画像生成特許侵害
平成21年(ワ)第17848号 特許権侵害差止等請求事件
請求棄却
本件は特許権侵害に基づく差止め等を求めるものです。
主たる争点は、文言侵害、均等侵害及び間接侵害の成否です。
以下、均等侵害及び間接侵害に係る判断についてコメントします。
裁判所の判断は70ページ以下
1 均等侵害
本判決は、まず、均等侵害の主張に関し、「原告は,構成要件1-Cの文言解釈に関し,色度及び不透明度の変化する区間が一致しない場合でも「補間区間を設定し,…前記色度および前記不透明度を,該補間区間において…連続的に変化させる」に当たると解した上で,本件発明1が鮮明度により補間区間を設定し,補間区間内で色度と不透明度を連続的に変化させる構成であるのに対し,被告方法は,まず,不透明度を設定し,補間率と色度を一体化させたもの(色混合率)をこれに加えることによって,色度と不透明度を連続的に変化させるものである点で相違するものとして,この相違する点に関する均等侵害の成立を主張するものである。しかし,前記のとおり,当裁判所の判断が構成要件1-Cの解釈において,補間区間は色度及び不透明度において共通の区間であるとするものであるのに対し, 原告の主張は,補間区間は色度及び不透明度に共通のものでなくてもよいとするものであって,前提となる構成要件1-Cの解釈において異なっており,原告の構成要件1-Cに関する均等論の主張は,構成要件1-Cに関する原告の主張を前提とするものであって,当裁判所の見解に立った場合には,構成要件1-Cに関し,原告の主張する均等論の適用により被告方法が本件発明1の技術的範囲に属する余地はないものというべきである」と判断しました。
2 間接侵害
本判決は、次に、間接侵害について、「原告は,被告製品につき,特許法1 0 1 条5 号の間接侵害が成立すると主張しているところ,同号にいう「その発明による課題の解決に不可欠なもの」とは,それを用いることにより初めて当該発明の解決しようとする課題が解決されるような部品,道具,原料等をいうものであり,従来技術の問題点を解決するための方法として,当該発明が新たに開示する,従来技術に見られない特徴的技術手段について, 当該手段を特徴付けている特有の構成ないし成分を直接もたらす,特徴的な部材,原料,道具等がこれに該当するものと解するのが相当である」との一般論を展開した上で、「本件発明における特徴的技術手段についてみると,前記第4 の1 (1)アでみた本件明細書の記載内容にかんがみ, 本件発明は, 従来技術において,小区間内で色度及び不透明度を一定値に設定した場合,画像データ値(CT値)の差が互いに小さい生体組織間の違いを明確に認識できるような可視化が困難であるという問題点があったことにつき,これを解決するための方法として,小区間内に補間区間を設定し,該補間区間内で色度及び不透明度を画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させるという方法を採用したものであり,この点に本件発明における技術的特徴があるものというべきである。これに対し被告製品は,本件各証拠上,上記技術的特徴に係る方法(補間区間を設定し,該補間区間内で色度及び不透明度を画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる方法)を実現するような使用方法があるものと認めるに足りず,仮にそのような使用方法があり得るとしても,極めて例外的な使用方法であるというべきものであるから,本件発明1の技術的特徴を基礎付ける方法をもたらすことを予定しているものではないというべきであり,これが,上記技術的特徴を基礎付ける構成を直接もたらす道具に当たると評価することは相当ではないものというべきである」と判断しました。
本判決の均等侵害に関する判断は、今後、均等侵害を主張する際の教訓となるでしょう。また、間接侵害については、「その発明による課題の解決に不可欠なもの」の一般論を展開した裁判例として参考になると思われます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます