◆小沢一郎元代表が2月17日、ついに「菅内閣の倒閣」に動き出した。2010年12月ごろから練りに練ってきた菅直人首相を衆院解散・総選挙に追い込む作戦を開始。小沢支持派を本隊と先陣隊に分け、まず先陣隊を放ったのである。
それは、衆院選挙区を持たない比例代表選出の16人を衆院会派である「民主党・無所属クラブ」から離脱させる作戦である。
菅執行部との戦いの「最前線」に送り込んだ。民主党の凋落が激しい状況において、総選挙が行われた場合、落選が確実視されていることから、厳しい選挙戦をよほど覚悟を決めて奮戦しなければ、再選できない。
このため、小沢一郎元代表には、「新党」を結党してもらい、それぞれが選挙区を得て、「国民生活第一」を掲げて、菅首相の「消費税アップ」の大増税路線とは正反対の「減税」などを訴えて有権者の支持を獲得する道を選ぶしかないと考えている。
◆小沢一郎元代表は、この1手を打っておいて、民主党倫理委員会(渡部恒三委員長=民主党最高顧問)に出席する。倫理委員会は、「17日に弁明を行うよう」求めていた。
だが、小沢一郎元代表は、「17日は困難」と回答し、先陣隊を動かす準備を整えてから、「22日に出席する」と回答している。実に用意周到である。
菅執行部は、倫理委員会の決定を受けて、党幹事会で正式に小沢一郎元代表に対する「党員資格停止処分」を決める手筈にしている。しかし、これは、2011年度予算関連法案が、参院で否決されて、衆院で「3分の2以上}で再可決するのが困難になることを意味している。菅首相にとっては、追い詰められて衆院解散・総選挙を断行せざるを得なくなり、大敗すれば、菅首相退陣・民主党政権の崩壊に追い込まれる。それだけに、小沢一郎元代表に対する処分は、単に菅首相退陣・民主党政権の崩壊に止まらず、政界再編・大連立政権樹立に向けての「引金」となる。
民主党は14日の役員会で、強制起訴された小沢一郎元代表について裁判で判決が確定するまで党員資格停止とする処分案を提案、15日の常任幹事会で議論し、倫理委員会の意見を聞く手続きを経て処分を正式決定する手続きを進めてきた。この間、輿石東参院会長が「処分するなら覚悟を持ってやれ。これから何が起こるか分からない」と警告していた。そのうえ、輿石参院議員会長は16日午前の参院議員総会で、党常任幹事会が小沢一郎元代表を党員資格停止処分とする方針を決めたことについて、「このことによって、党内が揺らいだり、大変な方向へ行くことも考えられる」と述べていた。この警告予言通り、小沢支持派先陣隊が、菅直人首相ら現在の党執行部への反発を強め、いよいよ党内混乱の様相が深まってきた。
◆毎日jpは2月17日、「民主党:衆院比例の小沢系16人、会派離脱届 執行部は拒否」との見出しをつけて、以下のように報道している。
「民主党の渡辺浩一郎衆院議員ら小沢一郎元代表に近い比例代表選出の衆院議員16人は17日午前、執行部が決めた小沢元代表への処分方針に抗議し、民主党会派の離脱届を岡田克也幹事長に提出した。同時に衆院事務局に新会派『民主党政権交代に責任を持つ会』の結成届を出した。執行部は予算関連法案の衆院での再可決が可能な3分の2以上の議席確保を目指しているが、離脱を表明した議員が関連法案に賛成しない事態となれば菅政権には大きな打撃になる。岡田氏は同日、『党に所属している限り、規約上、会派離脱はできない。選挙で民主党の議員として選ばれて、会派を抜けることが軽々にできるはずはない。考え直してほしい』と述べ、離脱を認めない意向を示した。岡田氏はこの後、輿石東参院議員会長と対応を協議。輿石氏は『最終的に50人程度に膨れ上がる可能性もある』と伝えた。新会派の会長に就く予定の渡辺氏は国会内で記者会見し『衆院選マニフェストを実行するためだ』と語り、離党しない意向を強調。11年度予算案と予算関連法案への賛否については『マニフェストに照らし合わせて、内容を精査して判断したい。(投票行動が民主党と)別になることもありうる』と述べ、反対する可能性を否定しなかった。離脱届を出したのは全員が比例代表単独で、地盤となる小選挙区を持たない。このため離党含みの展開になったとしても、身動きが取りやすいと見られている。渡辺氏らは17日朝、小沢元代表側に離脱の意向を報告。元代表を支持する一新会の幹部も事前に相談を受け、容認したことを認めた。菅政権の『3月危機』が現実味を帯びる中、小沢元代表側には政権を揺さぶる狙いがあるとみられる。ただ、会派を離脱するには会派の代表者が議長に離脱届を提出する手続きが必要で、民主党の会派代表は岡田氏。衆院事務局によると、会派離脱が認められないまま新会派を作る「結成届」を提出するのは通常認められていない。『結成届が提出されれば議院運営委員会で協議することになる』(議事課)としている。【葛西大博】」
