心身社会研究所 自然堂のブログ

からだ・こころ・社会をめぐる日々の雑感・随想

鼻うがいのエビデンス(続)

2022-10-11 22:29:09 | 健康・病と医療

新型コロナウイルスの陽性判定後であっても、1日2回の鼻洗浄によって入院や死亡のリスクが低減することがまた報告されました。

Ear, Nose & Throat誌オンライン版2022年8月25日掲載の、Amy L Baxter氏らによる報告です。

それによると、新型コロナウイルスはACE2受容体に結合して細胞内に侵入することが知られていますが、

ACE2受容体にまだ結合していないウイルスを洗い流すことで、重症化を防ぐことができる可能性があるとのことです。

解析対象となったのは、2020年9月24日~12月21日に実施された新型コロナウイルスのPCR検査で陽性となり、24時間以内に登録された55歳以上のハイリスク患者79例。平均年齢64±8歳、女性が36例(46%)、非ヒスパニック系白人が71%、平均BMIが30.3でした。

参加者を、240mLの生理食塩水に、10%ポビドンヨード液(2.5mL)または重曹(2.5mL)を混和した群に無作為に割り付け、14日間、1日2回鼻洗浄を行った。ポビドンヨード群は37例、重曹群は42例であった。主要評価項目は登録28日以内の新型コロナウイルス感染による入院または死亡で、副次的評価項目は鼻洗浄による症状の軽減であった。対照群は、米疾病対策センター(CDC)のデータにより、同期間に新型コロナウイルス陽性が判明した50歳以上の296万2,541例であった。

主な結果は以下のとおりだったとのことです。

・参加者は、79例中62例が連日鼻洗浄を行った(1日平均1.8回)。
・入院はポビドンヨード群で1例発生し、重曹群ではいなかった(1.27%)。死亡は両群ともいなかった。
・対照群では、28万533例(9.47%)が入院し、入院データのない患者の死亡は4万4,773例(1.5%)であった。
・対照群の入院・死亡リスクは、鼻洗浄を実施した人の8.57倍であった(標準誤差[SE]:2.74、p=0.06)。
・鼻洗浄液の種類にかかわらず、1日2回の鼻洗浄を実施した人のほうが症状の軽減が早かった(x2=8.728、p=0.0031)。

 

<文献>

Baxter, A. L., et al. 2022  Rapid initiation of nasal saline irrigation to reduce severity in high-risk COVID+ outpatients, in Ear, nose, & Throat Journal. 2022 Aug 25;

1455613221123737. doi: 10.1177/01455613221123737.

 


医学ランキング

PVアクセスランキング にほんブログ村

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« オキシトシンと交感神経 | トップ | ヨーガは宗教か哲学か科学か? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

健康・病と医療」カテゴリの最新記事