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深海に棲む未知のプランクトンが大量の炭素を吸収してくれている 202202

2022-02-23 23:26:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

深海に棲む未知のプランクトンが大量の炭素を吸収してくれている
 GigaZain より  220223  山田ちとら


⚫︎海は未知の宝庫。
 暗い暗い海の底には、クジラの死骸に群がる生物や、異形の生物たちがたくさん潜んでいます。そして、まだまだ人間の目に一度も触れたことのない未知の生物がたくさん潜んでいるそうです。
 最新の研究によれば、海の底の堆積物には未知のプランクトンがたくさん棲んでいて、貴重な炭素吸収源になっていることが明らかになりました。
 科学者たちによれば、海は人間が排出した炭素量のおよそ4割を吸収しているとのこと。海底の生態系が地球全体のエコシステムにどれだけ重要かを物語っています。

⚫︎炭素を溜め込む巨大なポンプ
 フランスのNRS/Genoscopeと国立科学研究センター、ジュネーヴ大学と、ノルウェーの海洋研究所とベルゲン気候研究センターが共同で行った調査では、海底の堆積物を世界中から収集し、その中に含まれていたDNA情報を解析したそうです。
 結果、DNAが表している生物のうち3分の2は未だ発見されていない種だと判明しました。特にプランクトンの仲間が幅広く存在していることがわかり、大量の二酸化炭素を海底に封じこめる役割を果たしていることもわかりました。

 これらの未知のプランクトンは、大気中から炭素を取り込んで深海へ輸送し、海底に何千年、何万年と貯蔵しておく「生物炭素ポンプ(biological carbon pump)」の役割を果たしていると考えられるそうです。
 この地球上最大級の「ポンプ」がどのように機能しているのかというと、まずプランクトンなどの海洋生物が海面近くで大気から二酸化炭素を摂取します。やがてこれらの生物が死ぬと、体に取り込まれた炭素は死骸とともに深海に沈んで行くと考えられています。

 ここまでのメカニズムはすでに理論化されていたんですが、今回の研究結果からは海の底で炭素を蓄えているのが死んだプランクトンのみならず、生きている未知のプランクトンでもあることがわかったんですね。

「プランクトンの中でどの種が生物炭素ポンプにもっとも貢献しているのかが解明されつつあります」と研究者のひとり、Colomban de Vargasさん(フランス国立科学研究センター)はプレスリリースで説明しています。Vargasさんたちの研究を詳しく知りたい方は、こちらの論文をどうぞ。

⚫︎北極と南極近くには「ホットスポット」の存在も
 研究のための調査は2010年から2016年の間に行われました。世界中400ヵ所から海底の堆積物を集め、これらのサンプルに基づいてデータベースが作成されました。さらに、この研究とは別に収集された1300以上の海底サンプルとの比較も行われました。

 海面から深海の堆積物に至るまで、海の全域において真核生物の多様性をひとつの視座に統一できたのは今回の研究が初めてです

と研究者は説明しています。さらに、

 この統一性あってこそ、海を三次元的に捉えたグローバルなスケールでの海洋生態学の研究が可能になり、「One Ocean ecology」に向けての大きな前進となりました とも。

 もうひとつの大きな発見は、地球の両極近くに存在している炭素隔離が顕著な「ホットスポット」でした。ここではプランクトンが特に活発なのだそうで、堆積物に含まれるプランクトンのDNAは生物炭素ポンプの強さを予測するのにも有効なのだとか。

私たちの研究は、深海の生物多様性研究がいかに重要かを物語っています。海の底にはまだ我々が知らない生物が大量に棲息しており、生態学的・生物地球化学的なプロセスにおいて抜本的な役割を果たしていると考えられます

 とイギリスのナショナル・オセアノグラフィー・センターで名誉研究員を務めるAndrew J. Goodayさんは説明しています。

海底に存在しているゆたかな生物多様性について今後も知識を深めていくことは、これらの比較的汚されていない生態系が気候変動にどのような影響を及ぼしているのか、また将来的に人間の開発行為から守るためにも不可欠です。

Reference: Science Advances, EurekAlert!
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⚠️ 博物館法よ、お前もか。  202202

