DAVID BOWIEのブラックスターのヴィデオを見て
発売二日後に亡くなった、ボウイ。
直感的に『ショスタコーヴィッチの証言』と言う本を思った。
この本はソ連邦で活躍したショスタコーヴィッチがその死後
発表してくれと遺言した、赤裸々な共産党幹部への批判の書。
1975年8月に亡くなり、日本での出版は80年。5年後だ。
ボウイの『ブラックスター』は2016年1月8日、彼の69歳の
誕生日に発売されその二日後1月10日に帰らぬ人となった。
この曲は、イルミナティ、メーソンに対する対策を歌った曲だ。
『ブラックスター』の楽曲では三部に分かれ一部では、
メーソンら特に死の商人を揶揄したと思われる。
「愚か者どもの館に
愚か者どもの館に
燈がひとつ立つ
すべての中心に
すべての中心に
汝の瞳が
裁きの日に
処刑の日に
女たちのみが跪き微笑むのだ」…
退化した道具と言われる武器。それを商う人間模様を
この詩は訴える。
ヴィデオでは、どこかの異星の太陽食の日に『モモ』
の居るような場所に『スペースオディティ』のトム大佐が
白骨化して横たわり、有尾の女祭祀のような少女が大佐の
髑髏をねんごろにガラスケースに入れ街へ持って帰る。その
髑髏は宝石で装飾されている。(王の暗喩か?)
街の人々は目隠しをされ無意味な運動や痙攣を繰り返している。
そこで楽曲・詩ともに新たな光ある輝くイメージに変わる。
すすきの原のような爽やかな風の吹く野原で、ボウイの目隠しも
とれ、ブラックスターの徴が付いた本を世界に向かってかざす。
これはきっと新約聖書なのだろう、さっきまで無意味な痙攣を
していた人々の目が開かれる。すすきの原で磔刑になった覚醒
した人々もその縄を解こうと必死だ。
そこで第三部、一部の再現。髑髏は黒衣の魔女に渡され、また
皆、無意味な痙攣を繰り返している。都市での生活を思った。
その髑髏をかざす魔女。皆、跪く。ボウイは死後自身の作品が
意に反して利用されると見通していた。
「我は黒き星
我こそは黒き星」
こう唄うボウイは、皆にブラックスターへの道を歩めと
言っているようだ…
2017年1月29日 藤井 邦彦拝