〜ん

ハイブリッド車はいつから「悪役」になったのか
 東洋経済 onlain より 220208    江田 健二:RAUL代表取締役


⚫︎「正義の味方」とみられているEVをめぐる2つの大きな誤解とは
 今、世界をゆるがす「脱炭素」の流れで、2030年代にガソリン車・ディーゼル車等の販売禁止を宣言する国が増えています。
 いったいなぜ、そんなにも早く禁止するのでしょうか。しかも、ガソリン車・ディーゼル車に加えて、ハイブリッド車までもが販売禁止の対象になりつつあります。これはハイブリッド車によって大躍進した日本にとっては大打撃です。
 なぜこんなことになっているのか。本稿では江田健二氏の新著『2025年「脱炭素」のリアルチャンス すべての業界を襲う大変化に乗り遅れるな!』より一部抜粋して紹介します。
EVを、どうしても普及させたい勢力
 なぜ、ハイブリッド車の販売禁止が検討されているのでしょうか。かつては、エコカーの代名詞だったハイブリッド車がいつから悪役になってしまったのでしょうか。

 1997年、世界初の量産ハイブリッド乗用車「トヨタ・プリウス」が発表されました。「21世紀に間に合いました」がキャッチコピーです。ハイブリッド技術が自動車業界の「ゲームチェンジ」となり、日本車をさらに躍進させました。

 実は、ハイブリッド車はこれまでも1億トン以上、温室効果ガス削減に貢献しています。燃費の悪いガソリン車から転換することで、温室効果ガスの削減に寄与してきたのです。温室効果ガス削減に貢献してきたハイブリッド車の販売禁止が検討されているのはなぜなのでしょう。ハイブリッド車が悪いわけではないのです。

 ここには、ヨーロッパ自動車メーカーが仕掛ける「したたかなゲームチェンジ」があるのです。地球のため、環境のためという主義主張に、ヨーロッパのメーカーが「自動車産業で、世界市場に返り咲くため」という狙いが入っています。

 EVへの急速なシフトの背景には、2015年の「ディーゼルゲート事件」があります。ヨーロッパは、ハイブリッド車に対抗するために、ディーゼルエンジン車の開発に力をいれていました。
 しかし、2015年、アメリカの環境保護局(EPA)が、世界的自動車メーカーであるドイツのフォルクスワーゲン(VW)が排ガス検査時に不正を行っていたと発表します。自動車業界は大混乱となり、VWのCEOは発表から数日で辞任に追い込まれます。ディーゼルエンジンに対する消費者からの信頼は失墜してしまいます。
 VWやヨーロッパの自動車メーカーは、ディーゼルエンジンを諦めます。そこで目をつけたのが成長著しいEVです。EVへの急激なシフトを進める決断をし、自動車メーカーを支援したヨーロッパの各国政府も、税控除などを活用してEVの支援に力をいれます。

 VWは、EVを推進すると共に電力子会社のElliを設立します。ここでは、自動車とエネルギーを融合したサービスを企画しています。具体的には、EVの購入者に対して、再生可能エネルギーの販売、家庭へのEVの充電設備、街中での充電スポットサービス、余った電気の電力網への電力販売のサポートなどを計画しています。

これらのヨーロッパの動きから見えてくるものは、何でしょうか?

 ハイブリッドがいつの間にか悪役になったのは、ライバルが仕掛けてきた「ゲームチェンジ」によるものだということです。ハイブリッド車の性能が悪くなってしまったというわけではありません。ここにも各国の思惑が渦巻いているのです。

⚫︎正義の味方、EVに関する2つの誤解
「恋は盲目(Love is blind)」。シェイクスピアの作品のセリフです。世界中で高まるEVへの期待。多くの投資家がEVに恋し、EV企業の株価は上がる一方です。脱炭素の切り札として登場した正義の味方、EV。私もEVの将来性、可能性に大きな期待を抱いていますが、あえて2つの誤解についてご紹介します。

ー誤解1 すべてのガソリン車がEVになる
 EVはどのように普及していくのでしょうか? 私は、EVは「定・短・軽」から普及していくと考えています。「定期ルート、短距離、軽い車」です。
 理由は、充電インフラです。ルートが決まっている車であれば、充電インフラの整備は比較的容易です。短距離の移動や軽い車であれば、そもそも充電の心配が減ります。EVは、走行距離が事前にある程度予測でき、短い距離を軽い荷物を載せて運ぶ移動に最適です。

