インターフェイス審取
平成23年(行ケ)第10269号 審決取消請求事件
請求認容
本件は拒絶査定不服審判不成立審決について取消しを求めるものです。
争点は、容易推考性の存否です。
裁判所の判断は12ページ以下
本判決は、容易推考性の存否に関して、まず、「本願発明は,複数のデバイスの間におけるデータの送受信を制御する手段として「電子計算機用インターフェースドライバプログラム」の構成を採用したものであり,第1デバイスと第2デバイス,これらに対応する第1デバイスドライバと第2デバイスドライバを構成に含むものである」と認定し、他方、公知文献の記載について、「複数のデバイスの間におけるデータの送受信を制御するに際し,I/Oマネージャにアプリケーションプログラムからデバイスドライバへのデータの送受信を行うための共通のインターフェース手段として電子計算機を機能させる技術は開示されていない」と認定した上で、「甲2文献及び甲4文献に開示されたI/Oマネージャは,複数のデバイスの間におけるデータの受渡し(送受信)を仲介(制御)するものではないから,本願発明の「電子計算機用インターフェースドライバプログラム」には相当せず,このようなI/Oマネージャを引用発明に適用したとしても,相違点1に係る本願発明の構成には至らない」と判断して想到性を否定しました。
本判決は、さらに、「引用発明は,上記2で認定したとおり,ユーザモードで動作する制御エージェントが複数のソフトウェア・ドライバ(デバイスドライバに相当する。)を相互接続するものであり,かつ,各ソフトウェア・ドライバ自体に,ドライバを接続するための「接続ピン・インスタンス」を形成し,これによりソフトウェア・ドライバを相互接続するという方式を採用するものである」との認定を前提とした上で。被告の「引用例において, ソフトウェア・ドライバを相互接続する際にI/OマネージャやIRPを用いてデータを伝送する具体例が記載されている」旨の主張に対し、「その具体例においても,ユーザモードで動作する制御エージェントにより相互接続が行われるのであって,I/Oマネージャが制御エージェントに代替し得る関係にはない。そうすると,このようなユーザモードで動作する制御エージェントや「接続ピン・インスタンス」の形成による相互接続に代えて,カーネルモードで動作する本願発明の「電子計算機用インターフェースドライバプログラム」に相当する構成を採用することが,当業者にとって容易に想到し得るとはいい難い」と判断しました。
本判決は、想到性がないことを理由として容易推考性を否定した一事例として参考になると思われます。
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