減塩醤油審取
平成23年(行ケ)第10254号 審決取消請求事件
請求棄却
本件は無効審判不成立審決の取消しを求めるものです。
主たる争点は,サポート要件及び実施可能要件です。
裁判所の判断は13ページ以下
1 サポート要件について
本判決は、まず、一般論として、「特許請求の範囲の記載が,特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであることを要するとするサポート要件(特許法36条6項1号)に適合することを要するとされるのは,特許を受けようとする発明の技術的内容を一般的に開示するとともに,特許権として成立した後にその効力の及ぶ範囲を明らかにするという明細書の本来の役割に基づくものである。この制度趣旨に照らすと,明細書の発明の詳細な説明が,出願時の当業者の技術常識を参酌することにより,当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる程度に記載されていることが必要である」と述べた上で、「本件明細書の記載から,本件発明1では,カリウム濃度を上限値とした場合であっても,食塩濃度,窒素濃度及び窒素/カリウムの重量比が本件発明1で特定する数値の範囲内であれば,カリウムを配合することによる苦味に関する課題は,解決されていると理解することができる」と認定し、「本件発明1は,発明の詳細な説明に記載したものであり,サポート要件を満たすものということができる」と判断しました。
2 実施可能要件について
本判決は、まず、一般論として、「物の発明において,その発明を実施することができるとは,その物を作ることができ,かつその物を使用できることを意味する」と述べた上得、「本件明細書(【0022】【0032】)には,本件発明に係る減塩醤油の製造方法の概要が記載されており,当業者が出願時の技術常識に基づき製造することができたものであると認められる。ま
た,本件発明に係る減塩醤油は,所期の効果を有する減塩醤油として使用することができるということができる。よって,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されており,実施可能要件(特許法36条4項1号に規定する要件)を満たす」と判断しました。」
3 本判決は、サポート要件と実施可能要件の一般論を示した例として参考になるものと思われます。
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