平成22(行ケ)10212:
請求棄却
本件は、拒絶不服審判不成立の審決について取り消しを求めるものです。
争点は、①本件補正が減縮を目的とするものか否か、②本件補正が独立特許要件(進歩性)を充足するか否かです。本稿では②に絞ります。
本判決は、相違点1について、引用例2には、ワイヤロープの使途としてエレベータ吊持用のロープが記載されていることから、引用発明1に引用発明2を適用することは、容易想到であるとしました。これは、引用例自体に、組み合わせを示唆する記載がある例といえましょう。もっとも、引用例2に、かかる記載がないと仮定しても、他の事情(一般常識等)からこの示唆を認定することは可能なように思われます。
また、本判決は、相違点2について、かご重量に合わせてロープの直径が適宜決定されることが周知であるから、相違点2の克服は設計事項であると述べました。設計事項という用語をマジックワードとせず、丁寧に周知事項を認定している点が参考になります。
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