知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

催告書著作権侵害事件

2011-07-02 13:37:33 | 著作権

平成20(ワ)4874:

本件は、催告書(以下「本件催告書」)を被告にメールで送信した原告が、被告が開設するサイトにおいて本件催告書が掲載されたことから、公表権及び複製権に基づき、その削除を求めたものである。

裁判所の判断は27頁以下。

本判決は、本件催告書に関し、「他の表現が想定できない」又は「ありふれた表現」等を理由として、「個性の表現」がないから「創作性」が否定されると判断した。

しかし、創作性否定の理由は、端的に、「他の表現が想定できない」又は「ありふれた表現」等の部分に求めるべきであり、「個性の表現」か否かによるべきではないと思う。理由は、「個性の表現」か否かという判断基準は主観的なものと誤解されるから。

また、本件は、デットコピーの事案であるので、原告の請求を棄却するために著作物性を否定する必要があったが、多少の改変が加えられているケースでは、「著作物性」を判断せずに、「複製」又は「翻案」を否定するという判断手法も審理の迅速の観点から許されて良い。


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