和泉の日記。

気が向いたときに、ちょっとだけ。

【SS】CURSE

2012-01-19 21:04:12 | 小説。
「待て」

街の門番が、男女二人組の旅人を止めた。
「フードを取れ」
二人は共に深くフードを被っていた。
今日は特に寒い。防寒のためだろう。
しかし、門番には確認する義務があった。
二人は何事かと思いながらも、フードを取る。
「・・・男の方。お前はこの街に入れるわけにはいかない」
「どうして!?」
女が疑問を口にする。
「その髪の色――」
男の髪は、金に近い茶色。
一方女は、純粋な黒。

「呪われている」

門番は、端的に理由を述べた。
「昔から、金髪の者は呪いを受けたとして忌避されている」
「馬鹿馬鹿しい!」
女はヒステリックに抗議する。
「そんなの、ただの迷信でしょう? そんな理由で差別するの!?」
男はおとなしく目を伏せ、何も言わない。
どうやら、女の方が常に主導権を持つタイプのようだった。
「だったら、具体的に説明しなさいよ。彼の髪が金色だと何故街に入れないの?」
「呪われているから、規則だから――それ以上の理由はない」
「くっだらない!」
女はますますヒートアップする。
「大昔の慣習なんかに縛られて、人権すら無視するなんてどうかしてるわ!
 もういい。貴方じゃ話にならないわ。もっと偉い人を出して頂戴!」
「それもできない」
「どうしてよ!」
「同じだ。呪われているものを、この街の人間に近付けるわけにはいかない」
「何よそれ! 彼が病原菌でも持ってるっていうの!?」
「そうだな・・・」
と、門番は困ったように思案する。
そして、やむを得ないという風に、言った。
「『病気を持っている』――そういう理解でも構わない」
「分かった。あくまでも彼を迫害するのね? それがこの街の考えなのね?」
「そう思ってもらって結構」
「・・・フン」
行きましょう、と女は言って、強引に男の手を引いて去っていった。

その日の夜。
二人の旅人は、闇に紛れて門番の監視をくぐり抜けた。
息を殺し、見つからないように。
そして、街の中心地までやってきて、ようやく人心地がつく。
通りの真ん中には泉があり、人々の生活の要であることが窺い知れた。
ここまで来れば問題ない、と二人は泉の水で喉を潤す。

――そこで、男の皮膚と、泉の水が、反応した。

具体的には、男に触れた水は緑に変色し。
零れた一滴の水が、泉全てを汚染した。
更に、男の口からは同じく緑の霧が溢れ出して。
男は、わずか数秒で、命を落とした。

女には、何がなんだか分からなかった。
その尋常ならざる様子に、ただただ混乱し、泣き喚いた。
自らの皮膚に、無数の発疹が現れていることにも気付かずに。

そうして、汚染された泉から、街中へとその毒――否、呪いは広がって。
次の日には、完全な死の街と化してしまっていた。
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雑記。

2012-01-19 13:16:10 | いつもの日記。
今期スタートのアニメ、ひと通り1話目が終わった感じですかね。
偽物語は、化同様面白いですにゃー。けど、紙芝居に拍車がかかってる気がする。
Another、ダークな雰囲気がいい感じ。それ以外はまだ分かりません。
妖狐×僕SS、どうにも暗い話が前面に出てる気が。コメディ部分を強くして欲しいなぁ。
どれも一長一短というか。まぁ1話2話じゃ分かんないよね。
取り敢えず、3話までは注意してみよう。

そういや、西尾維新アニメプロジェクトって「めだかボックス」は含まれないの?
暁あきらの色も濃く出てるから? ジャンプだから?
一応、今のところ講談社の分しかないもんなぁ。
いいんだけどね、別にどうでも。
それより戯言シリーズアニメ化してくれよー。
グダグダになって面白いと思うよ。

ボードゲームやカードゲーム、TRPGなんかがやりたい。
アナログゲームというか、複数人集まってやいやい言いながらやるような。
カタンとか好きだけど、PS3でしかやったことねえからなー。
リアルに交渉とかしてみたいじゃない。ダイス2個転がしたりしたいじゃない。
でもねー、結局人が集まらないからできないの。
友達少ないしな。
かと言って、その手のサークルに今から参加するのもねえ?
ほら、人見知りさんだし。
難しいな。どうにも。
最近だと、「ドミニオン」とか気になってます。

未だに、クトゥルー関連をちらほら読んでるよ。
こないだ「ダゴン」を読みました。
あれって、ヤク中の主人公が見た幻覚なんじゃねえの?
いやいいんだけど。
作中に出てきた半魚人的な怪物は、ディープ・ワンズって奴かしらね。
で、崇められていた邪神がダゴン、なのかな。
訳が分からないウチに巻き込まれ、殺される・・・っていうのは何か親近感があります。
いや、そんな! あの手は何だ! 窓に! 窓に!
コメント (3)
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