遠くて近いふるさとの秋祭り・究極のエコカー「山車」のお話
「山車 花車神明社(はなぐるましんめいしゃ)例大祭」が10月10日、名古屋駅からほど近い神明社(名古屋市中村区名駅5)を中心に開催されました。新聞記事でしたらこんな紹介をされるのでしょうが、私にとっては生まれ故郷のいたって普通のお祭りです、いや、でした(過去形)。
現在住んでいるところから数キロしか離れていませんが、ここで生まれ18才迄お世話になった場所です。ほんの数年でしたが、この山車と関わったこともあります。住んでいた頃は、どこの町内にも同じような山車があるんだ・・・なんて思っていました。名古屋駅から東に500m程の狭いエリアに2台、南へ少し離れた所に1台、秋になるとこの3台が一緒になって細い路地をかいくぐり、町内を曳き回されます。電線や屋根のひさしギリギリの所を通りますから、山車の屋根は滑車で上下に動き、それでもダメな時には、無理矢理電線を押し上げます。
山車の1階は演奏室?オーケストラ・ボックスでしょうか、太鼓、笛、鼓などの生バンドが占めます。2階は人形操作の為のフロアーで、からくりを演ずる時には結構忙しい仕事場となります、人形を激しく動かすこともありますから・・・現存する名古屋型の山車はすべて同じレイアウトですが、乗っているからくり人形はすべて違います。そしてその人形を使って行われる「からくり」のストーリーも違います。私の町内の山車は「紅葉狩車」と言われ、数ある山車の中でも一番懐かしくもあり、愛着があります。
時代と共に山車の綱を曳く子供が減り、お囃子や山車を担いで回す青年もいなくなったことを聞きました。それが最近ではまた昔に戻って来ているそうです。伝統芸能とか地域文化とか言われても存続させるのは地元の方達ですから、大変な苦労をされて戦後50年近くの間この行事を頑張って来られたのだと感じました。
すべてヒューマン・パワー、人間無しではどうにもならない究極のエコカー、でもこの山車がひとたび動くと感動します。子供の小さな力や、青年の強い力が一体となって4トンの山車は静かに動きます。そしてお囃子が流れ、からくり人形が目覚めます、すべて人の力で・・・