敵を潰せ！

政敵を論破せよ！
祭祀(さいし)により矢を直(す)ぐに矯(た)め、アグニよ
言葉(讃歌)により鏃(やじり)を、砥石(といし)により
研ぐごとく、毒もて塗り、これらの矢によって邪術師
どもの心臓を貫け。彼らの腕を後方に挫(くじ)き返せ。
岩波文庫『リグ・ヴェーダ讃歌』辻直四郎訳

耽美的地獄の風景

汀に今話題の浮上した
真紅の薔薇

紅蓮の華が似合う地獄池

そう 己の病的な腕が
赤いマニキュアをして
薔薇の華を水中からつかむ
地獄行き 地獄

まるで水中に引き込む勢いで
水は紺碧 南の島のように

薔薇は血のように紅く
血液を吸って生温かい

その手はドーランを塗ったように
真っ白で暗黒舞踏の力がたたえられていて
水中から蓮のように延びて延びて
切捨てられる滅びの腕
この薔薇を掻きむしる

一滴の血が紺碧の池に落ちて
女の啜り泣きが聞えて

血の涙が流れ出て
池を溢れさせて

水上に浮いた薔薇が
生温かい風に揺れている

短歌(自由律)

銀河系の渦巻きが輝き風に二羽の小鳥が戯れ囀る