知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

ポリカポネ-ド樹脂審取(化粧用パッティング材審決)

2011-01-01 16:33:53 | 最新知財裁判例
平成22年(行ケ)第10167号:対象特許を有効とした審決の取消請求を棄却した判決。
判決文中の引用発明(5つある)には本件発明の「課題ないし技術思想」について開示・示唆がないとの言い回しが気になる。「技術思想」とは「発明」のことか?
ざっと判決文を読む限り、この判決が引用発明の組み合わせにより本件発明に想到することが容易とはいえないと判断したポイントは、本件発明の課題について、引用発明が開示・示唆していないことにあるように思える。結局、課題の発見が発明の進歩性を基礎付けた一事例といえようか。しかし、課題の発見が容易想到な場合には、進歩性は否定されるべきではないだろうか。本判決がこの点をどのように理解しているかは不明である。同趣旨の判決として、化粧用パッティング材審決がある(判例時報2080号69頁)。
いずれにせよ、このパターンの場合、請求人(=原告)としては、課題が技術常識と公知文献から導けることを丁寧に論証する必要があろう。

 

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