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🛩 「知らなかった・・・」関西人騒然、関空&伊丹に続く謎の存在「八尾空港」 202202

2022-02-14 19:46:00 | 🚇 旅選定の参考

「知らなかった・・・」関西人騒然、関空&伊丹に続く謎の存在「八尾空港」が話題
  デイリースポーツ より 220214


 大阪東部にある「八尾空港」
「知らなかった・・・」近畿のとある空港が、SNSで関西人を騒然とさせている。「関西国際空港」でも「大阪国際空港(伊丹空港)」でもなく・・・「八尾空港」だ。

その風景を撮影した投稿には「八尾に住んでいるが知らなかった」「どこに行けるん?」といったコメントが多数。関西で30年以上生活している記者も知らなかったその存在・・・本当に実在するのか? 「八尾空港」に聞いてみた。


──SNSで投稿を見つけて、八尾に空港!? と驚いています。どうしてここに空港ができたのですか?
 昭和13年に飛行学校用として作られたのがはじまりです。戦時中に軍用飛行場になり、現在の滑走路はその時に創られたものです。

──そんなに昔からあったなんて! 今はどんな運航があるのですか。「関西国際空港」や「大阪国際空港」とは異なるんでしょうか?
 八尾空港は小型機専用の空港です。飛行区間と発着の曜日・時刻を定めて運航する定期便はないのです。関西の他2空港は旅客や貨物の輸送がメインですが、「八尾空港」は操縦訓練、航空測量、航空写真撮影、官公庁の防災・警察・消防業務、遊覧飛行、個人航空機所有者のフライトがメインになります。

──だから旅行者らしき人の姿を見かけないのですね。規模としては何人ぐらいの人が働かれているのでしょうか。
 約400名弱の人が働いています。

──具体的には、どんな人が利用してるんですか?
 航空機を使っての操縦訓練、航空測量、航空写真撮影などの事業をおこなう者や、報道関係者、官公庁(防災・警察・消防)や自家用機所有者、遊覧飛行事業者がフライトで利用しています。

──遊覧飛行!? それは気になります。利用したい時はどうすればいいでしょうか。
 八尾空港で事業をしている会社に連絡を入れていただければ。

──すっかり興味津々です。SNSでは「厳重な警備」とコメントがあるのですが、見学はできますか?
 八尾空港内の一般駐車場の奥に空港を展望できるスペースがあります。

──展望スペース! 行くしかない・・・ありがとうございました!



実在した八尾空港。まだその存在を知らない関西人に会ったら、自慢気に話したい・・・! また、取材時の話題に出ていた遊覧飛行は、大阪・京都・神戸や奈良の名所を巡るコースがあるようだ。空から関西を見てみようと思ったらぜひチェックしてみてほしい。

取材・文/姫田芳
(Lmaga.jp)
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AIが生み出す不平等を、「アルゴリズムによる修復」は解決できるか 202202

2022-02-14 19:29:00 | なるほど  ふぅ〜ん

AIが生み出す不平等を、「アルゴリズムによる修復」は解決できるか
 WIRED より 220214


 誰が仕事を得るのか、誰が逮捕されるのか、誰が医療を受けるのか──。こうした決定において、人工知能(AI)などのアルゴリズムが“判断”を下す事例が増えている。
 世界中の事例が明確に示していることは、テクノロジーが特定の人々を排除、管理、もしくは抑圧したり、AIが誕生する前から存在する不平等という歴史的なシステムを強化したりする目的で利用できることだ。

 こうしたなか、社会学者とコンピューターサイエンスの研究者のチームが、AIモデルの開発者と利用者が「批判的人種理論」やインターセクショナリティー(交差性)などの概念を活用することで、「人種」についてより明確に考慮すべきだと指摘している。