2022-02-23 23:09:00 | 気になる モノ・コト

博物館法よ、お前もか。
 美術手帖 より 220223  編集部

文化庁
⚫︎文化観光施設へと突き進む博物館
 保存から活用へと大きく舵を切った文化財保護法改正が、「稼げない文化財は存在意義がないのか?」などの議論を巻き起こしたことは記憶に新しい。
 進め方に性急感の否めない今回の博物館法改正も官邸主導のものであったことが判明し、博物館法の目的に社会教育法に加え「文化芸術基本法の精神に基づく」ことが定められるほか、博物館の事業に「地域の多様な主体との連携・協力による文化観光、まちづくりその他の活動を図り地域の活力の向上に取り組むこと」を努力義務として追加するのだという。「文化の振興を,観光の振興と地域の活性化につなげ,これによる経済効果が文化の振興に再投資される好循環を創出することを目的とする」文化観光推進法との擦り合わせも明らかであり、地方創生相の「学芸員はがん」(2017)発言以来のレールの延長上にあるといってよいものである。
 文化庁としてはこれだけで九割方目的を果たしたのだと言えようが、理念上は社会教育施設だった博物館が名実ともに文化観光施設となることは博物館法にとって革命的な変更(立場によっては破壊的な改悪)であることに留意が必要である。

⚫︎先送りされた学芸員制度
 実際、日本博物館協会や日本学術会議からの提言の内容はほんの一部、しかも不十分なかたちでしか反映されておらず、文化審議会の文化審議会の答申も学芸員制度の改正には踏み込まず登録制度の改正に限られたことは周知のとおりである。
 先送りされた学芸員制度の改正の議論を待たずに博物館法改正案が出されたことは、文化庁がそれほど重要視していないことの表れなのかもしれない。また登録制度にインセンティブがなくなっていることが登録制度の形骸化につながっているのにもかかわらず、解決への道筋さえ示されていないのは大きな問題であろう。
 専門職館長の配置や学芸員の処遇改善、調査研究環境の向上等に向けての方策がなんら示されることなく、努力義務ばかりが増える状況のなかで登録博物館離脱の館が今後増大するのではあるまいか。

 2008年の社会教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(衆議院)(*1)では、「社会教育主事、司書及び学芸員については、多様化、高度化する国民の学習ニーズ等に十分対応できるよう、今後とも、それぞれの分野における専門的能力・知識等の習得について十分配慮すること。/また、各資格取得者の能力が生涯学習・社会教育の分野において、最大限有効に活用されるよう、
 資格取得のための教育システムの改善、有資格者の雇用確保など、有資格者の活用方策について検討を進めること。」が盛り込まれていたが、今回の博物館改正では鬼スルーに等しい。

 思い起こせば、1951年の博物館法そのものが議員立法であった。当時の文部委員会での活発な審議(*2)には博物館への大きな期待がうかがわれる。
 ぜひ心ある議員の皆さんには、政府提案の法案に甘んずることなく、博物館法の実現のために政府原案の修正もしくは対案の提出に党派を超えてお力添えを頂けるよう切に念ずるものである。


💋行政の不作為、小選挙区制以降の議員劣化のx
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⚠️ 工学・理学・社会・人文…日本で「博士号」取得後に待ち受ける“リアルな格差” お金の面では苦悩ばかり… 202202

2022-02-23 23:02:00 | 気になる モノ・コト

工学・理学・社会・人文…日本で「博士号」取得後に待ち受ける“リアルな格差” お金の面では苦悩ばかり…
 現代ビジネス より 220223  鷲尾 香一


⚫︎博士課程修了者の“その後”
日本では“博士号”を取得しても、安定した生活は望めないことが明らかになった。

文部科学省傘下の科学技術・学術政策研究所は1月25日、「『博士人材追跡調査』第4次報告書」を発表した。

今回の調査は、20年に実施した18年度博士課程修了者を対象に1年半後の状況を調査した初めてのもの。調査依頼数は1万5658名で、回答数は3894名だった。

特徴的だったのは、博士課程に在籍する前に“社会人経験がある”と回答した者が初めて5割を超え、博士課程学生の年齢構成が30歳代を中心に変化したことだ。これは、学費など金銭面での理由が大きいと推測される。

博士課程修了1年半後の博士号取得率は、課程博士が60.5%、論文博士14.8%で全体の 4分の3程度が博士号を取得していた。なお、外国人学生は論文博士の割合が40.0%と高かった。

さて、博士課程在籍時の学費免除有無は、54.1%が学費免除を“受けていない”で、免除が受けられた場合でも“一部”が23.7%と多く、“全額免除”を受けられたのは16.5%に過ぎなかった。また、全額免除の36.9%は外国人学生だった。(表1)