◆会派離脱届を提出した比例選出議員16人は、次の通りである。(数字は年齢、地区はブロック名、○付き数字は当選回数)
○渡辺浩一郎(66)=東京②)▽豊田潤多郎(61)=近畿②▽高松和夫(68)=東北①▽菊池長右エ門(76)=同①▽石井章(53)=北関東①▽川口浩(56)=同①▽水野智彦(55)=南関東①▽石田三示(59)=同①▽相原史乃(36)=同①▽川島智太郎(46)=東京①、小沢一郎元代表の元秘書▽笠原多見子(45)=東海①▽三輪信昭(68)=同① ▽小林正枝(39)=同①▽大山昌宏(40)=同①▽熊谷貞俊(66)=近畿①▽渡辺義彦(54)=同①。
なお、時事通信は 2月17日午後1時20分、「会派離脱に理解=鳩山氏」との見出しを付けて、以下のように配信している。
「民主党の鳩山由紀夫前首相は17日、同党の渡辺浩一郎衆院議員ら16人の会派離脱の動きについて『民主党を思う気持ちをそれぞれが強く持ち、政権交代の意義をみんなが考えていく中での行動だと思う』と述べ、一定の理解を示した。国会内で記者団の質問に答えた」
鳩山由紀夫前首相は、菅内閣の倒閣に大賛成しているということである。この後は、菅首相がいつ「破れかぶれ」になり、「伝家の宝刀」を抜くかだ。もう1つ付け加えるならば、今回の小沢先陣隊の動きに対して、岡田克也幹事長は、薄笑いを浮かべている。もっと喜んでいるのは、小沢一郎元代表に「総理大臣にして欲しい」と頼んでいる前原誠司外相である。
本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
小沢派衆院議員16人が新会派により「菅内閣倒閣」を開始、知らなかった前原誠司外相が真っ青、米国は「3月13日」の名古屋市議選を小沢元代表の「天王山」と見る
◆〔特別情報①〕
小沢支持派の衆院比例代表(単独)選出16人が2月17日、衆院会派「民主党・無所属クラブ」から離脱して新会派をつくる手続きをしたというニュースを聞いて、真っ青になった閣僚がいる。その一方で、「笑わん殿下」の異名を持つ岡田克也幹事長が、薄笑いしている。真っ青になったのは、前原誠司外相である。
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「民主党の渡辺浩一郎衆院議員ら小沢一郎元代表に近い比例代表選出の衆院議員16人は17日午前、執行部が決めた小沢元代表への処分方針に抗議し、民主党会派の離脱届を岡田克也幹事長に提出した。同時に衆院事務局に新会派『民主党政権交代に責任を持つ会』の結成届を出した。執行部は予算関連法案の衆院での再可決が可能な3分の2以上の議席確保を目指しているが、離脱を表明した議員が関連法案に賛成しない事態となれば菅政権には大きな打撃になる。岡田氏は同日、『党に所属している限り、規約上、会派離脱はできない。選挙で民主党の議員として選ばれて、会派を抜けることが軽々にできるはずはない。考え直してほしい』と述べ、離脱を認めない意向を示した。岡田氏はこの後、輿石東参院議員会長と対応を協議。輿石氏は『最終的に50人程度に膨れ上がる可能性もある』と伝えた。新会派の会長に就く予定の渡辺氏は国会内で記者会見し『衆院選マニフェストを実行するためだ』と語り、離党しない意向を強調。11年度予算案と予算関連法案への賛否については『マニフェストに照らし合わせて、内容を精査して判断したい。(投票行動が民主党と)別になることもありうる』と述べ、反対する可能性を否定しなかった。離脱届を出したのは全員が比例代表単独で、地盤となる小選挙区を持たない。このため離党含みの展開になったとしても、身動きが取りやすいと見られている。渡辺氏らは17日朝、小沢元代表側に離脱の意向を報告。元代表を支持する一新会の幹部も事前に相談を受け、容認したことを認めた。菅政権の『3月危機』が現実味を帯びる中、小沢元代表側には政権を揺さぶる狙いがあるとみられる。ただ、会派を離脱するには会派の代表者が議長に離脱届を提出する手続きが必要で、民主党の会派代表は岡田氏。衆院事務局によると、会派離脱が認められないまま新会派を作る「結成届」を提出するのは通常認められていない。『結成届が提出されれば議院運営委員会で協議することになる』(議事課)としている。【葛西大博】」
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