 批判的人種理論とは、1970年代に法学者によって提唱された人種と権力の影響に関する理論で、教育や民族学、社会学などの分野に影響を与える学術的な運動へと変貌を遂げた。
 一方、インターセクショナリティーの概念においては、多様な背景をもつ人々が人種、性別、階級、その他さまざまなアイデンティティに基づいて異なる方法で世界を体験すると考える。

 こうしたなかアメリカ社会学会に2021年初頭に示したある手法において、「アルゴリズムによる修復」という新しい用語が示された。
 学術誌『Big Data & Society』に掲載された論文において著者は、アルゴリズムによる修復について「構造的な不平等の認識と是正を目指す」ことで、インターセクショナリティと補償的な取り組みを同時に実施することであると説明している。

 この修復アルゴリズムは、歴史的に差別を経験してきた集団の保護を優先し、権力を握る集団と戦う資源が不足していることの多い阻害されたコミュニティーに資源を振り向ける。「アルゴリズムはデータによって活性化され、そのデータは人間から得られる。
 人間は社会を構成し、社会は不平等である」と、論文には書かれている。「したがってアルゴリズムは、既存の権力と特権、疎外、そして不利益のパターンに向かって弧を描いていくことになる」

⚫︎AIコミュニティ全体が注目する動き
 論文の3人の著者は、オーストラリア国立大学のプロジェクト「Humanizing Machine Intelligence」とハーヴァード大学バークマン・センターに所属しており、機械学習をより公平にするための取り組みは不十分であると主張する。
 これは機械学習において、わたしたちは実力主義の社会に住んでいるという仮定に基づいて、公正さと正義よりも「公平」であることを前提に数値が測られるからだ。
 論文の著者たちは、修復アルゴリズムは特定のAIモデルをそのまま展開していくべきか、それとも解体すべきかを決定する上で役立つと説明している。最近発表されたほかの複数の論文でも、研究者がアルゴリズムの公平性を解釈してきたやり方を巡る同様の懸念が示された。

 この問題には、AIコミュニティ全体が注目している。米国の計算機協会が主催する「Conference on Fairness, Accountability, and Transparency」は、機械学習における公平性、説明責任、および透明性をいかに批評し再考するかに焦点を当てたワークショップを開催すると発表した。ミシガン大学は、アルゴリズムによる修復についてのワークショップを22年9月に主催する予定だ。

 一方、研究者たちは修復アルゴリズムの実現に向けて、教育における批判的人種理論や雇用におけるアファーマティヴ・アクション(積極的な格差是正措置)と同じように、制度的、法的、社会的障壁との困難な闘いが生じる可能性があることを認めている。

 批判的人種理論は激しい議論を呼ぶ政治問題と化しており、理論そのものとは関係のない文脈で話題になることも多い。例えば、ヴァージニア州知事選で勝利を収めたグレン・ヤンキンは、成功裏に終わった選挙キャンペーンの一環として批判的人種理論を攻撃した。

 またテネシー州では、批判的人種理論を学校で教えることに反対する内容の法律が、米国の学校での人種差別撤廃について論じた本に対する批判を巻き起こしている。これとは対照的に、カリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサムは21年秋、25年までに民族研究の学習を高校の卒業要件とする法律に署名した。

 最近の調査では、サンフランシスコの民族研究のクラスにおいて、卒業率と授業への参加率が向上したことが明らかになっている。また20年の国勢調査によると、米国はこれまで以上に人種と民族の多様性が増している。自身を「白人」とみなす米国民の割合は減少する一方で、白人かつその他の人種グループに属すると考える人の比率は拡大している。

 アルゴリズムによる修復を支持する人たちは、図書館員のようなキュレーションの専門家から学ぶべきだと語る。利用者のデータの倫理的な収集方法と、蔵書に何を含めるのか熟慮しなければならない性質ゆえだ。またこうした人々は、AIモデルのパフォーマンスが公正または好ましいとみなされるかどうかのみならず、それが権力の移行に寄与するか考えるよう求めている。