(表1)
年間の免除金額では30万円未満が33.7%、60万円未満が38.2%で、60万円以上は28.2%だったのに対して、外国人学生では年間60万円以上の免除が36.7%にのぼり、日本人学生よりも免除を受けている割合、金額ともに高かった。

⚫︎半数近い人が200万以上の借金
学費問題は博士課程に在籍している学生に経済面で大きな負担となっている。

筆者は21年7月16日の『大学院生の17%が「300万の借金」でも「給与はよくない」…科学技術立国を謳うニッポンの地獄』で、日本の経済・産業基盤を担う優秀な学生たちが、経済的な心配をすることなく、研究活動を行えるように、政府は実効性のある対策を打ち出すべきだと指摘した。

今回の調査でも、博士課程修了時点で200万円以上299万円の借入があったのは5.1%だったが、300万円以上が17.4%にものぼり、もっとも多かった。(表2)

(表2)
また、学生類型別では課程学生の53.4%に借入金があり、このうち200万円以上が44.7%、300万円以上は 35.2%にのぼった。

それでは、多くの借入金を背負って博士号を取得した後、どのような未来が待っているのだろうか。

博士課程修了後の雇用先では、大学等が51.7%と最も多く、次いで民間企業が27.2%だった。(表3)

(表3)
大学等に就職した割合が高い分野は人文や社会、民間企業に就職した割合が高いのは工学分野となっている。

大学等や公的研究機関に就職できた人は安定したかと思えば、25.8%は助教として雇用されているものの、19.8%は正規の研究職または教育職についていない「ポスドク」で、15.2%は講師となっており、安定しているというには程遠い。

男女別ではポスドクが男性22.7%、女性13.9%、助教が男性26.8%、女性23.6%と男性の割合が高く、講師は男性12.2%、女性21.4%と女性の割合が高くなっている。

⚫︎人文系には非常に厳しい現実が
こうした雇用の不安定さは、雇用状況にも現れている。雇用形態では、67.2%が正社員・正職員(男性68.8%、女性63.4%)となっているが、契約社員も23.5%(男性23.4%、女性23.7%)、パートタイム労働者4.6%(男性3.2%、女性7.9%)と派遣労働者0.8%を含め、28.9%が非正規労働者となっている。(表4)

(表4)
そこには、学問分野別に大きな格差がある。工学の76.2%、保健の74.1%、農学の66.0%が正社員や正職員だったが、人文は41.0%、教育や芸術などその他は49.5%にとどまり、不安定な立場に置かれる博士が目立っている。

こうした雇用状況は、年収にも現れている。所得階層別では、300~400万円未満が13.5%、400~500万円未満が14.0%、500~600万円未満が11.8%と300~600万円の層に集中している。(表5)

(表5)
ただ、学問分野別では所得に大きな格差が現れている。所得割合が最も多いのは、人文が100~200万円未満、農学が200~300万円未満なのに対して、理学と社会が300~400万円未満、工学が400~500万円未満、保健では500~600万円未満となっている。

驚くべきは、保健では30%以上が1000万円を超えている一方で、人文では400万円未満が約40%を占め、中でも100~200万円未満が19.6%にのぼり、雇用先の給与だけでは生活できない厳しい状況にある。

博士課程入学者数は、03年度の1万8232人をピークに19年度には1万4976人まで17.8%も減少した。また、修士課程等から博士課程へ進学する者の割合も長期間の減少傾向が続いており、01年までは15%を上回る水準で推移していたが、19年には 9.2%にまで減少している。

その背景には、博士後期課程での給与支給や処遇の改善といった博士課程在籍時の経済支援等の不足を指摘する声や、研究環境の改善といった要望が博士課程修了者から出ている。

政府はこうした声にしっかりと耳を貸し、処遇や環境の改善を図り、多くの博士が生まれ、研究者がよりよい環境や待遇を求めて海外に流出することのないようしなければならない。



💋科学立国が… 行政の不作為 教育の大切さが…
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🧠死の直前に見える「走馬灯」が偶然脳波スキャンにとらえられる 202202

