深海に棲む未知のプランクトンが大量の炭素を吸収してくれている
GigaZain より 220223 山田ちとら
⚫︎海は未知の宝庫。
暗い暗い海の底には、クジラの死骸に群がる生物や、異形の生物たちがたくさん潜んでいます。そして、まだまだ人間の目に一度も触れたことのない未知の生物がたくさん潜んでいるそうです。
最新の研究によれば、海の底の堆積物には未知のプランクトンがたくさん棲んでいて、貴重な炭素吸収源になっていることが明らかになりました。
科学者たちによれば、海は人間が排出した炭素量のおよそ4割を吸収しているとのこと。海底の生態系が地球全体のエコシステムにどれだけ重要かを物語っています。
⚫︎炭素を溜め込む巨大なポンプ
フランスのNRS/Genoscopeと国立科学研究センター、ジュネーヴ大学と、ノルウェーの海洋研究所とベルゲン気候研究センターが共同で行った調査では、海底の堆積物を世界中から収集し、その中に含まれていたDNA情報を解析したそうです。
暗い暗い海の底には、クジラの死骸に群がる生物や、異形の生物たちがたくさん潜んでいます。そして、まだまだ人間の目に一度も触れたことのない未知の生物がたくさん潜んでいるそうです。
最新の研究によれば、海の底の堆積物には未知のプランクトンがたくさん棲んでいて、貴重な炭素吸収源になっていることが明らかになりました。
科学者たちによれば、海は人間が排出した炭素量のおよそ4割を吸収しているとのこと。海底の生態系が地球全体のエコシステムにどれだけ重要かを物語っています。
⚫︎炭素を溜め込む巨大なポンプ
フランスのNRS/Genoscopeと国立科学研究センター、ジュネーヴ大学と、ノルウェーの海洋研究所とベルゲン気候研究センターが共同で行った調査では、海底の堆積物を世界中から収集し、その中に含まれていたDNA情報を解析したそうです。
結果、DNAが表している生物のうち3分の2は未だ発見されていない種だと判明しました。特にプランクトンの仲間が幅広く存在していることがわかり、大量の二酸化炭素を海底に封じこめる役割を果たしていることもわかりました。
これらの未知のプランクトンは、大気中から炭素を取り込んで深海へ輸送し、海底に何千年、何万年と貯蔵しておく「生物炭素ポンプ(biological carbon pump)」の役割を果たしていると考えられるそうです。
これらの未知のプランクトンは、大気中から炭素を取り込んで深海へ輸送し、海底に何千年、何万年と貯蔵しておく「生物炭素ポンプ(biological carbon pump)」の役割を果たしていると考えられるそうです。
この地球上最大級の「ポンプ」がどのように機能しているのかというと、まずプランクトンなどの海洋生物が海面近くで大気から二酸化炭素を摂取します。やがてこれらの生物が死ぬと、体に取り込まれた炭素は死骸とともに深海に沈んで行くと考えられています。
ここまでのメカニズムはすでに理論化されていたんですが、今回の研究結果からは海の底で炭素を蓄えているのが死んだプランクトンのみならず、生きている未知のプランクトンでもあることがわかったんですね。
「プランクトンの中でどの種が生物炭素ポンプにもっとも貢献しているのかが解明されつつあります」と研究者のひとり、Colomban de Vargasさん(フランス国立科学研究センター)はプレスリリースで説明しています。Vargasさんたちの研究を詳しく知りたい方は、こちらの論文をどうぞ。
⚫︎北極と南極近くには「ホットスポット」の存在も
研究のための調査は2010年から2016年の間に行われました。世界中400ヵ所から海底の堆積物を集め、これらのサンプルに基づいてデータベースが作成されました。さらに、この研究とは別に収集された1300以上の海底サンプルとの比較も行われました。
海面から深海の堆積物に至るまで、海の全域において真核生物の多様性をひとつの視座に統一できたのは今回の研究が初めてです
と研究者は説明しています。さらに、
この統一性あってこそ、海を三次元的に捉えたグローバルなスケールでの海洋生態学の研究が可能になり、「One Ocean ecology」に向けての大きな前進となりました とも。
もうひとつの大きな発見は、地球の両極近くに存在している炭素隔離が顕著な「ホットスポット」でした。ここではプランクトンが特に活発なのだそうで、堆積物に含まれるプランクトンのDNAは生物炭素ポンプの強さを予測するのにも有効なのだとか。
私たちの研究は、深海の生物多様性研究がいかに重要かを物語っています。海の底にはまだ我々が知らない生物が大量に棲息しており、生態学的・生物地球化学的なプロセスにおいて抜本的な役割を果たしていると考えられます
とイギリスのナショナル・オセアノグラフィー・センターで名誉研究員を務めるAndrew J. Goodayさんは説明しています。
海底に存在しているゆたかな生物多様性について今後も知識を深めていくことは、これらの比較的汚されていない生態系が気候変動にどのような影響を及ぼしているのか、また将来的に人間の開発行為から守るためにも不可欠です。
Reference: Science Advances, EurekAlert!
ここまでのメカニズムはすでに理論化されていたんですが、今回の研究結果からは海の底で炭素を蓄えているのが死んだプランクトンのみならず、生きている未知のプランクトンでもあることがわかったんですね。
「プランクトンの中でどの種が生物炭素ポンプにもっとも貢献しているのかが解明されつつあります」と研究者のひとり、Colomban de Vargasさん(フランス国立科学研究センター)はプレスリリースで説明しています。Vargasさんたちの研究を詳しく知りたい方は、こちらの論文をどうぞ。
⚫︎北極と南極近くには「ホットスポット」の存在も
研究のための調査は2010年から2016年の間に行われました。世界中400ヵ所から海底の堆積物を集め、これらのサンプルに基づいてデータベースが作成されました。さらに、この研究とは別に収集された1300以上の海底サンプルとの比較も行われました。
海面から深海の堆積物に至るまで、海の全域において真核生物の多様性をひとつの視座に統一できたのは今回の研究が初めてです
と研究者は説明しています。さらに、
この統一性あってこそ、海を三次元的に捉えたグローバルなスケールでの海洋生態学の研究が可能になり、「One Ocean ecology」に向けての大きな前進となりました とも。
もうひとつの大きな発見は、地球の両極近くに存在している炭素隔離が顕著な「ホットスポット」でした。ここではプランクトンが特に活発なのだそうで、堆積物に含まれるプランクトンのDNAは生物炭素ポンプの強さを予測するのにも有効なのだとか。
私たちの研究は、深海の生物多様性研究がいかに重要かを物語っています。海の底にはまだ我々が知らない生物が大量に棲息しており、生態学的・生物地球化学的なプロセスにおいて抜本的な役割を果たしていると考えられます
とイギリスのナショナル・オセアノグラフィー・センターで名誉研究員を務めるAndrew J. Goodayさんは説明しています。
海底に存在しているゆたかな生物多様性について今後も知識を深めていくことは、これらの比較的汚されていない生態系が気候変動にどのような影響を及ぼしているのか、また将来的に人間の開発行為から守るためにも不可欠です。
Reference: Science Advances, EurekAlert!