巻寿司審取
平成23年(行ケ)第10169号 審決取消請求事件
請求棄却
裁判所の判断は26ページ以下。
争点は容易想到性です。
本判決は、まず、原告の「仮に巻寿司の彩りに変化をつけようとするという課題が周知であったとしても,甲1には巻寿司の見栄えや色彩の考慮についての記載がないので,審決が甲1発明に巻寿司の彩りに変化をつけようとする課題が存在すると認定したことは誤りである」との主張に対し、「審決は,巻寿司の彩りに変化をつけようとすることが本願出願前に周知の課題であることを根拠に,漬物を芯に含む巻寿司である甲1発明にも上記課題が存在したと判断するものであって,甲1自体に巻寿司の見栄えや色彩についての記載がありその記載から甲1発明に巻寿司の彩りに変化をつけようとする課題が存在すると認定するものではない」と述べた上、「巻寿司の彩りに変化をつけようとすることが周知の課題であれば,巻寿司についての発明である甲1発明においても,その彩りに変化をつけようとする課題はあるといえるので,たとえ,甲1に巻寿司の見栄えや色彩についての記載が存在しなくとも,周知の課題を根拠に甲1発明に巻寿司の彩りに変化をつけようとする課題が存在するとした審決の判断に誤りはない」と判断しました。
本判決は、次に、原告の「甲1発明と甲2に技術分野の関連性及び課題の共通性はなく,技術思想の異なる甲1発明と甲2を結びつけて考える動機付けはない」との主張に対し、「甲2には,鮮やかな藍青色で色むらがなく,歯応えがあり,味が均質ななすびの浅漬けを得る方法についての技術が記載されている」と述べた上、「漬物を巻寿司の芯として使用する甲1発明と,漬物に関する技術を記載する甲2とは,漬物又は漬物を利用した料理という点で技術分野を同一にする。してみると,甲1発明と甲2を結びつけて考察した審決の判断に誤りはな」いと判断しました。
本判決は、主引例に対象発明の課題が記載されていない場合であっても、それが周知の課題である場合には、主引例適格性を肯定できると判断したものと理解することができます。
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