ようやく出ました。
編集の大庭先生(ミズーリ大学)をはじめとしてご協力頂いたみなさまがた、ありがとうございました。以下、コンテンツを載っけて終わり、じゃあんまり芸がないので、以下「編集後記の後記」、その後にコンテンツ。
編集後記の後記1
巷に溢れる各種の人工呼吸に関する書籍、雑誌と、どのように差別化を図るか、どうしたら家でじっくり読んで「この雑誌、凄い」と唸ってもらえるか、どうしたらIntensivistの基本理念を壊さずにICUのベッドサイドで参照してもらえる気軽さを持たせるか、などに悩みました。というか、いつも悩んでいます。
雑誌、書籍は知識を得るためにありますが、最終的に得た知識を患者さんの診療に生かしていただけなければ、臨床医学・医療の書籍としては失格ですよね。そのためには読んでもらわないといけないですし、使ってもらわないといけません。結果的に過去最厚の266ページになってしまいましたが、これは少なくとも自慢することではありません。なぜなら、自分でも本があんまり厚いとそれだけで、買う、開くのに抵抗があることがありますからね。
削りたいと思いながらも、執筆者のご苦労が痛いほどわかるために、削るのはこちらにとっても痛い作業です。それに多くの医療者は「◯◯をやってない」「XXに言及していない」症候群にかかっています。案の定、その症候群にかかっている自分も、アレを入れたいコレを残したい、と思い、もともとIntensivistの理念は全部揃えて教科書のように使ってほしい、であったこともあり、削れなくなるわけです(注1)。
それでもIntensivistは医学商業雑誌としては画期的でしょう。通常、学術雑誌は、それはそれは厳しいピアレヴューの結果で掲載が決まります(査読者がいてコメント、評価をもらいエディターが掲載を決定する)。しかし、日本の商業雑誌は、執筆者が書いたものをよほどのことがない限りそのまま載せます。Intensivistではこの常識を破り、比較的若いドクターに読者を代表してまずナマ原稿を読んでもらって、「ここがわかりにくいのですが」とか、「こうしてくださるともっとわかりやすい」とか、コメントをいただき、そのコメントをまとめて執筆者にお送りし、修正、加筆いただいています。
もちろんこちらからお願いして書いていただく依頼原稿ですので、失礼のないように配慮したうえで執筆者にお送りし、最終的な判断は執筆者にお任せしています(注2)。このシステムが誌面の質を維持するために大きな役割を担っているのは確かでしょう。
その他にも「読んで、使って」いただける雑誌ができるような編集上の工夫をいろいろしています(その紹介はまたの機会に)。
編集後記の後記2
今回はお若い方にたくさん執筆していただいたので、執筆者平均年齢はおそらくいままで最も若いでしょうね(注3)。「よい復習(あるいは予習)の機会」になったでしょうか。その上、名前が人の目に触れて、少々のお小遣いが貰えるとなれば、嬉しいですよね。私も最初はそうでした。といっても、レヴュー雑誌に依頼原稿を書くのは、前述の学術論文に投稿するのと違い業績にもならず、重荷でしかないときがあります。原稿料にしてもモチベーションを上げる役割はほとんどないでしょう(経験者なら納得していただけるでしょう)。学術論文を書いてくださいね。もし、よき指導者がいらっしゃらない場合にはJSEPTIC-CTGがお手伝いします。
宣伝。12月15日のJSEPTICセミナー「呼吸器離脱」で、今号の執筆者の方々にご自分の原稿の要点をまとめていただき、誌面で語れなかった部分を補足していただく予定です。11月5日の段階であと十数席らしいので、ホームページから申し込んで下さい。
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注1:でも実際の臨床ではどちらかと言うと「必要ない症候群」に罹っていて、ボクがICU管理すると、クスリもクダ類もどんどんやめてしまうので、ときに早まり過ぎてナース、レジデントからダメだしされることもあります。
注2:ほとんどの執筆者の方がこころよく対応してくださいます。非常にありがたいことです。
注3:お若いかたの方が一生懸命に文献を漁り読みますので適任かもしれません。実際に、米国でもレヴューはフェローが書くことがしばしばです。もちろん、上級医のスーパーバイズは必須ですが。
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以下、コンテンツ。
INTENSIVIST vol.4 no.4
【特集】呼吸器離脱
人工呼吸は,その始めと同様,あるいはそれ以上に終わり方が重要です。しかし,これまでの出版物では,人工呼吸のモードや設定法,機械の原理やその扱い方,人工呼吸が必要な病態や患者のケアに関する解説が中心となり,離脱は十分に解説されてきたとは言えません。そこで,本特集は徹底的に“終わり”に注目しました。
人工呼吸器離脱に関して,これ一冊で人工呼吸にかかわるすべての医療従事者が理解でき,ベッドサイドに置いて便利で,5年間使用に耐える特集と考えています。
1. 標準的な人工呼吸器離脱:歴史,方法
Part 1:人工呼吸器離脱法の歴史:SBTという概念が生まれた背景
鈴木 涼平 昭和大学藤が丘病院 救急医学科
讃井 將満 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
