知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

ロクラク東京地裁判決

2011-01-23 18:30:43 | 著作権

事実関係の正確な理解のためにロクラク地裁判決を改めて読んでみました。

地裁判決は、本件サービスの目的について、「利用者に、日本のテレビ番組の複製物を取得させることを目的として構築されたものと解するのが相当であり、一連の操作において、日本のテレビ番組を複製し、複製した番組データを日本国外に送信することが、重要な意味を有するものということができる」と認定しています。本件サービスの場合、複製の主体が事業者であるとの認定を避ける工夫がいくつか施されていますが、裁判所は、これらの工夫にとらわれず、広告において、日本のテレビ番組を日本国外で視聴することができる点を強調しているなどの点から、本件サービスの目的を認定しています。

損害額については、著作権法114条の5により裁判所の裁量により認定されています。本件の場合には、権利者に損害が生じていることは明らかであると判断されていますが、対象の著作物の場合がテレビ番組であることの特殊性(視聴可能な場所の制約があること)が反映されているように思います。

権利濫用の抗弁も主張されていますが、あっさり否定されています。


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