2022-02-23 22:35:00 | なるほど  ふぅ〜ん

死の直前に見える「走馬灯」が偶然脳波スキャンにとらえられる
 ナゾロジー より 220223 大石航樹

人は死ぬ直前に「走馬灯」を見る、という話をよく耳にします。

主観的な体験であるため、証明のしようもありませんでしたが今回、初にして唯一となる”走馬灯の科学的証拠”が得られたかもしれません。

ルイビル大学(University of Louisville・米)の医学研究チームは、てんかん患者の男性が亡くなる際に付けていた脳スキャン装置から、死の前後30秒間の脳波が記録されたと発表。

分析の結果、その脳波は夢を見たり、記憶を想起したり、瞑想しているときの脳波と同じであることが判明したのです。
研究の詳細は、2022年2月22日付で科学雑誌『Frontiers in Aging Neuroscience』に掲載されています。

◆目次
死の前後に脳は「夢想状態」に入る

⚫︎死の前後に脳は「夢想状態」に入る
研究チームによると、てんかんを患う87歳の男性は、発作の兆候を探るため、脳波をスキャンする装置を取り付けた状態だったという。

残念ながら、男性は快復の兆しを見せることなく、心臓発作を起こし、間もなく亡くなっています。

 ところが、男性の悲劇的な死は、研究者たちに一生に一度の機会を与えました。
偶然にもスキャン装置をつけていたことで、心肺が停止する前後30秒間の脳の活動が克明に記録されたのです。

そこでチームは、死亡時の900秒間の脳活動に焦点を当て、心肺停止する前後30秒間に何が起こったかを分析。
 その結果、心臓停止の直前と直後で、「ガンマ波」と呼ばれる振動帯に大きな変化が見られました。
ガンマ波は、最も速い脳波の振動で、おもに高度な警戒心と注意力があるときに発生します。

 また高次の認知機能と関連しており、注意、集中、夢想、瞑想、記憶の検索、情報処理に従事しているときに特に活発になります。
 加えて、「記憶のフラッシュバック」とも強く関係し、臨死体験をした人が人生の重要な出来事を次々と思い起こす、というプロセスを説明しているかもしれません。

 臨死体験は驚くほどよく報告されており、死期が近づいた人の3分の1が経験していると言われます。
 共通する点は、肉体からの精神的な離脱や満足感があること、長く暗いトンネルの中をすばやく移動して、明るい光の中に入る感覚があることなどです。

 専門家は、臨死体験には2つのタイプがあると指摘します。

1つは、脳の左半球が関与するもので、時間感覚の変化や飛行しているような印象を受けるのが特徴です。
2つ目は、脳の右半球が関与するもので、霊を見たり、霊と交信したり、声や音が聞こえたりするのが特徴です。

 臨死体験にさまざまな種類がある理由はずっと不明でしたが、今回のように、脳が生の最期の瞬間に一種のオーバードライブ状態になることがそれを物語っていると考えられます。

ただし今回の例は、死の前後の脳活動をモニターした最初にして唯一のケースであるため、結論を急ぐことはできません。

 男性患者は傷害を負い、発作を起こし、脳に腫れも見られたため、すべての人に一般化することは不可能です。
それでもこの知見は、私たちが人生最後の瞬間を幸福な想い出に包まれながら過ごせる可能性を示唆しています。

 研究主任で神経科医のアジマル・ゼンマー(Ajmal Zemmar)氏は、こう述べています。
「神経外科医として、私はときに喪失感と向き合います。
取り乱した家族に愛する人の死を伝えるのは、如何ともしがたい辛さがあります。

 この研究から学べることは、愛する人が目を閉じ、私たちの元を去ろうとしているそのとき、彼らの脳は人生で経験した最も素晴らしい瞬間を再生しているかもしれない、ということです」


◆参考文献
Brain scan of dying man shows ‘life flashing before their eyes’ https://www.zmescience.com/science/news-science/brain-scan-of-dying-man-shows-life-flashing-before-their-eyes/
⚫︎元論文
Enhanced Interplay of Neuronal Coherence and Coupling in the Dying Human Brain https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnagi.2022.813531/full
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【実は日本が世界一】イギリスのギネス記録の7倍!最長の並木道は栃木県に 202202

2022-02-23 22:03:00 | 📚 豆知識・雑学

【実は日本が世界一】イギリスのギネス記録の7倍!最長の並木道は栃木県に
 TABIZINE  より 220223  坂本正敬


 いろいろな国が世界にある中で、日本が実は一番という分野を紹介してきたTABIZINEの連載。今回は旅人も大好きな(はずの)並木道について紹介します。

⚫︎世界でもっとも長い並木道
 並木道を歩くと気分が高まりませんか? 日本では宮城県仙台市の定禅寺通の並木道が有名ですが、世界的にいえばパリのシャンゼリゼ通り、ボストンのコモンウェルス・アヴェニューなどがさらに有名です。

