1 労働経済学からの検討
会社組織の存在による労働市場の(組織)内部化は、取引費用の軽減というメリットがある(中馬「労働経済学」205頁)。しかし、職務発明制度の従い、発明の対価を計算することは、労働の成果に関する取引費用を伴うものであり、労働市場の内部化メリットを減殺している。つまり、職務発明制度は、労働経済学的に正当化できない。
2 経営学からの検討
従業員に対する動機付けは、金銭のみではなく、「次の仕事の内容」だ(日経ビジネス文庫「やさしい経営学」249頁)。この観点からすると、職務発明制度は発明者を過大に保護しており、原型の大正10年法当時はともかく、現在では、使用者と従業員との利益を適切に調整しているとはいえない。
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