「じゃあ、トイレとお風呂場と換気扇お願いね」
「そんなにやるのかよぉ」
「それだけじゃない。あたしなんてもっとやってるんだから。そのくらいやったってバチは当らないわよ」
なんだよ・・・俺はお前らの為に毎日残業やって、ヘトヘトなんだよ。なんで休みの日まで掃除とかしなきゃなんないんだよ。
俺はモヤモヤする心の中を落ちつかせつつ、便器と向かい合った。
便器をタワシでこすりつつ、ふと一瞬自分の意識が途切れていた。
「俺は今何やってるんだろう・・・」
換気扇の汚れを落としながら、ふと自分に対して自問自答を繰り返していた。
「俺は何の為に生きているんだろう?」
「家族を守る為・・・そうだよな、家族を守る為に俺は頑張っているんだよな」
「でも、じゃあ俺の存在ってそれだけのものなんだろうか?」
「それは男としての義務であり、当たり前のことじゃないか」
浴槽をこすりつつ、自問自答は続く・・・
「俺の存在価値・・・」
一通りの掃除も終えて、俺は玄関に向かう
「ちょっと出るわ」
「どこ行くんですか」
「パチスロ~」
「また?」
「いいじゃないかよ。俺の小遣いの範疇でやってるんだから文句ないだろ?」
「どうせ負けるんでしょ?ムダじゃない」
「決めつけるなよ」
「うちはビンボーなんだから、そんなお金があるんなら、私達にケーキの一つでも買って来てほしいわね」
「なんだよ、その言い草はよ」
「事実でしょ。私は小遣いなしで、この家のこと全部やってるんだから。感謝してもらいたいくらいなのよ」
「わかったよ。勝ったらなんか買って来てやるよ」
「期待しないで待ってるわよ」
・・・ったくよぉ。俺の唯一の趣味まで文句いいやがる。
台の前で玉を弾きながら、ふと考えてしまった。
「俺は何か?こうやって唯一の趣味まで文句言われて肩身の狭い思いをしながらやらなきゃいかんのか?」
「なんで俺の小遣いの使い道まであーだこーだ言われなきゃならんのだ?」
そう考えると、なんか無性に腹が立ってきた。それとほぼ同時にものすごい虚しさも襲ってきた。
「俺は何の為に生きているんだろう」
涙が無性にあふれ出てきて、俺はパチンコ台の前で嗚咽してしまった。
つづく・・・
「そんなにやるのかよぉ」
「それだけじゃない。あたしなんてもっとやってるんだから。そのくらいやったってバチは当らないわよ」
なんだよ・・・俺はお前らの為に毎日残業やって、ヘトヘトなんだよ。なんで休みの日まで掃除とかしなきゃなんないんだよ。
俺はモヤモヤする心の中を落ちつかせつつ、便器と向かい合った。
便器をタワシでこすりつつ、ふと一瞬自分の意識が途切れていた。
「俺は今何やってるんだろう・・・」
換気扇の汚れを落としながら、ふと自分に対して自問自答を繰り返していた。
「俺は何の為に生きているんだろう?」
「家族を守る為・・・そうだよな、家族を守る為に俺は頑張っているんだよな」
「でも、じゃあ俺の存在ってそれだけのものなんだろうか?」
「それは男としての義務であり、当たり前のことじゃないか」
浴槽をこすりつつ、自問自答は続く・・・
「俺の存在価値・・・」
一通りの掃除も終えて、俺は玄関に向かう
「ちょっと出るわ」
「どこ行くんですか」
「パチスロ~」
「また?」
「いいじゃないかよ。俺の小遣いの範疇でやってるんだから文句ないだろ?」
「どうせ負けるんでしょ?ムダじゃない」
「決めつけるなよ」
「うちはビンボーなんだから、そんなお金があるんなら、私達にケーキの一つでも買って来てほしいわね」
「なんだよ、その言い草はよ」
「事実でしょ。私は小遣いなしで、この家のこと全部やってるんだから。感謝してもらいたいくらいなのよ」
「わかったよ。勝ったらなんか買って来てやるよ」
「期待しないで待ってるわよ」
・・・ったくよぉ。俺の唯一の趣味まで文句いいやがる。
台の前で玉を弾きながら、ふと考えてしまった。
「俺は何か?こうやって唯一の趣味まで文句言われて肩身の狭い思いをしながらやらなきゃいかんのか?」
「なんで俺の小遣いの使い道まであーだこーだ言われなきゃならんのだ?」
そう考えると、なんか無性に腹が立ってきた。それとほぼ同時にものすごい虚しさも襲ってきた。
「俺は何の為に生きているんだろう」
涙が無性にあふれ出てきて、俺はパチンコ台の前で嗚咽してしまった。
つづく・・・