採用内定により労働契約が成立しますが、これは、始期付かつ解約権留保付となります。つまり、採用内定通知書または誓約書に記載されている採用内定取消事由が生じた場合は解約できるのです。したがって、採用内定を取消しできるか否かは、留保解約権の行使の適法性の問題となります。
この点、最高裁判所は、留保解約権の行使が適法なのは「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できる場合に限られる」と判断しています。これは採用内定通知書等に「震災」等を理由にした解約権が記載されていなくても同様です。
もっとも、「社会通念上相当として是認できる場合」か否かの判断は困難を伴います。まずは、内定者に対して状況を率直に説明し、就業地区の変更、入社時期の変更などで対応できるか否かを検討し、無理であれば、雇用契約の解除に同意してもらうのが望ましいでしょう。
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