昨日からの続きです。
次にこの祝婚歌も結婚に際して吟じてあげたい一つである。
しかし少し全文が長く、かつ詩文の中味をじっくり味わって欲しいので
私はこの吟をDVDに収め、お祝いの一つとして差し上げることにした。
祝婚歌 吉野弘
二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい 立派すぎることは
長持ちしないことだと 気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい 完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい 二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても 非難できる資格が
自分にあったかどうか あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気付いているほうがいい
立派でありたいとか 正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず ゆったりゆたかに 光を浴びているほうがいい
健康で風に吹かれながら 生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる そんな日があってもいい
そして なぜ胸が熱くなるのか 黙っていても 二人にはわかるのであってほしい
明日に続きます。
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