第82回アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞を受賞した映画【ザ・コーヴ】
に対して各地で抗議の声があがり、上映中止が相次いでいると言う。
先日は、映画監督や『ジャーナリスト』がシンポジウムを開催して「上映中止」を批判した。
「ザ・コーヴ」上映中止、映画監督ら反対声明(読売新聞) - goo ニュース
おととい(6/8)には、この映画にナビゲーターとして出演しているリック・オバリー氏が来日を果たし、昨日和歌山の大学で講演したという。
和歌山大で上映中止を批判 「ザ・コーヴ」に出演男性(共同通信) - goo ニュース
私自身としては、上映中止運動をすればするほど関心が広がり、「却って逆効果である」と考えるものである。
また、表現の自由は、このような『キワモノ映画』にも認められなければならず、これを見るか見ないか、また見て肯定するか否定するかどちらでもないかは見た人々それぞれに委ねられるべきものである。
但し、ひとこと言っておきたいのは、盗撮という行為が「表現の自由」として許されるのかどうか?と言うことである。
この映画がイルカ漁ではなく、女性更衣室やトイレ盗撮であったならば、「表現の自由」として許容されるであろうか?
話が飛躍しすぎるという人がいるかもしれないが私は同じレベルの問題であると考える。
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数年前の映画【YASUKUNI-靖国-】上映を自民党議員や右派勢力や右翼・暴力団が中止させようと全国で活動を展開したことで、当初見るつもりもなかった多くの人々がこれを「見たい!」と思うようになり、右派勢力の思惑は全く的外れとなり上映期間延長や再上映や予定していなかった映画館が遅れて上映したりと結果的には「大入り盛況」となった。
【YASUKUNI-靖国-】上映運動をしていた人々にとっては、まさに天の恵みというか、右派が騒いでくれた『おかげで』予想以上の集客に成功した訳である。
今回の【ザ・コーヴ】上映阻止運動も『デ・ジャ・ブ』(前に同じような光景を見たような感じ)である。
幾つかの劇場が混乱を避けるために上映を回避したが、これは【YASUKUNI-靖国-】の時にもあった現象である。
今後は裾野が広がってゆくであろう。
しかし、私の考えは【YASUKUNI-靖国-】の時とは正反対で、【ザ・コーヴ】のような一方的な価値観に基づき且つ盗撮に基づく不道徳な映画は広がって欲しくないというところだ。
そのためには「上映阻止」運動などしないで、無視するのが一番だ。
今回も上映阻止運動を行った人たちは「火を付けてしまった」
彼らの思惑は手痛い失敗(観客拡大)となって報われるだろう。
尤も、右翼団体は騒ぐことそのものが目的なんだから、結果などは省みていないし・・・
和歌山の人々の方が、却って冷静な対応をしているようだ。
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イルカ漁映画「ザ・コーヴ」
抗議活動で次々と上映中止
朝日新聞 2010年6月5日(土)15:00
和歌山県太地町のイルカ漁を扱った米映画「ザ・コーヴ」の一般公開が、保守系団体の抗議予告を受けた各映画館で次々と中止に追い込まれている。アカデミー賞受賞作品では異例の事態だ。日本の映画監督らの作品評価は賛否両論だが、「公開すべきだ」との意見では一致した。一方、町や漁協の映画への批判は根強く、波紋は広がるばかりだ。
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「残念。お客さんの期待の声もあった。でも、何かがあってからでは遅い」。一般公開のメーン館と位置づけられていた「シアターN渋谷」の運営会社担当者は、中止は「苦渋の決断」と話す。
映画を「反日」「虐日」と糾弾する市民団体が、「4日正午」と日時と会社の住所を明示し抗議予告を出したのは2日。この団体は、従来の右翼と違う「保守系市民グループ」と呼ばれ、ネットを駆使して抗議活動への参加を呼びかけるのが特徴だ。警視庁は抗議活動に警戒態勢をとるが、同庁幹部は「正規に申請されたデモで、違法行為はない」としている。
運営会社では3日に会議を開き、上映を自粛。映画館や配給会社にはこれまでも上映中止を求める電話やメールが相次いでいた。上映予定26館のうち3館が中止を決め、残りの映画館の中には「推移を見守る」と上映に慎重になっているところも多い。
この動きに対し、メディア批評誌「創」の篠田博之編集長らは9日、上映を後押しするシンポジウムを都内で開く予定だ。映画監督らを招き、イルカ漁や表現の自由について討論する。映画も上映する。篠田さんは「こんなことがまかり通れば、賛否ある作品はすべてつぶせることになってしまう」と語る。
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一方、太地町側と地元の漁協は、上映を認めない姿勢を崩していない。
映画に登場した漁協の組合員は撮影を拒否しており、上映は肖像権の侵害にあたると主張。さらに、映画の中で紹介される「水銀汚染を隠すためにイルカの肉を鯨肉として販売している」などの点が事実ではなく、漁協の名誉を棄損しているとした。
イルカ漁は商業捕鯨禁止の対象外で、県知事に許可された合法的な漁だ。映画では、漁師がイルカを刺し、入り江が血で染まる場面に残酷さを強調する音楽がかぶさる。一方的な描き方に、同町の三軒一高町長は「食文化は伝統を理解し相互に尊重する精神が重要だ」と反論した。
これに対し、「ザ・コーヴ」のルイ・シホヨス監督は朝日新聞の取材に「まずは自らの目で映画を見て、イルカ漁を続けるべきかどうか、賢明な判断が行われればいいと思っている」と答えた。
配給会社側は町関係者の顔にぼかしを入れ、「水銀値の調査結果にはばらつきがある」「町側は反論している」などのテロップを加える対応を取っている。
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試写会などでこの映画を見た日本の映画監督たちは、どう考えているか。
「誰も知らない」などの作品で知られる是枝裕和監督は厳しい評価だ。「自分たちの『正義』を絶対視しないことが異文化を取材する時に求められる態度だろうが、その姿勢を感じない。イルカが可哀想という感情と自分たちの正義に酔っており、プロパガンダ(宣伝)としてもレベルが低い」と話す。
これに対し、オウム真理教を題材にしたドキュメンタリー映画「A」の森達也監督は擁護する。「メッセージ性だけでなく、優れたエンターテインメントになっている」とした。隠し撮りが批判されたが、「真実に迫るために必要な場合もある。手法が不当とは言えない」と述べた。
だが、作品評価は異なる両監督でも、上映中止を求める動きについてはともに批判。是枝監督は「日本の文化に口を出すなという態度もおかしい。それでは彼らと同じ視野狭窄(きょうさく)と島国根性に陥ること。相手を理解しようとする回路は持ち続けなければ」。森監督も「日本人監督の作品だったら抗議はあったのだろうか。反論があるならそれを表現して多くの人に見せ、多様な視座を社会に作っていくしかない」と指摘した。(石川智也)
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〈「ザ・コーヴ」をめぐる動き〉 題名は「入り江」の意味。環境保護団体が2005年から3年半かけて撮影した。反捕鯨活動家を主人公に、イルカ漁の「残酷さ」を告発する内容だ。欧米では昨年に公開され、各地の映画祭で受賞し、高い評価を受けた。今年3月にはアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。
賛否ある作品上映をめぐっては2年前、「靖国 YASUKUNI」に「反日映画」と右翼団体員などが抗議。封切り5館のほか上映を自粛する劇場が相次いだ。
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