絶滅危惧種ニホンウナギ、都会でたくましく 神戸などに生息
(神戸新聞) - 2014年7月26日(土)17:30
チェック:ニホンウナギ、絶滅危惧種 「土用の丑」未来につなげ!
期待の完全養殖、コストが課題
(毎日新聞) - 2014年07月26日(土) 東京夕刊
代替ウナギも赤信号
(Greenpeace JAPAN) - 2014年07月26日(土)
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絶滅危惧種ニホンウナギ、都会でたくましく 神戸などに生息
(神戸新聞) - 2014年7月26日(土)17:30
環境省や国際自然保護連合(IUCN)が相次いで絶滅危惧種に指定したニホンウナギ。全国的に漁獲量が減少し、絶滅が心配されているが、実は兵庫県内の都市部の河川で今も生息している。29日は「土用の丑(うし)」の日。身近な絶滅危惧種を追った。
(那谷享平)
神戸市須磨区の住宅地を流れる河川。両岸と川床がコンクリートで覆われ、水深が浅いところに40~60センチほどの細長い魚数匹が見えた。近くの住民に聞くと、数年前から生息。神戸市立須磨海浜水族園の岩村文雄さんに写真を見せ、状況を伝えたところ「ニホンウナギの可能性が高い」という。
同園、県立人と自然の博物館、姫路市立水族館、さらに各地の自然保全団体メンバーなどに聞くと、近年でも芦屋市、神戸市、加古川市、明石市、姫路市などの河川や用水路で確認されているという。水路でも上り、飢えにも強いため、えさの少ない都市部で見かけても不思議ではないという。
ウナギの生態は謎に包まれている。環境省などによると、マリアナ海溝付近でふ化後、海流に乗って日本にたどり着き、稚魚「シラスウナギ」となる。一部は春先に川を遡上(そじょう)し数年かけて成長した後、産卵のため再び川を下り、マリアナ海溝付近へと戻る。この過程で、神戸や阪神間など、都市部の河川にも遡上する。
生命力が強いため身近にはいるが、確実に縁遠い存在になっている。2012年の国内のシラスウナギの漁獲量(河川など)は1957年の100分の1に減少した。兵庫県水産課によると、県内でも昨年、過去最低を記録(同)。自然環境の悪化と乱獲が減少の原因とみられている。
神戸市垂水区の北野八郎さん(70)は「子どものころは地元の川でウナギを捕まえては、家で育て土用の丑の日に食べていた。今でもいるが、5分の1ほどになったのでは。ここ20~30年で環境が変わり、かなり減っている」と話す。
人と自然の博物館の三橋弘宗主任研究員は「本来はどこにでもたくさんいるはずの生き物。川で数匹確認したくらいでは安心できない」と警鐘を鳴らす。
◇ ◇
〈ウナギのミニ情報〉
「泥の中から自然発生する」。古代ギリシャの哲学者アリストテレスがこんな説を唱えるほど生態は分からなかった。日本の学者がニホンウナギの産卵地調査を始めたのは1930年代だが、天然卵が採取されたのは2009年。ウナギの里は、日本から約2千キロ離れたマリアナ海溝付近だった。
兵庫県水産課によると、県内の食料品売り場で目にするうなぎの多くは、愛知県や九州で育てられた養殖。県内では体長20センチ以下のウナギを捕るには県の許可が必要。20センチ以上でも各地の漁業組合の規則に従わなければならない。
チェック:ニホンウナギ、絶滅危惧種 「土用の丑」未来につなげ!
