和泉の日記。

気が向いたときに、ちょっとだけ。

裏話。

2007-04-01 23:16:45 | いつもの日記。
今日、一気に書き上げた小説「April Fool」のあとがき。

実は、本作のきっかけは山本からのメールでした。
そこに、今彼が考えているハナシとしてこれに近いものが
書いてあったのです。

で、それが面白かったのでパクった、と。

いや、一応本人の了解は取ってますよ!?
あと、かなり和泉流にアレンジしてますし。
山本が書くとすると、きっと全然違う話になるでしょう。
それ以前に彼が書くのは基本漫画だしなー。

と、こんなきっかけで書いた作品だったわけですが、
皆様いかがでしたでしょうか。

個人的には、和泉作品にしてはキレイにまとめすぎたなぁという印象。
いつもは、計算してちまちま構築して、最後の最後にわざと
ぐちゃぐちゃーっと崩しちゃうという手法をとるのですが。
正直、

良いオチが浮かばなくて、ベタに逃げました。

うん、ごめんな!
お兄さんちょっと丸くなっちゃったよ!

昔はもっとトガってたんだけどなー・・・。

ともあれ、最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
良ければ、この記事にでも感想書いてくださいね。
コメント (2)
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「April Fool(後編)」

2007-04-01 21:00:16 | 小説。
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2007/04/01 00:01:52 投稿者:No Name 件名:No Title
お父さん、お母さん、離婚なんかしないで


2007/04/01 00:01:53 投稿者:管理人 件名:承りました
その願い、確かに聞き入れました。

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掲示板は、今朝確認した時と何も変わっていない。
もしも――もしも、ここに書いた願いが本当に叶うとしたら。
考えられない話だけど、仮にそうだとしたら。

お父さんとお母さんは、離婚しようとしていた。
それは、お母さんが浮気をしたからだ。
だから、僕は「離婚しないで」と願った。
普通なら、そんな子供の願いなど無視するか――
聞き入れて、2人は仲直りするだろう。
但し、もし後者を選ぶなら、仲直りするために離婚の原因になった
「お母さんの浮気」をキッチリと解消しておく必要があるはずだ。

僕の願いは、両親が離婚しないこと。

確かに、両親が仲直りすること、とは言っていない。
言っていないけれど。
そんな詭弁、酷いじゃないか。惨いじゃないか。

「お父さんとお母さんが仲直りしますように」
そう打ち込んで、掲示板に送信した。
だけど、エラー画面が表示されて書き込めない。
既に、読み込み専用モードになっているらしい。
僕はパソコンの前で呆然とするばかりだった。

お昼、お母さんが昼食の用意ができたと告げに来た。
当然、知らないおじさんと食べる気なんてしなかった。

僕はずっと、ネット上の情報を探して回った。
「April Fool」の名前、願いが叶う掲示板の噂・・・。
どんなキーワードで検索しても、ジョークサイトすら見当たらない。
アドレスを直接打ち込んだときだけ、その掲示板は現れる。
アドレスそのものが、パスワードであるかのように。

夕飯時になった。
お母さんの心配そうな声が聞こえる。
だけど僕は、それを無視し続ける。

気が付けば、僕はパソコンの前で突っ伏していた。
そういえば、昨日もあんまり寝ていない。
加えて――朝から、何も食べていなかった。
こっそりと台所へ行って、冷蔵庫から食べ物を取ってこよう。
誰にも会わないことを祈りつつ、僕は部屋を出た。

ドン!
という大きな音が聞こえた。
居間への扉に手をかけた瞬間、僕はその音に驚いて硬直してしまった。
部屋の中から、もはや聞きなれた――言い争いの声が聞こえる。
お父さんと、お母さんだ。
硬直から立ち直った僕は、そのまま扉を開け放った。

シン、と場が静まる。

「ねえ、離婚はしないんじゃなかったの?」
自分でも驚くほど抑揚のない声でそう訊いた。
2人は、僕を見てばつが悪そうに互いから視線を外した。
「――どうでもいいけどね。もう、好きにしたら」
今更喧嘩されたって、もうどうということもない。
自分勝手な大人に振り回されるのは、もうたくさんだ。

