書楼弔堂シリーズ第1巻「破暁」読了。
久々の京極夏彦でしたが、凄まじいねこの人。
舞台は明治20数年。
明治維新からの文明開化が根付いた頃ですかね。
――と、百鬼夜行シリーズよりも古い時代設定なのに、
登場人物の主義主張は現代の最先端と遜色ない。
差別を嫌い迷信を嫌い、多様性を重んじる。
この点では現代を舞台にしていると言われても信じそう。
歴史上の人物がバンバン登場するのですが、
その背景や人間関係、功績などは史実通りのようです。
でも、「弔堂」で道を開けたのだ、とするフィクションが
絶妙に混じる。
正直、どこまでがフィクションで、どこからがリアルなのか
学のないいずみには分かりません。
ジョン万次郎と岡田以蔵の関係なんか最高だったね。
物の本によれば、岡田以蔵が処刑されたとされる
慶応元年(1865年)以後にジョン万次郎の警護を行っている、
つまり実は処刑されていなかったのだとされているようです。
そこを上手く突いてきた。
勿論処刑後も生きていた云々は作り話の線が濃厚らしいのですが、
本作ではそのフィクションを是としているのです。
嘘をつくのが上手すぎる。
他にも有名人がたくさん出てきます。
知らない人だな、と思っても、ネットで調べると一発で出てきますよ。
それだけ史実に忠実に書かれている。
でも、巧妙に嘘も混ぜている。
そういう小説でした。
色々調べたくなるから、読むのに時間がかかりました。
でも楽しいんだよね、こういうの。