2012年6月9日(土)
読売新聞の6月8日付け紙面に 【東電女性社員殺害 東京高裁決定要旨】が
掲載されていたので、読売のWebサイトを検索したが見つからなかった。
それに代わって中日新聞の記事が見つかったので引用して紹介する。
真犯人と見られる Mr.X の存在を強く示唆するものとなっているようだ。
それにしても、これほど「性交」という用語が頻出する裁判所の決定も
珍しいのではないだろうか?
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マイナリ元被告の再審認める DNA型鑑定「新証拠」
中日新聞 - 2012年6月7日
東京電力女性社員殺害事件で7日、ゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告の再審を決めた東京高裁の決定要旨は次の通り。
【新証拠の内容】
弁護人は鑑定など新証拠4点を提出した。
東京・渋谷のアパート101号室6畳間カーペット上に遺留された陰毛のうち1本から、被害者やマイナリ元被告のものではない男性のDNA型が検出された。被害者の遺体内から検出されたDNA型については、この第三者の精液に由来するものと考えられる。
次に、被害者の胸から検出されたDNA型は、第三者の唾液に由来するとみて矛盾はない。
被害者のコート左肩の血痕は、被害者のDNA含有物が主成分で、被害者が犯人から殴打されるなどした際に付着したものと合理的に推認できる。血液が付着した部位は、被害者の出血部位が直接触れることは考えにくい。そうすると、血痕には第三者のDNAも含まれていると考えられるため、犯人が被害者を殴打した際、自分の手を傷つけて被害者の血液が付き、さらに犯人がコートに触れた際に血液が付着したという可能性が考えられる。このことは、第三者が犯人である可能性を示すものだ。
以上を総合すると、新証拠は、(1)第三者が犯行現場であるアパート6畳間で被害者と性交した可能性を示し(2)その後、被害者を殴打して出血させ、その血液を被害者のコート左肩背面部に付着させた可能性を示す―ものであって、この二つは互いにその可能性を高め合っている。
【検察主張への判断】
検察官は、第三者の陰毛は、被害者が別の場所で性交した際に体に付着し、アパートに運ばれてきた可能性があると主張するが、それに照らして検討してもこの二つの見方は覆らない。
検察官は、被害者の右手などには元被告のDNAが付着していたと推認されると主張するが、元被告が当日に被害者と性交や接触したことを示す痕跡と断定するには足りない。第三者が本件犯人である確率は極めて低いとの検察官の主張が当を得ないことは明らかだ。
【新証拠の持つ意味】
現場のトイレに元被告の精液の付いたコンドームがあったことと、室内に元被告の陰毛1本が落ちていたことを合わせて考えても、確実に言えるのは元被告がそこで誰かと性交した可能性が高いということだけだ。コンドームは犯人が残した可能性が高いとする控訴審判決には疑問が生じた。
また、事件以前の1997年2月25日から3月2日ごろまでに、被害者と性交しコンドームを捨てたという元被告の弁解も、被害者の手帳の記載内容を知る前のもので、内容に変遷はあるがすべてうそで信用できないとまでは言えない。
被害者が、現場の部屋が空き室で無施錠であることを知っていた可能性は否定できない。また元被告と交友のあった関係者が、部屋が無施錠だと知っていた可能性もある。被害者が相手の男性を現場アパートに連れ込むことや、元被告以外の男性が被害者をアパートに連れ込むことが考えられないとする判断にも疑問がある。
被害者のショルダーバッグのちぎれた取っ手からは、控訴審判決の鑑定で血液型B型の反応が出ており、検察側は犯人がバッグを強く引っ張って付いたと主張する。しかし、鑑定は「被害者が血液型O型のためO型の分析は省略した」としている。つまりO型の第三者がバッグを引っ張ったとしても矛盾は生じない。
以上の通り新証拠によって、第三者が現場で被害者と関係を持った後に殴打して出血させ、被害者を殺害して現金約4万円を奪ったのではないかとの疑いが生じる。控訴審でこの新証拠が提出されていれば、元被告が被害者を殺害して現金を奪ったとの有罪認定には到達しなかったと思われる。
【結論】
新証拠は控訴審判決に合理的な疑いを抱かせ、認定を覆す可能性のある証拠と言えるため「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に当たる。
よって再審を開始し刑の執行を停止することを決定する。
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【関連記事】
【東電事件、再審決定】「別の男が真犯人の疑い」