Part 2:SBTの技術的側面
安田 英人 武蔵野赤十字病院 救命救急センター
2. 人工呼吸器離脱困難
Part 1:疫学,原因,治療
田中 竜馬 Pulmonary & Critical Care Medicine, LDS Hospital
Part 2:各種の換気モードを理解する
奥田 晃久 東京慈恵会医科大学附属病院 臨床工学部
3. 抜管のすべて
Part 1:抜管総論
竹内 広幸 健和会大手町病院 麻酔科・集中治療部
讃井 將満
Part 2:抜管前にできること:抜管後喉頭浮腫の診断・予防・治療
岩井 健一 東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 麻酔部
Part 3:抜管後にできること
瀬尾 龍太郎 神戸市立医療センター中央市民病院 集中治療部
Part 4:抜管,再挿管のテクニック
飯塚 悠祐 松江赤十字病院 麻酔科・集中治療室
4. 呼吸器離脱を目的としたリハビリテーション:理学療法に根拠はあるのか
齋藤 敬太 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
5. 気管切開の虚像と真実
Part 1:離脱における気管切開の役割:適応とタイミング
難波 義知 昭和大学藤が丘病院 救急医学科
Part 2:気管切開のテクニック
武居 哲洋 横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部
Part 3:気管切開患者の管理
岡村 篤・山村 剛康 特定医療法人平成会 平成会病院
【コラム】長期人工呼吸病院の必要性と我が国の現状:
400例の長期人工呼吸治療経験から
岡村 篤・山村 剛康
【コラム】開心術後の気管切開:
実施時期による予後の変化に関して結論は出ていない
木村 直行 自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科
6. 離脱困難患者の基礎医学
Part 1:呼吸仕事と呼吸筋疲労
竹内 宗之・橘 一也 大阪府立母子保健総合医療センター 麻酔集中治療科
Part 2:人工呼吸が喉頭・咽頭機能に及ぼす影響
齋藤 康一郎 慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科
7. 座談会:
こんなときどうする“もし◯◯患者の人工呼吸器離脱を考えたら”1例目
古川 力丸 日本大学医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野
内野 滋彦 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
大庭 祐二 University of Missouri 呼吸集中治療内科
讃井 將満
8. 人工呼吸器離脱に有用な指標,呼吸器モニター
Part 1:呼吸器離脱を予測する指標:歴史的変遷
南 太郎 Memorial Hospital of Rhode Island, Alpert Medical School of Brown University
Part 2:グラフィックから見る人工呼吸器離脱
木下 亮雄 東京ベイ・浦安市川医療センター 臨床工学室
【コラム】NIV専用機を徹底的に理解する
岩谷 理恵子 東京慈恵会医科大学附属病院 臨床工学部
【コラム】慢性呼吸不全と栄養療法
則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 呼吸器・集中治療科
【コラム】6 mL/kgとSBTの間には
讃井 將満
【特別寄稿】Overview of Ventilator Withdrawal for “Intensivist”
Lonny Ashworth Department of Respiratory Care, Boise State University
9. 「特集 呼吸器離脱」解説:
なぜ呼吸器離脱なのか
讃井 將満
【連載】
■ICUと皮膚病変
第8回:皮下結節
三井 浩 聖マリアンナ医科大学 皮膚科学
■Lefor's Corner
第5回:Ventilator Management:Part I. Indications and Initial Set-up
Alan T. Lefor Department of Surgery, Jichi Medical University
■ICUフェローからのメッセージ
第17回:アジアオーストラレーシア3国での医療体験
高木 俊介 Prince of Wales Hospital Intensive Care Medicine/横浜市立大学附属病院 集中治療室
■特別寄稿 救急RRS(Rapid Response System)塾の開催
児玉 貴光,中川 雅史,川本 英嗣,藤原 紳祐,今井 寛,安宅 一晃,藤谷 茂樹,太田 祥一,RRS推進委員会
神原 永長 八尾徳洲会総合病院 治験センター
■集中治療に関する最新厳選20論文
柳井 真知 聖マリアンナ医科大学 救急医学
藤谷 茂樹 東京ベイ・浦安市川医療センター/聖マリアンナ医科大学 救急医学
■JSEPTIC簡単アンケート
第6回:包括指示,人工呼吸器の機種,PICU
内野 滋彦