知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

ロータリー審取

2012-06-14 05:10:17 | 最新知財裁判例

ロータリー審取
平成23年(行ケ)第10218号 審決取消請求事件
請求棄却
本件は拒絶査定不服審判不成立審決の取消しを求めるものです。
主たる争点は,補正の可否及び進歩性です。
裁判所の判断は13ページ以下
1 補正の可否
本判決は、まず、一般論として、「法17条の2第1項は,「特許出願人は,特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし,第50条の規定による通知を受けた後は,次に掲げる場合に限り,補正をすることができる。」と規定して,拒絶理由通知を受けた後の補正ができる時期について,指定された期間又は拒絶査定不服審判の請求と同時に限定している。また,同条第3項は,「第1項の規定により明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をするときは,誤訳訂正書を提出してする場合を除き,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面…に記載した範囲内においてしなければならない。」と規定しているが,同条第1項ただし書は,上記のとおり,拒絶理由通知を受けた後の補正ができる時期を限定しているにとどまるから,ここで「第1項の規定」とは,同条第1項の本文及びただし書の全てを包含していることが文言上明らかであり,同条第3項の規律が同条第1項ただし書に限定して適用されると解すべき理由はない」と述べ、「特許出願人は,拒絶理由通知を受ける前後を通じて,常に補正に当たって法17条の2第3項の規律を受け,誤訳訂正書を提出してする場合を除き, 願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしなければならないというべきである(新規事項追加の禁止)」と判断した上で、「本件補正発明は,前記第2の2(2)に記載のとおりであり,本件補正明細書等の発明の詳細な説明の記載は,別紙のとおりであるが, 例えば本件補正発明に見られる「吸微出入」(請求項1及び5),「排微出入」(請求項2及び8),「通気部」(請求項5及び8),「袖部」(請求項5及び8),「前微出入」(請求項3,6及び9),「後微出入」(請求項4,7及び10),「混合ガスを送り込む手段」(請求項11)及び「プラグ濡れ防止枠」(請求項13)や,これらの構成に関して図示する本件補正により追加された本件補正明細書等の図7ないし9は, いずれも前記(1)に記載の当初明細書等には記載がなく,本件出願日当時の技術常識に照らしても,これらが当初明細書等に記載されているも同然であるとは認められない」と結論づけました。
2 進歩性
本判決は、次に、相違点1に関し、「引用発明と本件補正発明とでは,ロータ,吸入弁(吸入回転弁)及び排気弁(排気回転弁)がいずれも同調して回転することによって吸入・圧縮・爆発・排気という一連の工程を形成する点について相違はないのであるから,ロータ及び吸入弁の同方向の回転について,これを「等速回転」とするか「等角回転」とするかは,当業者の設計的事項であるにとどまる」とし、「当業者は,本件補正発明1の相違点1に係る構成を容易に想到することができたものいうべきである」と判断しました。
3 本判決は、設計的事項であることを理由として進歩性を否定した例として参考になるものと思われます。

 


コメントを投稿