 この提案は、グーグルの研究者だったティムニット・ゲブルが勧告していた内容とも重なる。ゲブルは19年に発表した論文で、文書管理の専門家や図書館が倫理、インクルージョン(包摂性)、権力といったことにどのように対処しているのか参考にするよう、機械学習を利用する人々に促していた。ゲブルは20年にグーグルを解雇されており、最近では分散型AI研究所を立ち上げている。

 この問題に批判的な人々は、以前から職場で黒人女性に対して続けられてきたような嫌がらせを、グーグルがゲブルに対してしていたと結論づけている。この分析をした記事の著者はコンピューターサイエンティストたちに対し、データに加えて歴史と社会のパターンを見つけるよう促した。

 また、米国の上院議員5人はグーグルに対し、人種差別が同社の製品と職場に与える影響を評価する目的で独立した監査人を雇うよう求めている。グーグルをこの要求に回答していない。
 19年にはグーグルのAI研究者4人が、責任あるAIの分野では批判的人種論が必要だと主張している。この分野での成果の大半は、人種の社会的に構築された側面に対する説明責任を果たしていないか、もしくは収集されたデータセットにおける歴史の影響を認識していないからだ。

 4人の研究者たちの論文には、「データ収集とその解釈の取り組みは、人種の分類と人種カテゴリーの形成における社会的および歴史的文脈に基づく必要があることを、わたしたちは強調したい」と書かれている。「過度な単純化は暴力であり、さらに言えばこれまでに構造的暴力を経験してきたコミュニティにまたもや暴力を振るうことでもある」

⚫︎公民権法以前に逆戻り
 論文の筆頭著者であるアレックス・ハンナはグーグルが初めて雇用した社会学者のひとりで、ゲブルが解雇された際には同社の経営陣を強く批判していた。ハンナは批判的人種理論は何が公正または倫理的なのかという議論において人種を中心に据えており、抑圧の歴史的パターンを明らかにする上で役立つ点が評価できると語る。

 ハンナはその後、顔認識技術がいかに植民地主義の時代にまでさかのぼる性別と人種の構成を強化するのかを扱った論文を、共同で執筆している。この論文は学術誌『Big Data & Society』に掲載された。

 ゲブルと共にグーグルのAI倫理チームを率いていたマーガレット・ミッチェルは20年後半、グーグルは何が公正または倫理的であるのか判断する場面で批判的人種理論を使い出したと指摘している。ミッチェルは21年2月に同社を解雇されている。グーグルの広報担当者は、批判的人種理論はAI研究の評価プロセスの一部をなしていると説明する。

 ノースイースタン大学助教授で法律と政治学を教えるラシダ・リチャードソンは22年に発表する別の論文で、米国では人種差別の影響を考慮せずにAIについて考えることは不可能だと指摘している。黒人を支配、排除、もしくは抑圧する法律と社会規範の“遺産”の影響が強すぎるのだ。なお、リチャードソンはホワイトハウス科学技術政策局のアドヴァイザーを務めている。

 例えば、アパートの借り手や住宅ローン申請者の選別に使われるアルゴリズムでは、黒人が過度に不利に扱われることが複数の研究で明らかになっている。60年代に公民権法が成立するまで、米国の住宅政策は人種差別を明確に認めていたことを覚えておくことが重要であると、リチャードソンは言う。

 また、政府は住宅の開発業者や所有者と共謀して有色人種に機会を与えず、人種集団ごとに分離していた。リチャードソンは、こうした分離が住宅所有者協会、教育委員会、労働組合の白人の間で「カルテルのような行動」を可能にしたと指摘する。この結果、教育や世代を経て蓄積された富に絡んだ問題と特権がさらに悪化していくわけだ。

⚫︎「変革的正義」の重要性
 リチャードソンによると、差別の歴史的パターンは、多くのアルゴリズムの構築に使われるデータを“汚染”している。「いい学校」の選択や、黒人やヒスパニックの居住区域を重点的に取り締まるといった判断につながるアルゴリズムも、その影響を受けているというわけだ。

