1 平成23年(行ケ)第10211号審決取消請求事件
2 本件は、拒絶査定不服審判不成立審決の取消を求めるものです。
3 主たる争点は容易想到性の有無です。
4
4-1 本判決は、まず、「引用例2に記載された発明においては,局から送信されたフレームは,局に接続されたネットワークと,このネットワークが接続されたポートとを介して中継装置で受信され,この中継装置で中継されて,上記フレームの「宛先MACアドレス」で指定された通信先の装置に送信されること,言い換えれば,局から送信されるフレーム中の「宛先MACアドレス」は,最終の宛先となる装置のMACアドレスであり,上記フレームを上記中継装置に伝送するために用いられる上記中継装置のMACアドレスではないことが明らかである」と認定し、「引用例2に記載されている発明は,「バーチャルLAN情報(本願発明の「フィルタタグフィールドの値」に相当する。)は,宛先MACアドレスフィールド(本願発明の「アドレスフィールド」に相当する。)を用いて,中継装置(本願発明の「フィルタリングノード」に相当する。)に伝送され(本願発
明の「宛てられ」に相当。)」るものとは認められないと判断し、「審決の引用発明2の認定は誤りである」と結論づけました。
4-2
本判決は、さらに、相違点4及び6に係る判断について、「引用発明2は,「バーチャルLAN情報は,宛先MACアドレスフィールドを用いて,中継装置(1)に伝送され」るものとは認められないから,引用発明1に引用発明2を適用し,「前記フィルタタグフィールドの値は,前記アドレスフィールドを用いて,前記フィルタリングノードに宛てられ,かつ前記フィルタタグフィールドの値に設定されるフィルタタグフィールドを有する第1パケットの受信に応答して保存される」構成(相違点6に係る構成)とすることは,当業者が容易に想到し得たものとはいえない」と判断し、審決の判断は誤りであると結論づけました。
5 本判決は、審決による引用発明の認定に誤りがあると判断した上で、想到性を否定した事例として参考にあると思われます。
以上
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます