映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『ノルウェイの森』

2010年12月15日 | Weblog
よい

トラン・アン・ユン 監督・脚本
松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、高良健吾、霧島れいか、初音映莉子、柄本時生、糸井重里、細野晴臣、高橋幸宏、玉山鉄二 出演

唯一の親友・キズキを突然の自殺で失ったワタナベは、悲しみから立ち直れないまま東京の大学で学生生活をスタートさせる。ある日、ワタナベはキズキの恋人・直子と偶然の再会を果たす。同じ喪失感を共有する2人は次第に惹かれ合っていくが、2人の関係が深まるにつれ、直子は心のバランスを崩してしまい、ついには京都の療養所に入院することに。直子と会うことも叶わないワタナベの前に、直子とは対照的に若者らしい明るさと生命力に満ちた緑が現われる。積極的な緑との交流を持ちながらも直子の状態が心配でならないワタナベ。そんな中、ようやく直子との面会が許され、京都へと向かうワタナベだったが……。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=336172#1



ひさしぶりにしっかりとした邦画の作品を観た。

わたしがエンディングを見間違えている可能性もあるが、17歳のときに受けた呪縛が解けるきっかけが20か21歳で、実際に解けるまでにパラボラアンテナの時代までかかったということだろう。

役者の選択と使い方がすばらしい。菊地凛子と高橋幸宏以外誰が演じているのかあまり意識せずに(わからずに、ともいうが)観ることができた。これは、この人にはこの役柄という日本的な固定観念が働いていないからこそできたのではないか。

また、原作の村上春樹はこことは違うどこか・別世界を描くことが多いと思うが、この映画作品の中でも日本に似たどこか・別世界の創出に成功している。特に雪山。雪山といえばすぐにヘリを飛ばして俯瞰で回り込みながら撮るしか能がないバカとは違い、下から見上げながら寂寞として重みのある風景を切り取っている。撮影(マーク・リー・ピンビン)もすばらしい。

演技の能力の関係もあるかもしれないが、ワナタベと直子の描写に比重がかかりすぎているような気もする。

この作品の紹介によく、ふたりの女性の間で揺れ動く……、みたいな表現があるが、まったく違う。ワタナベは揺れてはいない。作品を観ればわかる。