小選挙区制度が2大政党政治を加速するか、小党分立政治を促すかは即断できない

2005年08月24日 17時53分57秒 | 政治
新党日本「政党」格上げ 国民新党長谷川氏移籍 (共同通信) - goo ニュース

 小選挙区比例代表制度の下で、「2大政党化」がどんどん進んでいるように見える。
 だが、純粋小選挙区制度と違い、ヨーロッパ大陸型の比例代表制がついていることにより、中途半端な制度になっている。
 いまは、中選挙区制度→小選挙区比例代表制度→純粋小選挙区制度へ向かう過渡期にあると言えるだろう。純粋小選挙区制度の場合は、有権者の投票行動によって、「YES・NO」「右か左か」がはっきりする傾向が極端に強く、政権党が腐敗しようものなら、一気に政権が野党にわたってしまうという結果をもたらす可能性が高い。また、少数政党が、消滅することもあり得る。
 2大政党政治が本格化すると、政策の選択も、「YES・NO」「右か左か」という形で有権者も二者択一を迫られ、曖昧な投票行動をとりにくくなる。
 大政党が、政策を決定し、党員が一致団結し、全国組織をフル稼働させて選挙戦を繰り広げていくことにより、政治が「中央集権化」していく。党中央部の統制に従わない党員は、処分される。大政党に属する政治家は、「党の社員」のようになり、その結果、サラリーマン化していくことを止められなくなる。党中央の指導部の意向に反する政治家も直ぐに査問委員会にかけられ、除名処分などに処せられる。共産党のような組織を思い出せば、大体の未来像を描くことができるだろう。
 しかし、いかに純粋小選挙区制度が行われようと、日本民族は、この制度を「日本化」してしまうに違いない。
 小選挙区制度によって、政権移動が容易になるかも知れないが、そう単純にはいくものではない。
 その実例が、都道府県、市町村の首長選挙を想起するならば、容易に理解できる。
 首長選挙に立候補する政治家のほとんどが、わざわざ党籍から離れて、「無所属」のベールをかぶって選挙戦に臨んでいる。議会対策上、首長が特定の政党色を出せず、だきるだけ多数の有権者から票を得たいがために、「無所属」を装っているのである。
 大政党から「公認」や「推薦」が得られるか否かは、都道府県、市町村の首長選挙では、大した問題ではなくなってきている。
大政党の「紐付」がはっきりすれば、「無党派層」からの票を得にくくなるのを恐れて、「無所属」をあえて名乗る。
 都道府県、市町村の首長選挙こそ、たった1人しか当選できないのであるから、完全な小選挙区制度である。純粋小選挙区制度と言ってもよかろう。
 こういった傾向が、これからの時代、国政選挙に反映しないとは断言できない。衆院でも参院でも、「無所属」で健闘し、見事に当選を果して国政壇上に駆け上がってくる政治家は、皆無ではないのである。
 また、小選挙区制度が、2大政党政治を必然的に誘導する面はあるにしても、日本民族は、「白黒」をはっきりさせるよりも、いつしか、「グレー」な関係に流れて、やがて落着きを取り戻す傾向がある。原色よりも中間色を好む民族なのである。
 従って、これからの日本の政治が、2大政党政治化していくことが避けられない半面、次々に「新しい政党」が誕生していく可能性もある。2大政党から弾き出される政治家が出てくるばかりでなく2大政党のなかで、息苦しさを感じる政治家も出てくるであろう。 この動きが活発化すると、「第3の政党」が勢力を持ち、「キャスティング・ボード」を握って、政界を振り回すこともあり得る。 かつてのイタリアのように、「小党分立」状態が生まれて、政治が不安定になるかも知れない。国民新党や新党日本が、「選挙互助会」などとバカにされているけれど、鈴木宗男元沖縄開発庁長官が北海道で「新党大地」を旗揚げし、「地域ブロック政党」の性格を前面に打ち出しているように、今後さらに全国各ブロックで、「地域ブロック政党」が誕生しないとは限らない。そうなると、政党は、百花繚乱、あちこちで咲き乱れてくるであろう。
 何しろ、前・現含めて「5人以上」の国会議員が、まとまれば、1つの政党を立ち上げることができるのであるから、個性的な政党が、どんどん出来てくればよい。そうなれば、日本の政治は、バラエティに富み、ますます面白くなるはずである。
 中国の古典にもあるように、「鶏口となるも、牛後となるなかれ」(大きな団体で部下になっているよりも、小さな団体でも頭になった方がいい)という言葉があるではないか。
 国民新党の綿貫民輔代表、新党日本の田中康夫代表ともども、しっかり頑張って下さい!

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