無言歌(安藤元雄)
「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」
おれの眼に属するおまえの塔
おれの下に属するおまえの枝
しかしおまえの葉はもうささやかない
葉は裏切る
おれの手のひらに残ったおまえの顔の鋳型
それからおまえの鱗
それでいてなおもおまえは沈む あの暗い
漏斗の底へ
何ものをも濾し残さない砂利の間へ
そして おまえの唇の上に夜がおりる
実りただれた野が ただ一閃(いっせん)の
光の下で溶け崩れるように
おまえはさらすだろう 或る日
乾ききった岸辺に おまえのもろい石灰質を
そのときおれは見るだろう 長い長い日ざしの中で
硬直したものたちのゆるやかな白い流れを
何もかもがその場から立ち去ってしまったわけではなく
おまえはおまえのしずくの一粒のために渇くだろう
「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」
おれの眼に属するおまえの塔
おれの下に属するおまえの枝
しかしおまえの葉はもうささやかない
葉は裏切る
おれの手のひらに残ったおまえの顔の鋳型
それからおまえの鱗
それでいてなおもおまえは沈む あの暗い
漏斗の底へ
何ものをも濾し残さない砂利の間へ
そして おまえの唇の上に夜がおりる
実りただれた野が ただ一閃(いっせん)の
光の下で溶け崩れるように
おまえはさらすだろう 或る日
乾ききった岸辺に おまえのもろい石灰質を
そのときおれは見るだろう 長い長い日ざしの中で
硬直したものたちのゆるやかな白い流れを
何もかもがその場から立ち去ってしまったわけではなく
おまえはおまえのしずくの一粒のために渇くだろう