「データ駆動型のテクノロジーとアプリケーションにおける人種の階層化の再現と増幅において、人種差別は中心となる進化的な役割を果たしてきた。人種差別はまた、アルゴリズムによるバイアスの問題とこれに絡んだ介入の概念化を制約する」と、リチャードソンは指摘している。
「人種差別の影響が無視されるとき、人種的不平等という問題は特定の政策、慣行、社会規範、および行動の副産物ではなく、むしろ自然に発生する現象として現れる」

 解決策についてリチャードソンは、AIは「変革的正義」の原則を適用することで恩恵を受けられると考えている。被害を受けたり影響を被ったりしたコミュニティに対し、AIモデルをどのように構築・設計し、問題修復をプロセスの一部に含めていくか──といった議論に参加してもらうというのだ。同じように、過去1年に実施されたAIの監査およびアルゴリズムの影響評価は、AIの規制に向けた法的枠組みにはアルゴリズムの影響を受けるコミュニティの声が含まれていないことが多いと結論づけている。

 リチャードソンの新しい論文は、AIが人々に害を及ぼす場合にいかに対処していくのか、ホワイトハウスが検討しているタイミングで発表されることになる。議会以外の場では、国会議員たちが法律の策定に取り組んでいる。企業がアルゴリズムの影響評価の要約を定期的に連邦取引委員会(FTC)に報告し、人々の生活に不可欠なシステムについては“登記簿”の作成を義務化するものだ。
 FTCは、差別的なアルゴリズムを規制するルールを22年に確立することを示唆している。

 これに対して一部の地方行政のリーダーたちは、議会やFTCを待たずに行動を起こしている。ワシントンD.C.の司法長官は21年12月上旬、雇用、住宅、融資の分野で使われるアルゴリズムの監査を義務化し、こうしたアルゴリズムに関する大まかなルールを策定する内容の法律を導入している。

(WIRED US/Translation by Chihiro Oka/Edit by Daisuke Takimoto)
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⚠️ 原発が最もクリーンで経済的なエネルギー  202202

2022-02-14 19:14:00 | なるほど  ふぅ〜ん

原発が最もクリーンで経済的なエネルギー
 Wedge より 220214  岡崎研究所


 ロバート・ハーグレイヴス(ThorCon International共同創立者)が、1月26日付のウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)に、「もしきれいな電力が欲しいのなら、核分裂を利用せよ。核事故は起こるが、害のリスクは極めて小さい」との論説を寄せ、原子力発電を推奨している。

 この論説の筆者はダートマス大学で教えている人物で、原子力エンジニアリング会社、ThorCon Internationalの創立者である。そういう彼の立場からの論説と言えるが、同時に原発の利用を推奨して、それなりに説得力のある論を展開していると言える。

 地球温暖化と,それに伴う気候変動は,すでに台風やハリケーン・サイクロンの巨大化、山火事の多発と巨大化などで、人類に大きな災害をもたらしている。多くの死者も出ている。

 これから脱炭素社会を作っていく必要ははっきりしているが、その中で、「(火力のように二酸化炭素を排出しない)クリーンで(再生可能エネルギーより)経済的な」原子力発電を重視していく事が必要であろう。
 再生可能エネルギーで世界のエネルギー需要をまかなえればそれでもいいが、今後も増え続ける発電の断続性など、克服すべき課題は多い。

 これに対し、原発は既に確証された技術である。事故が起きたときに、被害を限定するために原子炉の小型化、地下への設置などの方策も考えられるだろう。
 世界的には、ハーグレイヴスが言うように、原発をさらに作る方向が、EUでの原発のグリーン認定の動きや中国の原子炉建設計画などで出てきている。世界では、現在、57の原発が建設中であるという。

 欧州では、英国のジョンソン首相、フランスのマクロン大統領が国内での新しい原発の建設を承認した。中国は1年当たり10基の原発を約束しているというし、中東等でも原発建設が予定されている。
 ドイツの原発ゼロ政策はこの動きに反するが、気候変動への懸念が広がるにつれ、原発は増える方向にあると判断される。