だけど、2人はそうじゃなかったらしく。
妙に、うろたえていた。
僕はそんな2人を尻目に、冷蔵庫から林檎を取り出して自室へ戻った。

部屋に戻って林檎を半分くらい食べ終えたところで、ノックの音が聞こえた。
僕は、無視していた。
しかし、その無視を無視して、お母さんが話し出す。

「ごめんね、お母さん達の都合だけで、あなたのこと考えてなかったよね」
何を今更。
「あのね、お母さん達――離婚、止めようと思うの」
ああ、それは朝聞いた。
「お母さん、お父さんに一生懸命謝ってね。許してもらったのよ」
呆れて物も言えない。浮気相手との共同生活を許すなんて、正気じゃない。
「お母さんね――悪いことしてたんだ」
だから、もう知ってる。
「だけど、悪いことはすっぱり止めて・・・やっと、許してもらったの」

――何だって?
すっぱり、止めて?

「だって! さっき、浮気相手がウチに――」
僕は、驚いて声を上げる。
「え? 何のこと?」
お母さんは、何も知らないかのような声でそう返してきた。

これは、夢か?
いや、それともこれまでのことが夢――?

僕は、ハッとして時計を見る。
午前0時10分。
次に、起動しっぱなしのパソコンを見る。
「April Fool」を表示したウィンドウをアクティブにし、更新ボタンを押す。
そこに、3つ目の書き込みが現れた。

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2007/04/02 00:00:00 投稿者:管理人 件名:ごめんなさい
「4月1日は終わりました。願いが叶った一日、どうでしたか?
 だけど、ごめんなさい。
 全てはエイプリルフールの嘘だったのです」

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嘘――。

エイプリルフールの「嘘」は終わって。
両親は、家族は、元に戻って。
いつものように、2人は喧嘩して――。
たった今、仲直りした。

それだけの、こと?

ああ、力が抜ける。
なんて、なんてくだらない。
僕の見た夢といえば、それまでの。
とてもとても、趣味の悪いイタズラ。
こんなエイプリルフールは、きっと――ずっと、忘れられない。

僕が部屋の扉を開けると、そこには懐かしい笑顔の両親が立っていた。
僕は、2人にしがみついて。
赤ちゃんみたいに、大声で泣いた。
頭が混乱して。わけが分からなくなって。
だけど――これで良かったんだと、僕は思った。

お父さんとお母さんは、泣き疲れた僕にずっとずっと謝り続けて。
もう喧嘩なんかしない、と言ってくれた。

今日は、もう4月2日。
この約束は、嘘じゃない。
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チャンネルはそのまま。

2007-04-01 18:27:24 | いつもの日記。
小説「April Fool」後編は、晩飯食った後に執筆します。
お楽しみに!!

・・・推敲ナシのリアルタイム更新ってことがバレバレだ!

ここで更新ストップするのも面白いな・・・。
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「April Fool(中編)」

2007-04-01 18:11:17 | 小説。
今日も、目覚し時計より早く目が覚めた。
4月1日、日曜日、午前7時。
台所にはきっと、お母さんがいる。
まだ、目を合わせたくはない。
僕は暇つぶしに、パソコンを立ち上げた。

そういえば。
昨日の掲示板はどうなっているだろうか?
エイプリルフールの嘘を真に受けた書き込みに対して、ツッコミでも
入っているかもしれない。
僕は、掲示板「April Fool」へジャンプした。

書き込みは、2件。
僕の書き込みがひとつと、もうひとつは――。

「その願い、確かに聞き入れました。」

という一言。
なんだこれは。
なんで、こんなに・・・本当みたいなリアクションをするんだ?
何が狙いだ。どうしたいんだ。何を企んでいるんだ。
僕は奇妙な苛立ちを覚えて、直ぐにパソコンをシャットダウンした。
これなら、お母さんと顔を合わせたほうが、いくらかましだ。

朝食を食べようとダイニングに行くと、お母さんと、知らない男がいた。
・・・誰だ。
僕は硬直する。
男は、新聞を読んでいる。
お母さんは、楽しそうに朝食を作っている。
「・・・お、母さん・・・」
震える声で、僕は呟いた。
「あぁ、もう起きたの? もうすぐ朝ご飯できるからね」
振り向いたその笑顔は、久しぶりに見るものだった。
まるで、お父さんと喧嘩をする前のような。
「いや、ええと、お母さん」
「うん? どうしたの?」
僕は、恐る恐る、その質問をぶつける。