 ヨーロッパにおける並木道の整備は、1853年(ペリー率いる黒船が浦賀に来航した年)から始まったパリ改造を契機にヨーロッパ全体へ広がります。その波は発展途上のアメリカにも影響を及ぼし、ヨーロッパの街同様に定着していきました。

 その波は明治・大正時代以降の日本にも影響を与えるのですが、一方で、日本には欧米と異なる並木道の歴史があったようです。平安京にはすでに並木道があったそうですし、歴史ある寺社の参道沿いにも並木道が各地で整備されています。

 さらに、江戸時代には世界でもっとも長い並木道もつくられています。現在の栃木県を走る日光街道・例幣使(れいへいし)街道・会津西街道沿いに植えられた杉並木ですね。

 ギネス世界記録によれば、
<The world's longest avenue>(Guinness World Recordsより引用)
とあります。「世界でもっとも長い並木道」といった意味。そう考えると、日本は並木道の「先進国」と言ってもいいのかもしれません。
日本の杉並木は7倍の長さで記録を上回った

 もう少し詳しくギネス世界記録の内容に注目してみましょう。「世界でもっとも長い並木道」は3つの部分からなっていて、35.41kmの長さを誇り、1628~48年に植樹されたと認められています。

 もともとは1万6,000~2万本の杉の木が存在したともいわれていますが、現在は1万2,500~1万3,500本程度(令和2年度時点、栃木県文化財課調べでは1万2,126本)、並木の平均的な高さは27mとされています。

 ギネス世界記録にある「avenue」とは「大通り」という意味かと思っていました。しかし、辞書を調べると、
<a wide straight road, especially one with trees on each side>(MACMILLAN English DICTIONARYより引用)
と一番に書かれています。「広くまっすぐな道で、特に木が両側にある道」といった感じの意味です。「avenue」の単語には、第一に「並木道」という意味があるのですね。

 日光の杉並木がギネス世界記録に登録されるまでは、イギリスにある5.7kmのブナ並木が世界一長い「アベニュー」だと登録されていたようです。日本の杉並木は、その7倍の長さで記録を打ち破りました。

 杉並木が植樹された時期は1628~48年ですから、江戸時代です。江戸幕府をつくった徳川家康が亡くなった年はシェイクスピアと同じ1616年。その死後に、松平正綱が杉の苗木を植え始め、家康の33回忌の年に、家康を祭った東照宮に寄進したそうです。

 杉並木はその後、台風や災害、寿命と戦いながらも、幕府の手厚い保護の下で歴史を見守り続けます。

 江戸から明治に時代が移る際の戊辰戦争では、板垣退助率いる新政府軍と幕府軍の前哨戦の舞台にもなったとか。今でも砲弾跡が並木に残っています。昭和の戦後になってからは、国の特別史跡・国の特別天然記念物に指定されました。

 さらに、並木のある栃木県今市市(現在は日光市)の職員がギネス申請し、平成に入ってから申請が認められたのですね。
砲弾打ち込み杉

 筆者にも並木沿いを車で走った経験があります。車で走れる部分もあれば、車が入れない部分もあり、歩行者しか通れない場所には、古木のパワーを感じられるスピリチュアルな空間も広がっています。

 長大な街道の途中には、特別ないわれを持つ木やエリアもいくつかあります。先ほども紹介した戊辰戦争時の砲弾の跡が残る「砲弾打ち込み杉」(日光街道)や、それぞれの由来が面白い「十石坂」「地獄坂」(例幣使街道)など。

 新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか自由に旅を楽しめないですが、ドライブ旅行なら人との接触が最小限に抑えられます。首都圏などに暮らす人は日光ドライブを週末に楽しんでもいいかもしれません。その際には、世界一長い並木道も体験して、歴史と並木のスケールをぜひ体験してみてくださいね。


日光東照宮

[参考]
※ 世界一の杉並木 - 栃木県庁
※ Longest avenue of trees - Guinness World Records
※ 日光杉並木街道 附 並木寄進碑 - 文化庁
※ 世界に誇る杉並木 - 栃木県
※ 日光杉並木街道概説 - 日光市立今市小学校
※ 街路景観と並木道
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