⚫︎日本も科学的、建設的な議論を
 日本に関しては、2011年の東日本大震災による福島原発の事故により、それまで54基あった原発はほとんどが稼働停止となった。
 10年経った21年3月現在で、定期検査中も含めて稼働中のものは9基のみである。また、21基につては既に廃炉することが決まっている。
 今後、現在停止中の原発をどのように再稼働して行くのか、廃炉の決まった原子炉の放射能物質の処理をどうするのか、具体的道筋がまだ見えて来ない。

 日本の中長期的エネルギー政策をどうするか、脱炭素社会の経済構造をどうするかなど、感情的短絡的議論ではなく、より冷静で科学的、建設的かつ世界的視野をもった論議を期待したい。

 21年夏には、持続的エネルギーとされている太陽光パネル設置の土地開発で、水害による人的被害が大きくなったという指摘もあった。
 ただ、論説でも指摘された通り、事故があったから使用ゼロではなく、事故の再発防止を徹底して行く方向で、技術が人間の生活にもたらす恩恵には真摯に向き合って行く姿勢が大事ではないだろうか。
 飛行機にしても、車の交通事故、ロケットなどにしても、そうして継続されているのだろう。
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🧬私たちの細胞が傷ついても自然治癒する理由|量子で読み解く 生命・宇宙・時間 202202

2022-02-14 18:57:00 | 📗 この本

私たちの細胞が傷ついても自然治癒する理由|量子で読み解く 生命・宇宙・時間
 幻冬社プラス より 220214  吉田伸夫


 物質や光などを極限まで小さく分けた最小単位を「量子」と呼び、私たちの身の回りにある物質は全てこの量子からできています。しかし量子には謎が多く存在し、そもそも量子が一体どのような姿をしているのかもわかっていません。
 教科書を開けば「量子とは波であると同時に粒である」という一見して矛盾した記述がされており、多くの学習者を悩ませてきました。量子の世界で、一体何が起きているのでしょうか。発売後たちまち重版となった『量子で読み解く生命・宇宙・時間』の一部を抜粋して紹介します。

⚫︎分子の性質が細胞の活動を促す
 脂質分子が水中で安定な膜構造を形成する仕組みを見てみよう。
水の分子(H2O)は、酸素原子に水素原子2個が結合し、「く」の字形に折れ曲がっている。3つの原子がなす角度は、すべての水分子に共通であり、104・5度である。
 一方、生物の体内に多く存在する脂質分子は、尾が2本に分かれたオタマジャクシのような形状をしている。頭に相当する部分は,水になじんで溶け込もうとする性質があり,親水基(「基」とは、分子内部において,まとまった状態で機能したり場所を移したりする原子集団のこと)と呼ばれる。逆に、しっぽの部分は、水と反発して離れようとする疎水基である。
 一つの分子に親水基と疎水基があるため、水中に多数の脂質分子が入り込むと、集団で水分子と相互作用し構造を形成する。水の表面があれば、疎水基が水から出て行こうとし親水基がとどまろうとするので、疎水基を外に向けた状態で表面を覆う薄い膜となる。水の中では、水と反発した疎水基同士が自然と集まるため、脂質分子は、内側に疎水基、外側に親水基が並んだ二重層を作って安定化する。

 二重層に端があると、そこで水分子と引き合ったり反発したりといった相互作用が生じるため、二重層は端のない閉じた曲面になろうとし、その結果として、閉曲面の膜に閉じ込められた領域ができる。
 生命の基本単位となる細胞は、このようにして形作られる。細胞の境界となる膜は物質の移動を制限するため、内側と外側で溶液濃度が異なることも起こり得る。化学反応の頻度は濃度に左右されるので、膜の内側では、栄養物の代謝のように外部では起きにくい反応が進行することも可能である。