 そういった理由から、EVは街中のバスや宅配用の車、ゴミ収集車などに向いています。長い距離を走らない都市部の乗用車も向いています。中国では、バスやタクシーからEV化が進んでいますが、このような理由が背景にあります。逆にルートがまちまちで、長距離を走る可能性もあり、重い荷物を積む車はEVには不向きです。別の輸送手段、移動手段が生まれてくるでしょう。

ー誤解2 EV化で脱炭素が実現する
 EVになることで、脱炭素が実現する。正しい部分もありますが、「今一歩」の部分もあります。EVに利用する発電が化石燃料では、EV化しても脱炭素には寄与しません。EV普及による脱炭素は、再生可能エネルギー等のクリーンエネルギーとセットで進めていく必要があります。

 あくまでも仮の話ですが、日本の車をすべてEV化した場合、電力消費量は1〜2割増加するとの試算があります。現在、日本は発電の70%強を化石燃料に頼っています。EV化しても温室効果ガスの削減には、残念ながらあまり寄与しません。

 EVの製造時に排出されるCO2も見逃せません。特にEVに搭載するバッテリーは製造時に多くの温室効果ガスを排出します。EVに搭載されるバッテリーはハイブリッド車の50倍以上です。走行時ではなく、製造工程も含めると、ハイブリッド車のほうがEVよりもCO2排出量が少ないとの指摘もあります。
 その点をふまえると今後は、バッテリーの再利用がカギになります。バッテリー製造時のCO2排出やバッテリー材料が不足する懸念も指摘されているため、日本はリユースバッテリーの分野でチャンスをつくっていけるのではないでしょうか。

 EVに関する2つの誤解を紹介しました。EVは、その特性が発揮できる「定・短・軽」の領域から普及していくでしょう。ただし、再生可能エネルギーやバッテリーのリユースについてもセットで考えていくことが大切です。

⚫︎自動運転がさらなるゲームチェンジに
 2000年代、ハイブリッド車がゲームチェンジとなり、日本車が世界で躍進しました。今、海外勢が脱炭素を背景にEVでゲームチェンジを狙っています。さらにここに「自動運転」の社会が到来すると、さらなるゲームチェンジが起きます。

 自動運転は燃料の問題ではなく、自動運転という車の「機能の変化」が私たちと車の関係性を変えていきます。日本でも2025年度までに全国40カ所以上で「レベル4」の自動運転を目指しています。完全な自動運転である「レベル5」の車が普及するのは、早くても2030年以降でしょう。しかし、ニーズが高いという理由から着実に自動運転の社会実装は進むでしょう。

 自動運転が進むと交通渋滞が緩和され、自動車から排出される温室効果ガスの削減が期待できます。どうしてかというと、交通渋滞が起きて走行速度が低下すると、排出される温室効果ガスが増大するからです。

 加えて、自動運転は、私たちのライフスタイルにも影響を与えます。一部の愛好家は別として、多くの人にとって、自動車は所有するモノから利用するモノになっていきます。移動に対して自転車・バス・電車・徒歩などを組み合わせて「スムーズで一本化された」サービスを望むようになります。

 将来的には、「マイカー」という考え方がなくなるかもしれません。特に都心部では自動車を所有するコストが高く、費用対効果が合わなくなってきています。
 だからといって、自動車メーカーが顧客の車を有効活用する方法を提案してくれるわけでもありません。いわば「車を売ったら終わり」のビジネスになっていて、顧客の「移動の最適化」を支援するという話はあまり聞こえてきません。

⚫︎自動運転が実現した社会に起きる変化
 今の消費者は、さまざまな分野で、日々新たなビジネスモデルに触れています。自動車メーカーや販売店の変わらない営業スタイルに対して、潜在的に不満や疑問をもつ消費者が増えていくのではないでしょうか。

 自動運転が実現した社会では車に求められる性能も変わります。例えば、充電スピードの優先順位は下がります。なぜなら、車を所有する場合、充電時間はとても気になりますが、シェアするのであれば、利用者は、すでに充電された車を利用すればよいので、充電自体に時間がかかっても関係ないからです。
 街中のレンタサイクルを利用している人で、自転車の充電時間を気にする利用者がいないのと同じ理屈です。

