平成20(ネ)10065
原判決取り消し、請求認容
本判決は、本件発明にいう「接続信号中の応答メッセージ」の解釈について原審と異なる判断を下したものです。
原判決は、これを「可聴な情報」に限るとしましたが、本判決は、「接続信号」は可聴信号及び非可聴信号の上位概念であり、「応答メッセージ」も可聴信号に限られないと判断しました。
原判決は、「応答メッセージ」の意味に注目したのに対し、本判決は、まず、「接続信号」の意味を解釈した上で、「応答メッセージ」の意味を解釈するという手法を採用することにより、「接続信号中の応答メッセージ」というひとまとまりの用語の技術的意味を捉えようとした点に特徴があり、ここが判断の分かれ目の一つになったように思われます。角度を変えると、原判決は、「応答メッセージ」を可聴信号に限られないとの解釈は、明細書の記載によりサポートされていないと解したのに対し、本判決は、出願時においてISDN技術が存在したこと(当業者に知られていたこと)に着目して、この点のサポートはあると判断したものと思われ、この点がクレーム解釈の分かれ目の一つなのでしょう。
教訓は、「一審で勝っても気を抜くな」ということです。
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