期待の完全養殖、コストが課題
(毎日新聞) - 2014年07月26日(土) 東京夕刊
夏バテ予防といえば、ウナギ。だが、思い出してほしい。世界の科学者らでつくる「国際自然保護連合(IUCN)」が6月、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定したことを。一度指定された種が危機を切り抜けるほどに生息数を回復した例は極めて少ない。次世代にウナギを残せるのか。29日の「土用(どよう)の丑(うし)」を前に考えた。【阿部周一】
資源保護となるとまず思いつくのが養殖。現在、出回っているのは稚魚のシラスウナギを捕獲し育てたものだが、近年は漁獲高が激減し養殖ウナギもピンチだ。
一方、親から採取した卵をふ化させ成魚に育てる「完全養殖」は実験室では既に成功し、実用化にあと一歩のところまできている。
独立行政法人水産総合研究センターは2010年、卵から育てたニホンウナギから卵と精子を採取し、人工ふ化させることに世界で初めて成功。さらに今年2月、1000リットルの大型水槽でシラスウナギにまで育てることも成し遂げた。生まれたばかりの幼体約2万8000匹中、シラスに育ったのは約320匹と成功率は低いが、天然シラスの漁獲量がピーク時の80分の1に落ち込む中、光が見えたのには違いない。
その舞台となった同センター増養殖研究所南伊豆庁舎(静岡県南伊豆町)に取材を申し込むと、言下に「ノー」。写真撮影はもちろん、関係者以外は立ち入りも禁止だ。海外への技術流出を防ぐため、秘密保持が徹底されているのだ。
完全養殖が難しかったのは、太平洋を回遊するウナギの産卵地や幼体が育つ環境が長らく謎だったからだ。研究所は試行錯誤の末、アブラツノザメの卵にビタミン剤などを混ぜた特製の餌を開発。また、大量生産に必要な大型水槽では生育に適した水流を生むのが難しかったが、「意外とシンプルな」(桑田博・資源生産部長)工夫を施して従来の50~200倍もある1000リットルの水槽が使えるようになり“壁”を突破した。
ただ、今の方法では1匹育てるのに餌代を含め数万円かかる。最近になって、天然の幼体は深海で「マリンスノー」と呼ばれるプランクトンの死骸を食べることが判明し、センターはこれをヒントに新しい餌を模索中だ。桑田さんは「流体力学の専門家にも協力を仰いで水槽を改良し、16年度末までに計1万匹のシラスウナギ生産を目指す」と、実用化に向け意気込む。
というわけで「食べられなくなる」のは避けられるかもしれないが、天然ウナギの数を増やす抜本的な手立ても欠かせない。
IUCNはニホンウナギ激減の理由に▽乱獲▽生息地の減少▽海流の変化--などを挙げる。養殖の盛んな宮崎、熊本、鹿児島、高知の各県は12年以降、産卵に向かう親ウナギの禁漁期間を定めた。水産庁はシラスの漁獲量を制限する方向で中国や台湾と協議中だ。
◇河川再生も必要
生息地を再生する試みも始まっている。鹿児島県出水市の高尾野川では1月、川漁師たちが石を詰めた樹脂製のかご(蛇籠(じゃかご))を川岸に沈めた。 ウナギの隠れ場所を作り定着を図るためだ。
天然ウナギの漁獲量が減り始めた1970年代は全国の河川でコンクリート護岸が広がり始めた時期。木村伸吾・東京大教授(水産海洋学)の研究室の調査では、護岸率が高いほどニホンウナギの減少率が大きい傾向があった。木村教授は「水辺再生がウナギ復活につながる可能性はある。河口からの遡上(そじょう)を妨げるせきやダムを含めた川のあり方を考え直すべきだ」と話す。
代替ウナギも赤信号
(Greenpeace JAPAN) - 2014年07月26日(土)
大手スーパーマーケット、
薄利多売により「代替ウナギ」までも絶滅危惧の道へ
日本で流通されてきた3種のウナギが資源状態を著しく悪化させている中、「代替ウナギ」として熱帯種である ビカーラウナギ が日本市場の注目を集めています。
グリーンピース・ジャパンは、6月2日から9日にかけて国内の大手スーパーマーケット15社を対象にウナギの調達に関するアンケート調査を実施し、代替ウナギの取扱いについて各社に質問しました。また6月14日から21日にかけてインドネシア・ジャワ島を横断し、漁業者、仲介業者、養殖業者、海洋水産省などに話を伺い、ビカーラウナギ の漁業や養殖の実態を調査しました。
インドネシアでの現地調査の結果、ビカーラウナギは信ぴょう性のある漁獲量の統計が存在せず、資源量すらまだ把握できておらず、資源管理も漁業規制も皆無に等しい「獲り放題」の状態で、増える漁業者による「獲りあい競争」が激化していることが明らかになりました。
またアンケート調査の結果、回答を得た大手スーパーマーケット13社のうち、業界最大手イオンがビカーラウナギを取扱っている一方で、他12社は環境や資源への影響を理由にその調達に慎重な企業が多いことが判明しました。
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