 脂質分子が形成した二重層の膜は、力を加えると変形はするものの、水を内側と外側に分けるという基本的な構造はなかなか壊れない。部分的に小さな穴が開いても、水分子と引き合ったり反発したりするという脂質分子の特性によって、自然と穴を塞ぐように分子が移動するからである。これが、細胞膜が構造安定性を持つ理由であり、この安定性があるからこそ、生物は存続が可能になる。細胞膜がすぐに壊れて内側と外側の差がなくなるようでは、生物は生きられない。

⚫︎生物の活動とは化学変化の連続である
 生物体の機能は、一般に、脂質二重層によって外界から切り離された安定な環境の中で、複雑な分子が一連の化学反応を行うことによって実現される。
 例えば、光のエネルギーを有機物の化学エネルギーに変換する光合成は、細胞小器官である葉緑体内部のクロロフィル(葉緑素)が光を吸収し、構造変化を起こすことから始まる。
 クロロフィルにはいくつかの種類があるが、最も多いタイプは、五角形のリング4つがマグネシウムを取り囲んだ部分と、それにくっついた長い鎖状の部分から構成される。

 マグネシウム原子の他、炭素原子や窒素原子、酸素原子なども含み、あわせて百個を超える原子からなる巨大な分子である。この分子が特定の波長の光を吸収すると、マグネシウムを放出したり電子の状態を変えたりしながら、さらなる化学反応を引き起こす。一連の反応の末に、光が持っていたエネルギーを安定した化学エネルギーに変換する過程が、光合成である。

 光合成に限らない。あらゆる生命活動の根底には、巨大な分子がその構造や結合の仕方を変えながら複雑に変化する過程が存在する。

 神経興奮や筋肉の収縮、生合成のようにエネルギーの供給が必要な活動で、多くの生物は、ATP(アデノシン三リン酸)を利用する。ATPは、アデノシンに3つのリン酸が結合した構造をしており、内部に化学エネルギーが蓄えられている。酵素の作用でADP(アデノシン二リン酸)とリン酸に分解される際に、外部にエネルギーを解放する。

 ATPの分解生成物である ADP は、そのまま使い捨てにされるのではなく、食物によりエネルギーを供給してリン酸と結合させることで、再びATPに戻される。ATP は、いったん ADP に分解されてもまた元に戻るような安定した構造を持っており、それ故に、再利用可能なエネルギー蓄積装置として生命活動を支える。


◆関連書籍
吉田伸夫『量子で読み解く生命・宇宙・時間』
生命は活動し、物体は形を持ち、時間は流れる。物質や光の最小単位・量子は、これらのあらゆる現象と関わりを持つ。だが量子には謎が多く、運動方程式など、私たちが住むマクロ(巨視的)な世界の物理法則が通じない。その正体すら判別できず、教科書でも「粒子であり波でもある」という矛盾を孕む説明がなされる。本書では「粒子ではなく波である」という結論から出発し、量子を巡る事象の解明に挑む。細胞の修復、バラバラに砕けない金属、枝分かれしない歴史……こうした世界の秩序は量子が創っていた――。日常の見え方が変わる一冊。
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🧠脳のニューロンの数を増やす栄養素が判明 202202

2022-02-14 18:42:00 | 健康関連

脳のニューロンの数を増やす栄養素が判明
  GigaZain より 220214
 

 マウスを用いた実験により、脳の活性化や老齢期における記憶力の維持には必須元素の1つである セレンが役立つ可能性が高いことが分かったとの論文が発表されました。

Selenium mediates exercise-induced adult neurogenesis and reverses learning deficits induced by hippocampal injury and aging - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1550413122000055

Natural mineral may reverse memory loss - UQ News - The University of Queensland, Australia
https://www.uq.edu.au/news/article/2022/02/natural-mineral-may-reverse-memory-loss

Widely available supplement may explain brain boost from exercise | Science | AAAS
https://www.science.org/content/article/widely-available-supplement-may-explain-brain-boost-exercise