DNA鑑定、無罪の証拠 刑執行停止も認める 東京高裁、発生から15年
47News - 2012/06/07 16:30
読売新聞の6月8日付け紙面に 【東電女性社員殺害 東京高裁決定要旨】が
掲載されていたので、読売のWebサイトを検索したが見つからなかった。
それに代わって中日新聞の記事が見つかったので引用して紹介する。
真犯人と見られる Mr.X の存在を強く示唆するものとなっているようだ。
それにしても、これほど「性交」という用語が頻出する裁判所の決定も
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マイナリ元被告の再審認める DNA型鑑定「新証拠」
中日新聞 - 2012年6月7日
東京電力女性社員殺害事件で7日、ゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告の再審を決めた東京高裁の決定要旨は次の通り。
【新証拠の内容】
弁護人は鑑定など新証拠4点を提出した。
東京・渋谷のアパート101号室6畳間カーペット上に遺留された陰毛のうち1本から、被害者やマイナリ元被告のものではない男性のDNA型が検出された。被害者の遺体内から検出されたDNA型については、この第三者の精液に由来するものと考えられる。
次に、被害者の胸から検出されたDNA型は、第三者の唾液に由来するとみて矛盾はない。
被害者のコート左肩の血痕は、被害者のDNA含有物が主成分で、被害者が犯人から殴打されるなどした際に付着したものと合理的に推認できる。血液が付着した部位は、被害者の出血部位が直接触れることは考えにくい。そうすると、血痕には第三者のDNAも含まれていると考えられるため、犯人が被害者を殴打した際、自分の手を傷つけて被害者の血液が付き、さらに犯人がコートに触れた際に血液が付着したという可能性が考えられる。このことは、第三者が犯人である可能性を示すものだ。
以上を総合すると、新証拠は、(1)第三者が犯行現場であるアパート6畳間で被害者と性交した可能性を示し(2)その後、被害者を殴打して出血させ、その血液を被害者のコート左肩背面部に付着させた可能性を示す―ものであって、この二つは互いにその可能性を高め合っている。
【検察主張への判断】
検察官は、第三者の陰毛は、被害者が別の場所で性交した際に体に付着し、アパートに運ばれてきた可能性があると主張するが、それに照らして検討してもこの二つの見方は覆らない。
検察官は、被害者の右手などには元被告のDNAが付着していたと推認されると主張するが、元被告が当日に被害者と性交や接触したことを示す痕跡と断定するには足りない。第三者が本件犯人である確率は極めて低いとの検察官の主張が当を得ないことは明らかだ。
【新証拠の持つ意味】
現場のトイレに元被告の精液の付いたコンドームがあったことと、室内に元被告の陰毛1本が落ちていたことを合わせて考えても、確実に言えるのは元被告がそこで誰かと性交した可能性が高いということだけだ。コンドームは犯人が残した可能性が高いとする控訴審判決には疑問が生じた。
また、事件以前の1997年2月25日から3月2日ごろまでに、被害者と性交しコンドームを捨てたという元被告の弁解も、被害者の手帳の記載内容を知る前のもので、内容に変遷はあるがすべてうそで信用できないとまでは言えない。
被害者が、現場の部屋が空き室で無施錠であることを知っていた可能性は否定できない。また元被告と交友のあった関係者が、部屋が無施錠だと知っていた可能性もある。被害者が相手の男性を現場アパートに連れ込むことや、元被告以外の男性が被害者をアパートに連れ込むことが考えられないとする判断にも疑問がある。
被害者のショルダーバッグのちぎれた取っ手からは、控訴審判決の鑑定で血液型B型の反応が出ており、検察側は犯人がバッグを強く引っ張って付いたと主張する。しかし、鑑定は「被害者が血液型O型のためO型の分析は省略した」としている。つまりO型の第三者がバッグを引っ張ったとしても矛盾は生じない。
以上の通り新証拠によって、第三者が現場で被害者と関係を持った後に殴打して出血させ、被害者を殺害して現金約4万円を奪ったのではないかとの疑いが生じる。控訴審でこの新証拠が提出されていれば、元被告が被害者を殺害して現金を奪ったとの有罪認定には到達しなかったと思われる。
【結論】
新証拠は控訴審判決に合理的な疑いを抱かせ、認定を覆す可能性のある証拠と言えるため「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に当たる。
よって再審を開始し刑の執行を停止することを決定する。
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47News - 2012/06/07 16:30