「このおじさん・・・ダレ?」

「あ、そうそう、紹介がまだだったわね。この人はね――
 お母さんの、浮気相手よ」

な、何を――!?
そんな馬鹿なことって。
だって、離婚の原因って確か・・・。

「お母さん、何考えてるのさ! こんなのお父さんが知ったら!」
僕の怒号に、お母さんは涼しい顔で返す。
「知ってるわよ?」
「そんな――もう、離婚しちゃうの・・・?」
「離婚・・・?」
お母さんは、疑問の表情を浮かべて。
「しないわよ、離婚なんて」

僕には、もう何が何だか分からなかった。

お母さんが言うには、これからはこの浮気相手とも一緒に
暮らすのだそうだ。
それについてはお父さんも既に了承済みだとか。
家族が一人増えるわね、と心から嬉しそうにお母さんは付け足した。

――狂ってる。
お母さんも、お父さんも、このオジサンも。
みんな狂ってるんだ。

ありえない状況に、僕は自室へ逃げ込んだ。
ベッドの上で膝を抱え、ガタガタと震える。
お母さん、お父さん、みんな――どうしたって言うんだ。
昨日までは、いつも通り――
お父さんはお母さんの浮気を責めて。
お母さんは居直ったようにお父さんを責めて。
僕にも分かる理由で、ただ喧嘩しているだけだったのに。

僕は、もし両親が離婚したら、単にどちらかに引き取られて
それで終わりだと思っていた。
お父さんか、お母さんか、どちらかと離れるのはとても厭だけど。
最悪の場合として、想定していたのはそこまでだった。
だけど――。
このままだと、その最悪のケースすら下回ってしまう。

歪んだ夫婦。
歪んだ親子。
歪んだ家族。

僕の居場所は、きっと、完全になくなってしまうだろう。

そこで僕は、急にあのことを思い出した。
掲示板「April Fool」――願いを叶えるという、掲示板。
そこに書き込んだ、僕の願い。

僕は、慌ててパソコンを起動した。
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「April Fool(前編)」

2007-04-01 17:20:25 | 小説。
僕は今日も、自分の部屋でインターネットをしていた。
特に見たいサイトがあるわけでもないし、ニュースも興味ない。
だけど。
お父さんとお母さんがいる部屋には、居たくなかったから。
そして僕は、いつものように受信メールをチェックする。
迷惑メール以外、来ることはまずないのだけど。

・・・今日の新着メールは、3件。
どれも、中学生の僕にだって分かる明らかな詐欺メールばかり。

――だと思ってた。

最後の1通、そのタイトルが、妙に目に付いたんだ。
「あなたの願い、叶えます」
クダラナイ、と鼻で笑いながらも、何となく僕はそのメールを開いた。

/----------------------------------/
このメールを受信した方へ

あなたの願いを、特別に叶えてさしあげましょう。
4月1日午前0時から30分の間に、以下の掲示板に
願いを書き込んで下さい。
きっと、その願いは現実になることでしょう。

あなたがそれを、信じるならば。

アドレス:http://www.xxxx.xx.xx/・・・

/----------------------------------/

あぁ、なんてクダラナイ。
僕はそれを直ぐに削除するため、削除ボタンを押そうとした。
そこで、僕の頭に一つの疑問がよぎる。

――掲示板に書き込むだけで、何になるというんだ?

何か広告でも出しているのだろうか。
詐欺・・・は、多分無理。
IPやプロバイダの情報が抜かれても何にも出来ないって聞いた。
掲示板に書き込むだけじゃ、誰も得なんかしないはずなんだ。

どうしても気になって、僕はそのアドレスにジャンプしてみた。
そこは、何の変哲もない、普通の掲示板だった。
広告も特にない。宣伝目的の線は消えたな。
ただ――。
一つだけ妙なのは、未だ、誰も書き込んだ形跡がないということだ。
まさか、あのメールを受けたのは少数――もしくは、僕だけってこと?
そして僕は、あることに気が付く。
掲示板を開いているウィンドウの左上――ページタイトル。

「April Fool」

4月1日、エイプリルフール。
あー・・・そういえば、そんな行事があったなぁ。
あまりのくだらなさに、僕は失笑してしまった。
手の込んだイタズラだ。本当に、一体ナニがしたいんだろうね?
暇な人もいたものだ。

ふと、時計に目をやると、丁度午前0時を指していた。
さて、じゃあここはひとつ、ノッてあげるとしようか。
僕はそこに、冗談半分――半分本気で、次のように書き込んだ。

「お父さん、お母さん、離婚なんかしないで」
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