 自動運転が普及した未来では、今と違う尺度で車や蓄電池の性能を考えなくてはいけません。ガソリン車が消え、ハイブリッド車、EV、FCV(燃料電池車)に移行していく。そこに自動運転も加わります。

 自動車産業自体を大きな流れでとらえていくことが大切です。
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医療ロボットで出遅れた日本が国産化に成功した理由「火の鳥」がつないだ不思議な縁 202202

2022-02-08 22:50:00 | なるほど  ふぅ〜ん

医療ロボットで出遅れた日本が国産化に成功した理由「火の鳥」がつないだ不思議な縁
 産経Biz より 220208


 日本のロボット技術の粋を集めた国産初の高精度手術支援ロボット「ヒノトリ」。人気アニメ「機動戦士ガンダム」に登場しそうなコックピットに座り、実際に操作を体験してみた(SankeiBiz編集部)
 コックピットに座り、モニター付きのゴーグルをのぞき込むと、輪投げの輪のようなものが見えた(SankeiBiz編集部)
 ヒノトリを開発したメディカロイドの経営企画部課長代理の山本泉さん

 手塚治虫の名作「火の鳥」が引き合わせた不思議な縁から国産初の手術支援ロボットの開発が始まり、手塚プロダクションからも賛同を得て「ヒノトリ」と命名された
 ヒノトリのアームは8つの関節を持ち、上下左右に動かし、回転させることもできる。動作の自由度はむしろ人の手よりも高いという

 ヒノトリは2020年8月、ついに製造販売承認を取得。日本市場では泌尿器科を対象に導入されることになった。5Gを活用し、ヒノトリを使った遠隔手術の実用化に向けた実証実験も進む(SankeiBiz編集部)

 新幹線という世界初の高速鉄道を誕生させながら、日本は高速鉄道ビジネスをめぐる国際競争では出遅れた。医療用ロボットもまた然り。「産業ロボット大国」と評されながら、医療用ロボットの分野では日本メーカー不在の状況が長く続き、米国メーカーの世界市場独占を許した。
 そんな日本で2020年、国産初の高精度手術支援ロボットが発表された。「命を救うサポートがしたい」という一心で、日本のロボット技術の粋を集めた製品「hinotori(ヒノトリ)」だ。ヒノトリとはどんなロボットなのか。人気アニメ「機動戦士ガンダム」に登場しそうなコックピットに座り、実際に操作を体験してみた。

⚫︎新幹線の運転席にも生きている設計思想
 東京・大崎のオフィスビルに設けられた医療用ロボットのショールーム。誇らしげに設置さたヒノトリは、執刀医が操作するコックピットと、4本のロボットアームを備えたオペレーションユニットで構成され、あたかもモビルスーツの操縦席のようだ。
 医療機器に対してはあまり適切な表現ではないかもしれないが、ヒノトリを操作した最初の感想は「こいつ、動くぞ!」だった。
 ヒノトリは内視鏡手術を支援する医療用ロボット。アームの先に内視鏡カメラやメスなどの手術器具を装着し、高解像度の3D(立体)映像を見ながら極めて精緻な手術を行うことができる。

 コックピットに座り、モニター付きのゴーグルをのぞき込むと、輪投げの輪のようなものが見えた。手元のコントローラーでアームを操作し、円錐形のカラーコーンに輪をかけるというデモンストレーションができるという。

 輪の直径は1センチにも満たず、カラーコーンも爪の先ほどの大きさ。命をあずかる手術の難易度とは比ぶべくもないが、至難の業に違いない。そう思ってコントローラーを動かしてみると、思いの外すぐにできてしまった。両眼の視差を利用した3D映像になっているため、実感として操作しやすくなっているようだ。なにしろ、ゴーグル越しの映像は実物を高倍率に拡大したもので、目の前に数センチ大の輪があるように見えるのだ。

「手元のコントローラーを1センチ動かしても、アームの先は3ミリ程度しか動いていません。ヒノトリは精緻な動きができるので、より円滑に手術が実施できるようになります」。ヒノトリを開発したメディカロイド(神戸市)の経営企画部課長代理の山本泉さんが解説する。実際の手術では「鉗子」と呼ばれる医療器具をアームの先に取り付け、器官や組織などを挟み、別のアームの先に取り付けたメスで切除などを行うことになる。
 ヒノトリのアームは8つの関節を持ち、上下左右に動かし、回転させることもできる。動作の自由度はむしろ人の手よりも高く、「執刀医の思うがままに動かせる」(山本さん)。4本のアームは人の腕とほぼ同じ太さにそろえられ、アーム同士がぶつからないよう工夫されている。動かすアームの切り替えはフットペダルで行う。

