Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

INTENSIVIST vol.3 no.4 特集 急性膵炎刊行になりました

2011-10-24 12:13:42 | 集中治療

本日、INTENSIVIST vol.3 no.4 特集 急性膵炎刊行になりました。

本特集には、一宮市立市民病院 救命救急センター 真弓 俊彦先生をメインエディターにお迎えし、この分野で日本を代表するエキスパートの先生がたに執筆をお願いしました。特徴は、異論の多いトピックに関してpro and conで構成したことでしょうか。日本の現状がよくわかり、広い読者層に「なるほど、そういうことだったのか」と納得いただける内容になったのではないかと思います(自分も思いました)。

お忙しい中、執筆してくださった諸先生方、reviewをしてくださった先生がた、いつもながら無理を聞いて下さったMEDSI編集部の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。

なお本特集に関するご感想ばかりでなくIntensivistに対するご意見・ご希望などがあれば、ご入力フォーム

https://www.medsi.co.jp/intensivist/inquiry/

までお気軽にどうぞ。

2012年第1号は、みなさまおまちかね(と思っているのは自分だけかもしれませんが、まさに満を持して、ということばがぴったりと思っている)終末期医療の特集です。

 

INTENSIVIST vol.3 no.4

【特集】急性膵炎

急性膵炎は,時に遭遇するものの,重症例では死に至ることのある疾患です。しかも,発症早期には軽症でも,その後急激に重篤化し,死に至ることもあります。また,ERCP膵炎など内視鏡操作に伴う膵炎では,検査が誘因となって発症するため,訴訟となることも少なくありません。急性膵炎に関しては,エビデンスに基づいたガイドラインが作成され,また,厚生労働省研究班からは,初期診療コンセンサスも発刊されています。しかしながら,これらで記載されている内容でも,実際にはその適応や効果に関しては,まだまだ議論のある内容も少なくありません。一方,質の高いエビデンスがなく,明確な推奨が記載されていない予防的抗菌薬の投与期間や経腸栄養の種類,動注カテーテルの留置部位などの実践的な内容や,その根拠に関しては,専門家の多数の貴重な経験は臨床家にとって非常に有益な情報です。

本特集では,「エビデンスと経験に基づいた急性膵炎の具体的な診療方針」を提示し,急性膵炎診療の神髄の理解を促し,それぞれの有用性と限界が周知できればと期待します。

 

1. ガイドラインの改訂と重症度判定基準について:

 本邦初のエビデンスに基づいたガイドラインと世界初のPancreatitis Bundle

  真弓 俊彦 一宮市立市民病院 救命救急センター

 

【コラム】輸液:初期治療での輸液の基本は晶質液の急速投与

  和田 慶太 帝京大学医学部 外科学講座

 

2. 抗菌薬(予防的投与)に関するpro/con:

(1)pro:重症化を想定したなら予防的投与を

  阪上 順一 京都府立医科大学 消化器内科

(2)con:予防的投与は重複感染のリスクを高める

  大野 博司 洛和会音羽病院 ICU/CCU,腎臓内科,感染症科,総合診療科

 

3. SDDとプロバイオティクス

  木村 康利・今村 将史・平田 公一 札幌医科大学 第一外科

  巽 博臣 札幌医科大学 救急・集中治療医学講座

 

4. 急性膵炎における栄養療法:

 我が国の経腸栄養療法の現状と展望

  竹山 宜典 近畿大学医学部 外科

 

5. 蛋白分解酵素阻害薬に関するpro/con:

(1)pro:急性膵炎の発症を防ぎ,予後を改善するエビデンスのある薬物である

  廣田 衛久 東北大学医学部 消化器内科

(2)con:エビデンスのない高価な薬物を疑うことなく使ってはいけない

  白井 邦博 岐阜大学医学部附属病院 高度救命救急センター

 

6. 動注療法に関するpro/con:

(1)pro:膵局所動注療法は疼痛を改善し,予後も改善し得る

  武田 和憲 国立病院機構 仙台医療センター 外科

(2)con:果たして動注療法の有用性は証明できるのか?

  横江 正道 名古屋第二赤十字病院 総合内科

 

【コラム】重症急性膵炎に対する膵局所動注療法の実際:適応とタイミング

  武田 和憲 国立病院機構 仙台医療センター 外科

 

7. CRRT(non-renal indication)の是非に関するpro/con:

(1)pro:やってみなきゃわからないその効果

  北村 伸哉・大谷 俊介・島田 忠長 君津中央病院 救急・集中治療科

(2)con:エビデンスレビューからわかること

  内野 滋彦 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部

 

8. 感染性膵壊死にnecrosectomyは必要か?:

 walled-off pancreatic necrosis(WOPN)の概念と対応

  伊佐地 秀司 三重大学医学部 肝胆膵・移植外科

 

【コラム】fine needle aspiration:膵感染症における重要な治療戦略

  古屋 智規 秋田赤十字病院 外科

 

9. pseudocyst(仮性嚢胞):

 その診断と治療

  廣田 昌彦 熊本地域医療センター 外科

 

10. 胆石性膵炎

  大沼 哲 自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部

  讃井 將満 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部

 

【コラム】ERCP後膵炎のハイリスク患者に対する膵管ステント留置術:その効果と検証

  峯 徹哉・川口 義明 東海大学医学部 消化器内科

  下瀬川 徹 東北大学医学部 消化器病態学

  森實 敏夫 国際福祉医療大学 塩谷病院 消化器内科

 

11.「特集 急性膵炎」解説

(1)急性膵炎診療はprosとconsに満ちている

  讃井 將満 

(2)エビデンスとナラティブの狭間で急性膵炎の診療を考える

  真弓 俊彦

 

【連載】

■Lefor's Corner

第1回:Fluid Management in the Critically Ill Patient

  Alan T. Lefor Professor, Department of Surgery Jichi Medical University

 

■ICUと皮膚病変

第3回:紫斑

  川上 民裕 聖マリアンナ医科大学 皮膚科学教室

 

■集中治療に役立つ内科ベッドサイド診断学(米国内科専門医の内科診断学)

第11回:消化管出血

  加藤 新 手稲渓仁会病院 消化器病センター

  篠浦 丞 沖縄県立八重山病院 内科

 

■ICUフェローからのメッセージ

第13回:麻酔科と集中治療は,いわば親戚:麻酔科出身の集中治療医として

  岩井 健一 東京慈恵会医科大学附属病院 集中治療部

 

■集中治療に関する最新厳選20論文

  柳井 真知 Division of Infectious Diseases, Veterans Affairs Greater Los Angeles Healthcare System

  藤谷 茂樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学

 

■日本集中治療教育研究会(JSEPTIC)

JSEPTIC 簡単アンケート

第2回:敗血症の診療,せん妄,経管栄養

  内野 滋彦

 

JSEPTIC-CTG活動報告

第3回:J-SCRIPTとJSEPTIC CRRT registry途中経過報告

  讃井 將満・内野 滋彦 JSEPTIC-CTG

 

 

 

 

 


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