平成22年(行ケ)10124:3部
請求認容
本件は、拒絶査定不服審判不成立審決を取り消したものです。
理由は意見書提出の機会を与えるのが不可欠であったところ、これを奪う手続き上の違法があるということです。
本判決は、一般論として、審決が拒絶理由通知又は拒絶査定において示された理由付けを付加又は変更する旨の判断を示す際には、特段の事情のない限り、意見書を提出する機会を与えなければならないと述べた上で、特段の事情の有無については、容易想到性の判断であれば、本願発明が容易想到とされるに至る基礎となる技術の位置づけ、重要性、当事者が実質的に防御の機会を得ていたかなど諸般の事情を総合して判断すべきとしています。
そして、相違点1に係る構成は、容易想到性の推論過程にいおいて参酌されるありふれた技術であるから、不意打ちとはいえないとの被告の主張に対し、相違点1に係る構成は、容易想到性の推論過程にいおいて参酌されるありふれた技術にすぎないか否か自体が、何ら論証されていないという批判を加えています。
審判における手続保障のあり方について考えさせる事案です。
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