「固まった姿勢で2時間、3時間と手術を続けていると、医師も疲労します。ヒノトリは人間工学的な手法で設計されていて、アームレストやフットペダルの高さ等を医師の体形に合わせて変えられるようになっています」と山本さんは胸を張る。
 実はメディカロイドの母体のひとつは鉄道車両製造で知られる川崎重工業だ。人間の体形に合わせられる柔軟性は新幹線などの鉄道車両の運転席にも生きている設計思想だといい、山本さんは「ヒノトリには川重のDNAが入っている」と語る。

 日本は産業ロボット大国でありながら,医療用ロボットの歴史はまだ浅い。日本初の医療用ロボットメーカーであるメディカロイドの設立はわずか約8年前だ。当時,国内で実用化されていた医療用ロボットは当然,全て海外製。
 ロボット工学が専門の同社経営企画部長、田村悦之さんは「日本の技術でなんとか医療に貢献したいという思いがありました」と振り返る。米メーカーに後塵を拝していた日本で、医療用ロボットメーカーが設立される契機となったのは1本の電話だった。

⚫︎「日本の技術が劣っているわけではない」
「医療用ロボットに興味はないか」。産業用ロボットの国産化に初めて成功した川重でロボットビジネスセンター長などを務めた橋本康彦氏(現川崎重工業社長)が、医療検査機器大手シスメックス執行役員だった浅野薫氏(現メディカロイド社長)に電話口で切り出した。
 2人は互いに20代の頃からの旧友。しかも当人たちにとっても意外な共通点があった。医師免許を持っていた手塚治虫の代表作「火の鳥」の愛読者だったということだ。永遠の命とは何か、人間とは何かを壮大なスケールで問い続けた長編大作に現れる、不死の血を持つ「火の鳥」が引き合わせた不思議な縁と言ってもいいかもしれない。
 2人はすぐに意気投合。医療用ロボット製造に向けた勉強会を立ち上げると、川重、シスメックスの2社から技術者が数人ずつこれに加わった。こうして2013年10月、川重とシスメックスが50%ずつ共同出資した新会社メディカロイドが設立される。

 産業用ロボットは日本と欧州で世界シェアの8割を占める一方、医療用ロボットになると9割がアメリカだという。患者の命にかかわる製品というリスクの高さから、日本では実用化止まりで商品化には至らなかった。日本の出遅れは「日本の技術自体が決して劣っているわけではなく、リスクの高さ自体に原因があった」(山本さん)ともみられている。

 だが、メディカロイドの設立は、アベノミクスを掲げた2度目の安倍晋三政権の発足1年目。成長戦略で医療・介護分野やロボット産業の育成が重要施策と位置付けられたことも川重とシスメックスの背中を押した。新会社のメディカロイドでは橋本氏が社長に、浅野氏が副社長に就いた。

 メディカロイドが目をつけた課題は「内視鏡手術」の難しさだ。内視鏡手術では、内視鏡を操作する助手の医師と、執刀医がいかに息を合わすことができるかに熟練の技が求められる。執刀医は患者の腹部に入れた内視鏡を見ながら手術器具を扱うことになるが、内視鏡の映像を見ながら手術器具を動かすと、患部では上下左右が逆になるといった特性もあり、「習熟に時間がかかっていた」(山本さん)という。

 川重が持つ産業用ロボットの技術と、医療機関にネットワークをもつシスメックスがノウハウを持ち寄り、国産初の手術支援ロボットの開発は2015年から始まった。特に安全面に心を砕きつつ開発が進められ、日の目を見るまでに5年の歳月が流れた。
 医師の感覚を工学的な数値に変換して製品開発に取り入れることに最初は苦労したが、医師とともに開発を推進する中で、医師が求めていることを理解し改善を実施できるようになっていったという。

