「下潮が抜けます」
「少し上げると、ジグに抵抗を感じます」
下潮が動きが悪いみたいで、その少し上アタリを狙う。
潮の色は、少しずつ良くなっていると思うのだが、動きに緩慢さが見られるようだ。
ベイト反応を見ながら、少しずつ流すコースを変えていく。
海底付近を丁寧に探っている脇坂さんに、バイトが来た。
竿先が、グッと下がったが針に乗らなかった。
「何か居る」
脇坂さんも、黒原さんも、海底付近を探る手を休めない。
黒原さんに、アタリが来た。


ドラグ音が鳴る。
「良い音が聞こえますね」
巻き上げては、走られる。
楽しい緊張感が、楽しい時間を作ってくれる。
「ゆっくり楽しんでくださいね」
じっくりと構えて、焦ることなく巻き上げていく。
「見えました。ブリです」

無事に、船上に上げたブリ。
98センチ、8.5キロの重量感が心地よいブリ。
「久し振りに、来たね」
黒原さんと、ハイタッチして喜びを分かち合う。
脇坂さんにも、強いアタリが来た。

動きが緩慢な潮の中から、アタリを引き出す。
笑顔で、やり取りを繰り返すが…。
後少しで、針が外れた。
潮の動きが悪い分、食い込みが浅いようだ。
「まだ居るはず」
ポイントを流すコースを変えて、探り続ける。
海底に張り付いた様な、ベイト反応が出てくる。


ワニゴチが来た。
アヤメカサゴ、ウッカリカサゴが、連続でヒットしてくる。
しかし、風が北東に変わり始めた。
少しずつ、ウネリも高くなってきた。
ポイントを変える。

ニベがヒットしてきた。
北東の風と、ウネリを避けるようにポイントを変えていく。
内場に入ると、フグが邪魔し始めた。
「沖には出られそうにないですし、引き上げますか」
フグが出てきた時点で、納竿とした。