「お休みなさい」
お母さんの声が、聞こえる。
あたたかい、懐かしい、柔らかな声。
あぁ、僕は、まだ。
「疲れたでしょう。もう休んでもいいのよ」
僕は――まだ。
眠りたく、ないのに。
お母さんの手が、額に触れる。
優しいウタゴエが、聞こえる。
厭だ、お母さん、厭だよ――。
「どうしたの? 眠れないの?」
違う、違うんだ。
僕はまだ眠れない。休んじゃいけない。
僕はフラフラと起き上がる。
「・・・どうして? こんなに疲れきっているじゃない」
そうかもしれないけど、だけど――。
だけど・・・。
だけど。
僕の思考はそこで止まる。
疲れているなら、休めばいいんだ。
倒れてしまう前に、立ち止まればいいんだ。
でも、僕の意識がそれを邪魔する。
休んじゃいけない。立ち止まっちゃいけない。
それが何故か分からないから、僕は言葉に詰まるんだ。
お母さんは、そんな僕に苦笑して言う。
「困った子ね」
くしゃくしゃと、頭を撫でる感触。
「じゃあ、行ってらっしゃい」
――ごめんなさい。
「謝ることなんかないわ」
本当は、ずっと眠っていたいけど。
今はまだ、やらなきゃいけないことがある。
全部、すっかり片付いたら――
また、ここに帰ってくるから。
そんな思いを乗せて、僕は言う。
「行ってきます」
お母さんの声が、聞こえる。
あたたかい、懐かしい、柔らかな声。
あぁ、僕は、まだ。
「疲れたでしょう。もう休んでもいいのよ」
僕は――まだ。
眠りたく、ないのに。
お母さんの手が、額に触れる。
優しいウタゴエが、聞こえる。
厭だ、お母さん、厭だよ――。
「どうしたの? 眠れないの?」
違う、違うんだ。
僕はまだ眠れない。休んじゃいけない。
僕はフラフラと起き上がる。
「・・・どうして? こんなに疲れきっているじゃない」
そうかもしれないけど、だけど――。
だけど・・・。
だけど。
僕の思考はそこで止まる。
疲れているなら、休めばいいんだ。
倒れてしまう前に、立ち止まればいいんだ。
でも、僕の意識がそれを邪魔する。
休んじゃいけない。立ち止まっちゃいけない。
それが何故か分からないから、僕は言葉に詰まるんだ。
お母さんは、そんな僕に苦笑して言う。
「困った子ね」
くしゃくしゃと、頭を撫でる感触。
「じゃあ、行ってらっしゃい」
――ごめんなさい。
「謝ることなんかないわ」
本当は、ずっと眠っていたいけど。
今はまだ、やらなきゃいけないことがある。
全部、すっかり片付いたら――
また、ここに帰ってくるから。
そんな思いを乗せて、僕は言う。
「行ってきます」