 運動は体だけでなく脳にもいいと言われており、過去の研究でも運動によりアルツハイマー病患者の脳が改善される可能性があることや、 運動は脳の記憶領域を活性化させることが確かめられています。

⚫︎運動はアルツハイマー病患者の脳を改善する可能性がある - GIGAZINE
 しかし、運動が脳にいいことは分かっていても、具体的なメカニズムは不明でした。
そこで、オーストラリア・クイーンズランド大学のタラ・ウォーカー氏らの研究チームは、運動後のマウスの脳で38種類のタンパク質濃度が上昇していたことを突き止めた以前の研究結果に着目。
 特に、セレンを含むタンパク質である セレノプロテインPが運動後に2倍になっていたことを手がかりに、セレンが脳細胞に与える影響を調べる実験を行いました。

 研究チームはまず、新しいニューロンを生み出す元となる細胞を培養し、そこにセレンが水や土壌などに存在する際の形態である 亜セレン酸ナトリウムと、食事などに含まれる際の形態である セレノメチオニンを加えました。その結果、たった14日間で 神経前駆細胞が2倍になったとのこと。さらに、亜セレン酸ナトリウムをマウスの脳に7日間直接注入したところ、海馬の神経前駆細胞の数が3倍に増加したとの結果も得られました。

 この実験結果を確認するため、研究チームはセレノプロテインPの合成や受容体に関わる遺伝を欠損させたマウスを作って運動をさせました。その結果、マウスが運動をしても神経前駆細胞が増加することはなかったとのことです。

 セレンが 神経新生にとって重要なことを確かめた研究チームは次に、人間の年齢に換算すると60歳に相当する生後18カ月のマウスに、セレノメチオニンを加えた飲み水を与えました。その結果、マウスの海馬にある新しい神経細胞の数は2倍になりました。

 セレンを含む水を飲んだ老齢のマウスは、軽い電気ショックが出る場所を記憶して避けたり、32個ある穴の中からマウスが好む暗い部屋につながる穴を覚えたりする記憶力テストでも、対照群より優れた成績を示したとのこと。この結果は、セレンには脳の老化を食い止める働きがあることを示しています。

 研究チームは最後に、セレンが脳の損傷による認知障害から回復するのに役立つかどうかを調べるため、マウスの海馬に神経細胞を破壊する物質を注入し、脳卒中に似た症状を発生させました。その結果、セレンを与えられていないマウスは前日に電気ショックを受けた場所を思い出すことができなくなりましたが、セレンを与えられたマウスは正常なマウスと同様にテストで優れた成績を示したとのことです。

 また、新しくニューロンが形成されないようにしたマウスではセレンを与えても認知機能が回復しなかったことから、セレンによる脳の再生効果は神経新生が起きるかどうかにかかっていることも判明しました。

 ウォーカー氏は、今回の研究結果について「運動が脳に新しい神経細胞ができるのを助けることは以前から分かっていましたが、そのメカニズムはよく分かっていませんでした。私たちの研究結果は、運動によるセレンの補給がニューロンを増加させ、認知力を改善することを示しました」と話しました。

 セレンは,豆類や穀類,ナッツなどに豊富に含まれているミネラルで、優れた抗酸化作用があります。しかし、過剰摂取による毒性も強いことから、専門家はセレン入りのサプリメントの使用を運動の代用品にしたり、セレンを過剰摂取したりしないよう呼びかけています。
 一般的に、野菜・肉・果物などのバランスがとれた食事をしている人は、すでに十分なセレンを摂取できています。しかし、高齢者や神経疾患を持つ人に対しては、セレンのサプリメントが有益な治療法になる可能性があると、ウォーカー氏は指摘しました。

 なお、この研究結果を取り上げたアメリカ科学振興協会の科学雑誌・Scienceは、今回の研究にはサプリメント業界からの資金提供は一切行われていないことを確認しています。
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