ことば以上の、ことば。
きょうから世田谷文学館で萩原朔太郎展が開かれています。きのう、オープニング
レセプションに招待されました。
孫にあたる萩原朔美さんもごあいさつなさいました。彼は多摩美大の教授でありステージなどのデザインもなさる方ですが、その彼が、文学展というとどこかカビ臭い
感じがしてしまうものだが、この展示はそれがなく、工夫された見せ方がとてもいい、と褒めていました。
その挨拶を聴く前に私も同じことを思っておりましたので嬉しくなりました。
チラシ、壁や床の使い方、とても素敵。生誕125年を迎え、若者にはなじみが薄く
なっているかもしれませんが、世界に誇れる近代詩人です。反逆、虚無、恐怖、
憤怒、孤独、憂鬱、批評精神に裏付けられた個性的なことばのシンフォニーで、
口語抒情詩の新しい境地を切り開きました。これ以後の日本の近代詩は朔太郎
から始まったと言っても良い。あの芥川龍之介が、朔太郎の最初の詩集を読ん
で驚き、寝巻のまま朔太郎の家に駆けつけ賞賛したそうです。
また音楽も好きで、当時マンドリンが日本に3本しかないうちの1本を朔太郎が
持っていたらしい。
そして自分の詩集の装丁を自分でしています。デザインのセンスも良かった。
今でいうマルチアーティストですね。そんなアートを感じる朔太郎展、見てみてく
ださい。
床にはシルエットを浮かび上がらせる特殊な照明 (自分で装丁した詩集の表紙に登場するトリや猫)
壁に大きく詩が掲げられている