 手塚治虫の長編大作「火の鳥」黎明編は、古代の医師が病に倒れた乙女を救う場面からが始まる。火の鳥を通じて手塚治虫が命の尊さと向き合い続けたように、命と向き合う医療従事者をサポートしていきたい-。コンセプトは「人の代わりとなる」ものではなく、「人に仕え、人を支えるロボット」。手塚プロダクションからも賛同を得て、国産初の手術支援ロボットはヒノトリと命名された。

「100点満点。感無量だ」

 ヒノトリは2020年8月、ついに製造販売承認を取得する。
 日本市場では泌尿器科を対象に導入されることになり、同年12月には神戸大学医学部付属病院(神戸市)で1例目の手術が成功。開発に携わり、執刀も担当した神戸大大学院の藤沢正人医学研究科長は「大きなトラブルもなく100点満点。感無量だ」と語った。
 病院によると、手術は前立腺がんの70代男性患者に対する前立腺の全摘出で、時間は約4時間半だった。

 医療機器の開発は医学と工学が連携して進められる。ヒノトリは医療現場のニーズに応える「医工連携」の象徴ともいえる。例えば、ヒノトリには「ネットワークサポートシステム」が標準装備され、アームの動きを記録することもできるという。今後は医師の手さばきを蓄積し、手術の自動化も目指しているのだ。
 第5世代(5G)移動通信システムを活用し、ヒノトリを使った遠隔手術の実用化に向けた実証実験も進む。山本さんはこんな未来を見据える。

「熟練した医師がいるかいないかで、患者さんが受けられる医療に差がある場面がありました。これからは、地方の若手のお医者さんが執刀する際、判断に迷う個所を手術するときに、熟練した先生が遠隔支援に入るという未来もあるのではないかと思っています」

SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
 SankeiBiz編集部員が取材・執筆したコンテンツを提供。通勤途中や自宅で、少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。そんなコンテンツを目指している。
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🚶‍♀️…向島農道↩︎ 220208

2022-02-08 20:18:00 | 🚶 歩く
🚶‍♀️…右岸河川敷…隠元橋…左岸堤防道47km碑+…伏見区向島農道(鷹場…清水)…左岸堤防道47.2km碑…隠元橋…右岸堤防道…>
🚶‍♀️10459歩3kg+1756歩3kg

🌤:隠元橋11℃~>10℃:風穏やか
 暖かくなった分,汗ビッショリ


夕方)🚙〜万代☂️〜遠回り〜Frマート
 何を勘違いしたか道勘違いして槙島川沿道グルっと。帰宅後,若干歩数半端で堤防道ちょっと🚶‍♀️☂️…。


🎉🚶‍♂️20/2/8より二年間毎日連続1日一万歩越え達成!継続中、今年も続けれる様に!


2012/ 8/3撮影

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🚞 2022年「青春18きっぷ」発売・利用期間発表  

2022-02-08 02:52:00 | 🚃 鉄道

2022年「青春18きっぷ」発売・利用期間発表
  鉄道チャンネル  より 220208  


JRグループは2022年2月7日、「青春18きっぷ」および「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売時期・利用期間等を発表した。

<春季>
発売期間:2022年2月20日(日)~2022年3月31日(木)
利用期間:2022年3月1日(火)~2022年4月10日(日)

<夏季>
発売期間:2022年7月1日(金)~2022年8月31日(水)
利用期間:2022年7月20日(水)~2022年9月10日(土)

<冬季>
発売期間:2022年12月1日(木)~2022年12月31日(土)
利用期間:2022年12月10日(土)~2023年1月10日(火)

⚫︎価格は12,050円で大人・子供同額。
 全国のJRの主な駅、JRの旅行センターおよび主な旅行会社で発売する。

⚫︎青春18きっぷ北海道新幹線オプション券
「青春18きっぷ」と組み合わせて利用できる「北海道新幹線オプション券」も発売。
  価格は2,490円で、発売箇所は「18きっぷ」と同様。

<春季>
発売期間:2022年2月20日(日)~2022年4月10日(日)
利用期間:2022年3月1日(火)~2022年4月10日(日)

<夏季>
発売期間:2022年7月1日(金)~2022年9月10日(土)
利用期間:2022年7月20日(水)~2022年9月10日(土)

<冬季>
発売期間:2022年12月1日(木)~2023年1月10日(火)
利用期間:2022年12月10日(土)~2023年1月10日(火)
※利用期間は「青春18きっぷ」と同期間。
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